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第0話 プロローグ

新作です!


楽しんでいただけたら幸いです。

 

「シン。今日呼んだのは他でもない。お前には、ウチの学院の教師になってもらう」


 俺を呼びつけた張本人は、開口一番にそう言ってきた。


 俺―シン・メテオライトが今いる場所は、東大陸西部に位置する大国の一つであるメイオール王国、その首都であるメイオリアにある王立魔術学院だった。

 さらに言えば、その学院内でもほとんど人が近付くことのない学院長室で、その学院長と対峙している。


 学院長はアッシュブロンドの髪を腰の辺りまで伸ばし、蒼い瞳で眼鏡を掛けた妙齢の女性だった。

 名を、オリビア・ムーンレイクと言う。


 何を隠そう、彼女は『賢者』の異名を持つ世界最強の魔術師であり、俺の魔術の師でもあった。


 その師たってのお願いに、俺は―――。


「――断る」


 一言そう返していた。


「そうかそうか、やってくれ………………なんだって?」


 断られるとは思っていなかったのか、オリビア―センセイは聞き返してきた。

 だから俺はもう一度言う。


「だから、断るって言ったんですよ」

「は……はあっ!? なんでだ!?」


 センセイは興奮しているのか、机をバンッと叩きながら立ち上がり問い掛けてくる。

 それに対して俺は、頭を掻きながら答える。


「なんでと言われても……今俺は休業中だからですよ。ゆっくり過ごして、戦いの傷を癒したいだけです」

「いやいやいやいや……。お前の傷はもうとっくに完治してるハズだ。じゃなかったら、アタシはシンを呼んでいない」

「……ちっ、バレたか」


 センセイに聞こえないくらいの小さな声で毒づいたにも関わらず、彼女の耳にはしっかりと届いていたようだ。


「シ〜ン〜? 何で今舌打ちをしたんだ〜?」

「だって……完治したって言ったら、センセイは俺をコキ使うつもりだったでしょ? だから隠してたんですけど……バレてたんなら仕方ありませんね。ええ、治ってますよ。少なくとも、軽い戦闘をこなせるくらいには」

「……本業の方に支障は?」

「オオアリです。だから休業中だって言ったんですよ。こっちは本当のことですよ?」

「そうか……なら仕方ないな」


 センセイはそう言い、俯く。


 ……おっ? 諦めてくれたか?


 そんな俺の淡い期待を裏切るかのように、センセイはとびきりの笑顔を浮かべながら顔を上げる。


「本業の方は休業中のままでいいから、ウチの学院の教師になってくれ……いや、なれ。これは師匠命令だ。拒否権はない」

「理不尽!?」


 俺は抗議の声を上げるが、センセイはどこ吹く風というようにケラケラと笑っている。


「アッハッハッハ……まあせいぜい頑張ってくれたまえ、『勇者』サマ?」


 こうして俺は、半ばセンセイの無茶振りによって王立魔術学院の教師になることとなった。




 ……この時の無茶振りがキッカケで己の運命が変わろうとは、当時の俺はまだ知る由も無かった―――。






師匠は理不尽な存在(偏見)。




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