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第3話 一年F組 後編

前回のあらすじ

シンがF組の生徒達と対面した

 

「それではあたしから」


 そう言って立ち上がったのは、最前列の中央の席に座る薄水色のロングヘアーの人間の少女だった。

 座席は三人掛けの机が三列、四段の階段状に配置されていた。


 生徒達全員は学院指定の紺色のブレザーを羽織っている。

 男子生徒はそれプラス、赤色のネクタイとグレーのスラックスを着用している。

 女子生徒も、男子と同色のリボンと膝丈のスカートを着用している。


 だけど中には、制服を着崩している生徒も見受けられた。

 薄水色髪の少女は、制服をきちんと着こなしていた。


「あたしの名前は、リース・アウローラです。このクラスの学級委員長を務めています。これからよろしくお願いします、メテオライト先生」

「アウローラ……。というと、キミは……アウローラ伯爵家の令嬢か?」

「……っ。え、ええ……それが何か?」


 俺は確認の意図でそう尋ねると、リースは苦虫を噛み潰したような苦渋の表情を浮かべながら頷く。


 アウローラ伯爵家は、ここメイオール王国で知らない者はいないほどに有名な家系だった。

 その家は代々、優秀な氷の魔術師を輩出することで名を馳せている。


「いや? 確認のために問い質しただけだ。深い意味はない」

「……それだけですか? なんで伯爵家のあたしが、こんな落ちこぼれクラスにいるのか聞かないんですか?」


 リースの言った通り、アウローラ伯爵家の面々は皆、この学院をA組またはB組で入学、卒業している。

 F組で入学した者など、前代未聞だろう。

 何かしらリースに原因があることは明らかだった。


 だけど……。


「なんだ? 聞いて欲しいのか?」


 そう聞き返すと、リースは俺の反応が予想外だったようで目を見開く。


「い、いえ……出来れば聞かないでくれると、あたし個人としては助かりますけど……」

「なら聞かない。自分から話したいのなら止めはしないが……」

「いえ……自分からも、あまり話したくありません」

「ならいいじゃないか。……自己紹介はそれだけか?」


 確認のためにそう尋ねると、リースは首を縦に振る。


「あ……はい。あたしの自己紹介は、さっきので終わりです」

「なら座ってくれ。次の人、立って自己紹介を」

「はい」


 そう返事をしてリースと入れ替わるように立ち上がったのは、彼女の隣に座っていたピンクのセミロングの少女だった。

 制服の上からでもはっきりと分かるほど、大きな胸をしていた。


「わたしの名前は、ルル・フラワーです。見ての通りハーフエルフです」


 ルルはそう言って髪をかき上げ、片耳を見せつけてくる。

 ハーフとの言葉通り、彼女の耳はエルフとしては短く尖っていた。


「これからよろしくお願いします、メテオライト先生」


 ルルは手を下ろし、俺に向かってそう言ってペコリとお辞儀をする。


「ああ、よろしく。次」

「うっす」


 そう返事をして立ち上がったのは、最後列の廊下側の席に座っていた男子生徒だった。

 そいつは黒髪黒目の見た目で、ネクタイを緩ませワイシャツのボタンも上から三つ目まで止めず、ブレザーのボタンも止めてないほどに着崩していた。


「オレはレクス・フルシティっす。考えるより先に身体が動くタイプっす。これからよろしく、勇者先生」

「ああ、よろしく。それと勇者先生はやめてくれ、恥ずかしい。呼ぶならシンかメテオライトのどっちかで頼む」

「あっはは……分かったっすよ、シン先生」


 レクスは見た目は粗野だが、その口調からはどこか気さくな雰囲気が感じ取れた。

 もしかしたら意外と、俺とウマが合うかもしれない。


 そんなことを思っていると、レクスが座り、次の生徒が立ち上がる。


「オリバー・ベルドランドです。身長が低いのは、ボクがドワーフだからです。よろしく」


 茶髪茶色目で眼鏡をかけたオリバーは、手短に自己紹介を終えた。

 彼の申告にもあった通り、ドワーフという亜人は低身長の者が多く、オリバーも下手をしたら初等学院の生徒と見間違えられる可能性がある。


 それからも、生徒達による自己紹介が続いた。


 ミカエラ・ホワイティア。

 白髪をポニーテールに結い上げ、翡翠色の瞳をした快活な雰囲気を与えるエルフの少女。

 クラスのみんなからは、「ミカ」の愛称で呼ばれているらしい。


 アンネ・シルヴァリオン。

 銀髪を縦ロールにした、灰色目の人間の少女。

 高飛車なお嬢様といった印象を与えるが、実家はメイオリアの一角にあるファミリー向けのレストランを経営しているらしい。貴族の「き」の字もなかった。


 ランス・ロックガード。

 赤褐色の髪に藍色の瞳をした人間とドワーフのハーフの少年で、実家は武具店を営んでいるらしい。

 ドワーフの血を引いているためか、身長がやや低い。


 ガルム・ウルフェン。

 ダークグレーの髪に紫色の瞳をした、オオカミの獣人の少年。

 目付きは鋭いが、物腰はとても柔らかかった。


 ライカ・ウルフェン。

 ライトグレーの髪をショートカットにした、紫色の瞳のオオカミの獣人の少女。

 ガルムとは双子の兄妹らしい。

 クラス分けが入学試験の成績順なので、兄弟で同じクラスになることがたまに起きるとセンセイが捕捉してくれた。


 リッカ・サデストロ。

 赤髪をツインテールにした、琥珀色の瞳をした人間の少女。

 魔術の研究をするのが大好きで、生き甲斐らしい。


 エリク・アガートラム。

 金髪金目の人間の少年で、家は騎士の家系だが当の本人は騎士になりたくなく、むしろ魔術師になりたくて魔術学院に進学したらしい。


 カイン・サーヴェン。

 オレンジ色の髪と瞳をした、エルフの少年。

 魔術は好きだが、実際に使うとなるとやや苦手らしい。


 カレン・フォートレス。

 ウェーブがかった緑色の髪を腰の辺りまで伸ばし、ヘーゼルの瞳をしたドワーフの少女。

 低身長も相まって、ちんまりとした印象を与える。


 マイナ・アクアマリン。

 青い髪を肩口まで伸ばし、深緑色の瞳をした人間の少女。

 自己紹介の時におどおどしていたから、人見知りな性格なのかもしれない。


 シオン・クロスフォース。

 ベージュの髪を三つ編みにした、紅色の瞳をした少女……の格好をした人間の少年。

 自称「カワイイの探求者」らしい。


 以上、俺が受け持つこととなった一年F組の生徒全員の自己紹介が終了した―――。






生徒十五人分の設定を作るのは、めちゃんこキツかったです(瀕死)。




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