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第10話 指導開始:オリビアside

前回のあらすじ

二つの組に分かれての指導が始まった

 

「さて。シン……メテオライト先生に頼まれた通り、アタシが魔術の指導を行う」


 ムーンライト学院長は、眼鏡をクイッと上げながらそう言う。


 噂程度にしか聞いたことがないけど、勇者様は昔、魔術について今あたし達の目の前にいる賢者様に師事していたらしい。

 だからメテオライト先生は学院長のことを『センセイ』と呼んで、学院長もメテオライト先生のことをファーストネームで呼んでいるのかもしれない。


「それじゃあ指導を始める……と言っても、そんなに身構えなくてもいい。メテオライト先生にも釘を刺されているからな」


 ……釘を刺されてなければ、メテオライト先生にしたような無茶振りをしたのかな?


 メテオライト先生が実際に受けた内容に興味が湧いてくるけど、どこか聞いてはいけないような気がする。

 好奇心猫をも殺すと言うし。


 そんなことを思いつつも、学院長の説明は続く。


「キミ達に指導する内容は、至ってシンプルだ。魔術を使い続ける。ただそれだけだ」

「え……? それだけですか?」


 あまりにもシンプル過ぎる方法に、あたしは思わず聞き返していた。

 すると学院長は、首を縦に振る。


「ああ。魔術を使えば使うほど魔力器官が鍛えられて、魔力量の総量も増える。さすがに一朝一夕とまではいかないが、一ヶ月後のクラス対抗戦までには最低でも一、二割ほどは増えているだろう。それだけでも、扱える魔術の種類を格段に増やすことは出来る。……説明は以上だ。後は実践あるのみ。さあ、各自始めろ!」

「「「はい!」」」


 あたし達は声を揃えて返事をして、早速訓練を開始した―――。




 ◇◇◇◇◇




 魔術を使い続けるなんてへっちゃら。


 そう思っていた時期がありました。


「はあ……はあ……」


 あたしは膝に手をついて、肩で息をする。

 顎から滴り落ちた汗が、地面にシミを作る。


 この訓練、予想以上にキツかった。


 最初のうちは魔力にも余裕があったから楽だったけど、魔力がだんだんと少なくなってくると、魔術を上手く発動出来なくなってきていた。

 それでも使い続けなければならず、まるで長距離走のようなキツさだった。


 あたしは首だけ動かして、周りを見やる。

 ルル達もあたしと同じように、息を荒げていた。

 シオンなんかは、地面にへたり込んでいた。


「ほらみんな、魔術の発動が止まってるよ。さっさと次を発動させる!」


 するとパンパン! と、手を叩きながら学院長がそう言ってくる。

 スパルタだなぁ……と思いながらも、あたしは汗を拭って魔術を発動させる。


「はあ……はあ……。ら……《雷鳴》」


 そう唱えると、あたしの右手の平からバチバチと稲妻が迸る。

 それはどこかに撃ち出されるようなことはなく、あたしの右手にまとわりつくように右手全体を駆け巡っている。


 魔力がほとんどないにも等しい状況でも、雷属性の魔術だけはほぼ問題なく発動出来ていた。


 その状態が五分ほど続いていると、三時間目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。


「む……もう終わりか。みんな、終わりにしていいぞ」


 学院長の言葉を聞き、あたしは発動していた魔術を止める。

 すると訓練が終わった安心感からか、疲労がどっと押し寄せてきた。

 出来ることなら、午後の授業はサボりたい心境だった。


 するとメテオライト先生組が、こちらに合流してくる。

 先生は指導前と変わらない様子だったけど、レクス達の顔にはあたし達以上の疲労の色が浮かんでいた。


「今日の実技の授業はここまで。汗を流して、昼飯をきちんと食うように。くれぐれも午後の授業はサボるなよ?」

「「「はぁ〜い……」」」


 メテオライト先生の言葉に、あたし達は力なく返事をする。


「それじゃあ解散……あ、リース。話は放課後にしよう。放課後になったら職員室に来てくれ」


 修練場から立ち去ろうとした時に、先生からそう声が掛けられた。


「……はい。分かりました……」


 あたしは頷き、先生達の前から立ち去る。

 そして汗を流すために、修練場に併設されているシャワールームへと向かった―――。






次回はシンとリースの話し合いです……たぶん。




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