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第9話 指導開始:シンside

前回のあらすじ

勇者直々に落ちこぼれ達を鍛えることになった

 

「よし。なら……今から名前を呼んだ生徒は俺の方に来てくれ。呼ばれなかった生徒は学院長の方に行ってくれ」


 そうして俺が名前を呼んだのは、レクス、ミカ、ランス、ガルム、ライカ、エリクの六人だった。


 俺に名前を呼ばれなかった、リース、ルル、オリバー、アンナ、リッカ、カイン、カレン、マイナ、シオンの九人は、センセイの方へと集まる。


「先生、あの……この分け方はいったい?」


 リースが控えめに手を挙げて、そう質問してくる。

 元々説明するつもりだったので、彼女の質問に答える形で説明をする。


「ああ。さっきの模擬戦でのみんなの動きを見て、こういう分け方をした。俺の方にいるのは、近接戦闘が得意そうな奴。学院長の方にいるのが、魔術での遠距離戦闘が得意そうな奴だ。俺が近接戦闘を、学院長が魔術での遠距離戦闘を指導する。……センセイ、そっちの指導、お願いしますね」

「ああ、任せておけ」


 センセイは薄い胸を張り、自信満々に頷く。


「くれぐれも無茶振りなんてしないでくださいね。俺の時みたいに」

「……善処する」


 ……イマイチ信用ならねえなあ……。


 そんな思いを抱きつつも、生徒達への指導を開始した―――。




 ◇◇◇◇◇




 修練場をだいたい半分に分けて、俺は自らが指導するレクス達の前に立つ。


「さて……指導する前に一つ確認だ。みんな、《身体強化》の魔術は使えるか?」

「? ええ、まあ……」


 レクスは怪訝そうな表情を浮かべながらも、俺の言葉に頷く。

 他の生徒達も、レクスと似たような反応だった。


「なんでそんなこと聞くんすか?」

「今日の指導は、《身体強化》の魔術を使った内容だからな」


 レクスの問い掛けに、俺はそう答える。


「それじゃあ早速、《身体強化》の魔術を発動させてくれ」

「? はい……」


 六人は首を傾げつつも、俺の言われた通りに魔術を発動させる。


「よし……それじゃあその状態で、俺とおいかけっこするぞ」

「「「「「「……はい?」」」」」」


 俺の言葉を理解出来なかったらしく、レクス達は頭に疑問符を浮かべている。

 なので俺はもう一度言う。


「だから、俺とおいかけっこをするって言ってるんだ」

「いやいや……言葉の意味は分かりますよ? だけどそれが、アタシ達の指導とどう関わりが?」


 ミカがそう尋ねてくる。


「《身体強化》は、近接戦闘では必須とも言える魔術だ。この魔術の使い方が上手ければ、長時間の戦闘も難なくこなせる。その為には、効率的な強化の仕方を覚えなくちゃならない。おいかけっこはそれを覚えるのに、とても合理的なんだ」

「はあ……なるほど?」


 俺の説明にミカは納得したような言葉を返すけど、その顔にはまだ疑問符が浮かんでいた。

 他の生徒達の方を見ても、みんな彼女と同じような表情を浮かべていた。


「まあ……実際にやってみた方が分かりやすいだろう。早速始めよう。……っと、そうだ。言い忘れてた。みんなが使う魔術は《身体強化》だけな。他の魔術は使うなよ。それと俺は魔術で反撃させてもらうから、それを頭に入れておけよ」

「あ、はい。分かりました……」


 ライカがそう言い、頷く。


「それじゃあ……始め!」


 生徒達から少し距離を取ってから、俺はそう言う。

 それと同時に、俺は生徒達に背を向けて逃走を開始する。


 そして生徒達は、俺を捕まえるべく動き出した―――。






次回はオリビアサイドの話です。




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