第4話 授業開始
前回のあらすじ
生徒達が自己紹介をした
最後の生徒であるシオンの自己紹介が終わり、俺は黒板の上にある時計を見やる。
時間的にはすでに一時間目の授業が始まっていた。チャイムもすでに鳴っている。
ちなみに時間割は、一コマ五十分授業で、一時間目が九時から九時五十分、二時間目が十時から十時五十分、三時間目が十一時から十一時五十分となっている。
昼休みを一時間挟んでから、午後の授業が始まる。
四時間目は十二時五十分から十三時四十分、五時間目が十三時五十分から十四時四十分となっている。
一時間目が始まる前と五時間目が終わった後にホームルームがあり、それぞれ十分間の時間が取られている。
俺は生徒達の方に向き直る。
「それじゃあこのまま授業を始めよう。一時間目は座学……で間違いないか、リース?」
「はい、先生」
ちょうど俺の目の前の席に座っていたリースにそう尋ねると、彼女から肯定の意を示す返事が返ってくる。
「前任の先生がどこまで教えていたのか分からないのと、入学して一ヶ月経ったキミ達の理解度を把握するために、この時間は魔術と魔法の違いについて教える。……これはもう習ったか?」
そう尋ねると、生徒が皆頷く。
「そうか……それじゃあ質問しても大丈夫そうだな。それじゃあ……リース、魔術について説明してくれ。簡単にでいいぞ」
「はい、分かりました」
リースはそう返事をすると、席から立ち上がって説明を始める。
「魔術とは、人間、エルフ、ドワーフ、獣人が使うことの出来る異能力です。魔術は、体内に有するマナを使って発動します」
「うん、ほぼ完璧な説明だ。次は魔法についてだけど……ルルに説明してもらおう」
「はい」
ルルはそう返事をして、リースと入れ替わるようにして立ち上がる。
「魔法は、魔族にしか使うことが出来ない異能力です。魔法は魔術と違って、大気中のマナを使って発動することが出来ます」
「まあ……いいだろう。説明ありがとう」
俺はそう言うと、ルルは席に座る。
「魔術と魔法の違いは、さっき二人が説明してくれた通りだ。さっきの説明を捕捉すると、魔族には魔術が使えないし、人間達には魔法が使えないとも言える。……さて、次だ。魔術も魔法も、大きく分けて二つに分類される。それは何と何だ、レクス?」
「げっ……」
俺に名指しされ、レクスは顔をしかめる。
「さあ、レクス。答えてみろ」
「うっす……」
レクスは、自信無さげな表情を浮かべながら立ち上がる。
「え〜っと、確か……属性と非属性に分類されるんじゃなかったっすか?」
「ああ、正解だ」
「ほっ……」
レクスはあからさまに安堵の息を吐く。
「それじゃあ次。属性の種類だけど、これは……オリバー」
「はい」
「……と見せかけて、レクス。答えてくれ」
「またオレっすか!?」
フェイントをかけてまたレクスを名指しすると、彼は割りとガチめの悲鳴を上げる。
「うん、さっさと答えてくれ。これもさっきの質問と同じく、とても簡単だから」
「えっと、え〜〜〜っと、確か…………炎、風、土、水、氷、雷、光、闇……であってるんすよね?」
「さあ? どうかなぁ〜?」
「先生、あまりレクスをいじめないであげてください」
俺はすっとぼけていると、ミカエラ―ミカから苦言を呈された。
「あ〜……分かった分かった。レクスの言った八つの属性で合ってるよ」
「はぁ〜……」
俺がそう言うと、レクスは大きな息を吐く。
「レクスは座っていいよ。もう質問しないから……たぶん」
「なんで断定してくれないんすか!?」
レクスはそう言いつつも、俺の言葉に素直に従って席に座る。
「さて、次だ。次は非属性の種類だけど……ちょうどいいや。ミカに答えてもらおう」
「アタシですか? ……分かりました」
ミカは頷き、立ち上がる。
「非属性は多数あるから、そうだなぁ……五つくらい答えてもらおうか」
「はい……非属性は、回復、防御、身体強化、索敵、あと……そうだ。認識阻害とか、ですよね?」
ミカがそう聞き返してくるので、俺は彼女の言葉を肯定するように頷く。
「ああ、そうだ。他にも望遠や拡声、探知に隠密などたくさんある。だいたい、属性に分類されない魔術や魔法が非属性に分類されるな」
俺がそう言ったその時、一時間目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
「……む。もう終わりか。次の授業は……」
「二時間続けての第一修練場での実技ですよ、メテオライト先生」
俺が次の授業のことを思い出そうとしていると、リースがそう助言してくれた。
「そうだったな、ありがとう。……それじゃあみんな、第一修練場に集まること。くれぐれも授業に遅れるなよ? それじゃあこの時間の授業はここまで」
俺はそう言ってから、教室を後にした―――。
次回はシンの技量や、F組の生徒達の実力が分かる……かも?
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