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黒魔女裁判から始まる白魔女とのオフホワイトな日常  作者: 旧プランクトン改めベントス
第1戦:健康でサブカル的な最低限度の(子供らしい)生活
8/19

6.黒魔女は様子を伺っている!▼


 悪魔・レス:「と、とりあえず魔王様?イターシャからは会食という事で伺っているのですが…」

 ※同族がどうやって毒を避けて食べられているか詳しく説明されたくない悪魔


 吸血鬼・イターシャ:「そっ、そうですわ!自己紹介!私とレス達はもう終わりましたわ!グリは初対面ですし、改めて他のメンバーを…」

 ※捕食する立場から一転して捕食される側となるのが怖い吸血鬼


 鬼・ショウ坊:「(悪食のせいで2人とも必死だな。)」

 ※戦闘後、勇者に自分の死体をストレージに時々しまわれる理由が分かった鬼


 あまりの衝撃に呆然としていた魔王は、悪魔と吸血鬼の言葉にハッとしました。

 魔王・インペリアル:「う、うむ…」

 魔狼:「では戦闘順に自己紹介を行う。1名欠席だが、お前の上司でこれから世話になるのだから、しっかりと覚えるように!」

 ヤマト:「はい!」



 ☆ロード中…☆



 まずは手前に座っていた翼の生えた半魚人のような見た目の少女が立ち上がります。


 人魚・イブキ:「五英傑、第1戦ボスのイブキって言います。えっと、種族は人獣族の人魚亜属-セイレーン…水が少ないと翼と2足歩行する脚、水が多いと背びれと尾びれって感じ、かな。」

 少女が鱗と一体になったサンダルを指して魔女に見せます。部屋の照明の光を浴びて、キラキラと虹色に輝いて綺麗です。


 ヤマト:「(万能薬エリクサーの原料…)」

 なお、魔女が目を見つけているのは輝くサンダルでも透き通った肌でもなく、肌からうっすら見えるピンク色の血管のようです。


 魔狼:「イブキは魔界と人間界の間にある暗黒海【彷徨い灘】エリアから河口港にかけた水域で、普段は海軍と空軍の訓練をしている。領海・領空から水場の安全を保証するのが主な職務だが、こまめに報告に来るので城で会う事もあるだろう。」

 人魚・イブキ:「私…100歳過ぎてるけど、この中では1番歳も近いし同性だから何かあったら気軽に相談してくれると嬉しいな。よろしくね!」

 人魚が人懐っこい笑顔で魔女に言います。

 ヤマト:「よろしくお願いします。」




 次に、厳格そうな老紳士が立ち上がりました。

 邪竜・プレリュード:「第2戦ボス、邪竜のプレリュードだ。」

 ヤマト:「おお~!」


 邪竜・プレリュード:「見ての通り、魔王軍幹部の中では古株だ。特に我は人魔戦争がまだ一般兵士同士による大規模な戦闘だった時代から生きているからな。」

 ヤマト:「燃料採掘係なんですよね?」

 邪竜・プレリュード:「探知と運搬もしていたな。」


 ヤマト:「永遠に燃料を探知・採掘・運搬するために邪竜になったって話は有名ですね。」

 邪竜はうなずきました。

 邪竜・プレリュード:「我は元々竜族の中では土・雷属性で弱い部類だったからな。生を受けて間もなく死にそうだった我に、お力と隠れ場所を与えてくださったのが先代の魔王陛下だ。」


 ヤマト:「なるほど…先代の魔王様が飼い主なんですねぇ。私も溺愛してくれるイケメンの上位悪魔に飼われたいという欲望がさらに燃え上がってきました。」

 鬼・ショウ坊:「直ちに鎮火しろ!」

 魔王は絶句しました…。


 魔狼:「ま、魔王様に失礼だ!貴様っ…よほど死にたいようだな?」

 ヤマト:「死んだら忠犬らしくご主人の前にリスポーン出来ます。これをハウスと言います。」

 悪魔・レス:「私まで変な目で見られるからやめてくれないかな?!」

 魔狼:「ぐっ…そこを突いてくるとは卑怯な!」

 悪魔・レス:「カロルさんまでやめてくれないかなぁ?!」




 グリフォン:「…。」

 邪竜が座ると、呆れかえったような目の青年が立ち上がります。


 幻獣・グリペン:「第3戦ボス、五英傑のグリペン。種族はそのまんまキメラ属のグリフォン…イブキは海上専門の空上部隊指揮だけど、自分は領土上空が守備範囲っス。災害派遣とか魔物の生態系の調査とかやってて、普段はあんまり関わんないと思うけど、よろしく。」

 鬼・ショウ坊:「(あ~…こいつもヤマト反対派か。人魔戦争というか個人的な恨みがあるタイプの勇者アンチだもんな。そりゃ面白くないか。)」

 悪魔と鬼は同僚を心配そうに見ます。


 ヤマト:「あれ、吹き出しの名前表示が…」

 幻獣・グリペン:「あ~それな、前に勇者パーティーから『グリフォン・グリペン』は分かりにくいってクレーム来たから変わった。魔物だからって舐めてるよね~…」

 グリフォンは不機嫌さを隠す素振りが全くありません。大げさにため息なんかついちゃっています。


 ヤマト:「分かります、分かります!特に前の第2戦は入口封鎖システムのせいでボスを倒すのに時間制限があって、しかも次は連戦で、前後が頻繁に全滅するエリアですもんね。それで溜まった鬱憤が一気にくるっていう…」

 幻獣・グリペン:「そうそう、そこなのよ~!めっちゃ理不尽じゃね?」

 ヤマト:「分かります!酷いですよね!」


 悪魔・レス:「(…あれ?)」

 鬼・ショウ坊:「(何か、こいつら…)」


 幻獣・グリペン:「しかもさぁ!あいつら揃いも揃って第4戦に備えて回復するのは良いけど、ストレージ整理で出たゴミ全部うちのエリアのマグマに投げ捨てるの!」

 ヤマト:「うっわぁ…モラル疑いますよね。ちょっと前までは人間界でも平気で民家に押し入って器物破損・窃盗は当たり前だったんですよ?あり得ませんよね。」

 幻獣・グリペン:「引くわぁ~。」

 ヤマト・グリペン:「ぴえん超えてぱおんって感じ~。」

 悪魔・鬼:「(俺達とは違う世界で通じてる!)」


 魔王・インペリアル:「あ~…グリ(※グリペンは普段こう呼ばれてる)、結局ヤマトの加入については賛否どちらなんだ?」

 幻獣・グリペン:「すこすこのすこっスね。黒魔女しか勝たんって心境です。」

 ヤマト:「私もチルい事この上ないです。」

 鬼・ショウ坊:「お前には聞いてねぇよ。あとグリ、お前はさっきから何言ってんだ。」


 幻獣・グリペン:「ショウってノリ悪いよね~、そういうの。マジ卍には反応するくせに。」

 鬼・ショウ坊:「まあ、仏教課にいたからには寺のマークに反応するもんだろ。」

 幻獣・グリペン:「情弱はいただけないね。」

 ヤマト:「草も生えませんね。」


 鬼・ショウ坊:「俺ばっかり…あのな、お前が言ってる事全部分かるのは、ヤマトだけなんだよ!」

 幻獣・グリペン:「だろうね、だって老人会みたいなものだからね、魔王軍幹部って。」

 吸血鬼・イターシャ:「そういうあなたはレスより年上でしょうが!」


 幻獣・グリペン:「グリ、魔物だから魔族の言う事、分からなぁい♡ゆめかわ~♡」

 ヤマト:「そうだねぇ、仕方ないですよねぇ?グリさんはもふもふ担当・私は人畜無害担当だからそういう難しい事は魔族の方々にお任せしまぁす♡やみかわ~♡」

 魔族たちは絶妙にイラついてきました。


 鬼・ショウ坊:「あ~、次だ、次!俺の事は分かるな?」

 幻獣・グリペン:「魔族だから分かんなぁい♡」

 鬼・ショウ坊:「焼き鳥獣にするぞ、貴様。」

 ヤマト:「いえいえ、グリフォンは香草をお腹に入れて蒸すものと相場が決まっています!」

 幻獣・グリペン:「やめてぇ~!」

 突然の裏切りです。




 悪魔・レス:「え~…もう良いかな?ヤマトは私達の事をよく知っているみたいだから省くね。」

 吸血鬼・イターシャ:「6ボス、同じく。」

 悪魔と吸血鬼は付き合ってられないとばかりに亡霊騎士デュラハンを見ました。


 亡霊騎士・ハース:「えー…第7戦ボスの亡霊騎士・ハースだ。私は騎士団長として王都の治安維持活動を行う騎士団をまとめている。だから普段は魔王城か軍舎にいる事が多い。」

 ヤマト:「よろしくお願いします。」

 ここまで何かしら悪がらみをしていたくせに、なぜか急に素直になった魔女を魔族たちは不思議に思いました。

 亡霊騎士・ハース:「あ、ああ…」


 ヤマト:「?」

 魔王・インペリアル:「なぜかやけに落ち着いたな。」

 ヤマト:「ハースさんについて語るのはちょっと遠慮したい所です。」

 亡霊騎士・ハース:「私、何かしたか?」


 ヤマト:「いえ、そういうわけではないのですが…私、歴代の勇者パーティーの武器の摩耗からハースさんの剣筋分析をしていた時期があって。」

 亡霊騎士・ハース:「ほう?」

 亡霊騎士は熱心な魔女の姿勢に少し機嫌を良くしました。


 ヤマト:「歴代勇者パーティーの武具を一般公開した博物館があるのですが、実際に触る事は出来ないので長時間その前に座って観察とスケッチをしていたんです。その時に、警備の聖騎士から何をしているのか聞かれて説明したら『お前って気持ち悪いな』って言われたんです。」

 人魚・イブキ:「どうして?!」

 亡霊騎士・ハース:「そうだ!何もおかしい事など」

 ヤマト:「普通、魔王様であっても体のサイズは身長程度の事しか書かれていないんです。あとは…イブキさんの尾びれの長さとか魔王様の第二形態の特殊な部位とか。」

 鬼・ショウ坊:「おう…」


 ヤマト:「でも私、スケッチと観察から、ハースさんのリーチとか左右のバランスとか視力とか脚の長さとか推測してたんです。後方支援職はこのぐらいの距離を取れば余裕を持てるかなって間合いを測っていたんですけど…『ここまでくると変態ストーカーだろ』って。」

 亡霊騎士は何だか複雑な気持ちになりました。


 鬼・ショウ坊:「ヤマトお前…それ、本当に推測出来たのか?」

 ヤマト:「ここから見た感じだと、割と近い値を出せていたと思います。ただ、思ったより脚の割合が大きかったのは誤算でしたね。踏み込まれて強撃されると衝撃波で私の可愛い後輩・聖女ブランシェが吹き飛ばされていたかもしれないです。」


 亡霊騎士・ハース:「ふむ…確かにヤマトはかなり細かい所まで分析してるな。変態だのストーカーだのは言い過ぎだが、貴様ほど調べつくしている人間には出会った事が無い。」

 ヤマト:「勘違いしないでください!私はレスさん一筋です!誰があなたなんかに屈するっ…ものっ、ですかっ!」

 亡霊騎士・ハース:「そういう意味じゃない。」

 ヤマト:「ハースさん、そこは渾身の生『そういう意味じゃなあああああっいっっ!』を言う所でしょうよ。何冷めた口調なんですか。大ファンの前ですよ?ファンサしましょうよ!」


 亡霊騎士は思いました。嫌な流れだ、と。


 ヤマト:「恥ずかしくないんですか?これだけ!五英傑が各々体張って、しかもイターシャさんまでジャケットだけじゃなく一肌も二肌も脱いでいるというのに!自分だけ逃げようというのは卑怯ですよ!ほらほら、最高で?」

 亡霊騎士・ハース:「…最低の長い夜になりそうだ。」


 ヤマト:「はー…恥ずかしさがあるね。良いよ、私は全然。先生、もう人間界帰っちゃうからね?」

 鬼・ショウ坊:「(何か茶番が始まった…)」


 亡霊騎士・ハース:「最高で最低の長い夜になりそうだ!」

 ヤマト:「やる気ある?無いなら7ボス辞めておしまい!ゲスボの笑い声はどうしたの?!」

 亡霊騎士・ハース:「くく…フハハハハっ!最高で最低の長い夜になりそうだ!」


 魔女はため息をつきました。

 ヤマト:「……魔王様、どう思われます?」

 魔王・インペリアル:「わ、我輩?」

 突然の振りに魔王は困惑しました。


 ヤマト:「四天王の決め台詞の出来を評価してください。」

 魔王・インペリアル:「あ、ああ…」

 ヤマト:「正直に仰ってください。彼は四天王。彼の行動が五英傑のモチベーションにもつながります。彼がなあなあに行動すると、五英傑だけでなく四天王の仲間内でも『この程度で良いだろう』と甘えてしまい、士気・実力の低下になるんです。」

 魔王・インペリアル:「お、おお、そうだな。」


 言いかけた「良いんじゃないか?」という言葉を魔王は飲み込まざるを得なくなりました。


 ヤマト:「魔王軍と勇者パーティーは敵同士!魔と人、それぞれ長年の恨みと戦ってまでもより広い地を手に入れたいという野心を持って戦うべきなのです!うら若き勇者パーティーは全て感情に任せてあなた方の前に現れますが、あなた達は違う。ず~っと長く生きているからこその余裕で煽るんです。それを踏まえて、先ほどのハースさんの台詞は暗黒領域が第7戦において求める四天王1柱としてどうだったかとお聞きしております。」


 確かに魔女の言う事は正しい意見だったように感じます。魔王軍幹部は自らの意識の低さが露呈する事に罪悪感すら覚え始めました。

 魔王・インペリアル:「…。」


 魔王が黙り込んでしまった時、吸血鬼がすっと手を挙げました。

 吸血鬼・イターシャ:「魔王様、発言を許してください。」

 魔王・インペリアル:「お、おう。」


 吸血鬼・イターシャ:「ヤマト、それはハースさんだけじゃないわ。」

 亡霊騎士・ハース:「!」


 吸血鬼・イターシャ:「私にも意識が甘かった部分はある。同じ四天王だけど、幹部の中で若手だからって甘えていたのかもしれない。四天王最弱と言われても仕方ないわ、汚名返上をするために行動から見直すわね。教えてくれてありがとう。」

 魔王軍幹部:「(ナイスフォロー!)」


 ヤマト:「…そうですね、私も言い過ぎたと思います。ごめんなさい、ハースさん。」

 亡霊騎士・ハース:「いや、私の方こそ学ばせてもらった。礼を言う。」


 ヤマト:「私、勇者と剣士に土下座して、第7戦ボスだけは私に留めをささせてほしいってお願いしたぐらい憧れだったんです。」

 亡霊騎士・ハース:「それは果たして好かれているのか?」

 亡霊騎士はかなり微妙な心情でした。


 ヤマト:「ハースさんのためだけに!私は母の思い出の女戦士(アマゾネス)御用達バスターソードを持参しようと思ってたんです。私はハースさんのためだけに白魔女を辞めようと思っていましたが、ここに来てまさか違うエリアボスのために転職するとは思いませんでした。」

 悪魔・レス:「何かごめんね?!」

 鬼・ショウ坊:「お前謝る必要ないだろ!こいつが勝手に言ってるんだから。」


 ヤマト:「ハースさんの決め台詞の後に、私は『やっぱり可愛い娘を見ると俺の大剣が火を吹いちまうなぁっ!ぐへへへへっww』」

 魔王・インペリアル:「お前は馬鹿か?!」


 ヤマト:「『裸一貫で語り合おうぜぇ、騎士様よぉ?!』」

 魔王たちは思いました。「人間は本当に魔王軍を悪役だと思っているのか」、と。これではまるで勇者パーティー自ら悪役を買って出ているようなものです。

 亡霊騎士・ハース:「…あの忌々しい勇者と言い、お前と言い、人間の実力者は変態ぞろいなのか?」

 ヤマト:「何を言うんですか、ちょうど良いおじ様ですよ!」


 魔女はテーブルをばんと叩いて身を乗り出しました。

 悪魔・レス:「お、落ち着いて」

 ヤマト:「魔王軍幹部の中で1番可愛いのは誰かと聞かれて『有無を言わさずイブキちゃん』とか『エロかわなイターシャ様』とか『もふもふのグリフォン・魔狼の2択』とか言う相手は、人間・魔族に関わらずにわかだと軽蔑しますね。」

 鬼・ショウ坊:「落ち着け!」


 ヤマト:「魔王を倒したり倒されたりする勇者なんてごまんとこの世にいるんです!ハース団長の可愛さを世に知らしめた者こそが真の勇者だと私は思います!女の子・もふもふ愛でる勢を涙目にしてやる!顔が見えないからこその萌えとラブアンドピースがある事を世界は知るべきだ!」

 魔王・インペリアル:「黙れ!」


 ヤマト:「魔王戦が最高だとか言う奴もにわかだ!」

 悪魔・レス:「いや、それが本題だからね?熱い自論展開の所悪いんだけど。」

 ヤマト:「レスさん…あなた、幹部でありながらにわかなんですね!」


 亡霊騎士・ハース:「…百歩譲って第7戦がクライマックスだという意見もあるとして、なぜその一派は過激派なのだ?私に問題があるのか?」

 ヤマト:「私、ハースさんが大好きで…ううっ、第7戦の勝負服ですごく悩んでいたんですよぅ。白く塗ったビキニアーマーも良いし、動きやすく丈を短くしたワンピースに軍事ブーツとか、女戦士のバスターソードを持って行くからエキゾチックなダンス衣裳でも良いかなぁとか。」

 悪魔・レス:「合コンとか仮装大会じゃないんだよ?!」


 ヤマト:「やっぱり推しには可愛いと思われたいじゃないですか。それに、差し入れも悩んだんですよ。私のコレクションしている『そうじゃないおじさん』人形のプレミアとか考えていました。」

 幻獣・グリペン:「あ~、ファングッズを貢ぐタイプの推し事だね。」

 亡霊騎士・ハース:「そんな物いらん!」

 もはや黒歴史です。


 ヤマト:「差し入れに添えるお手紙の文面も色々考えていましたが、結局未完のまま死んじゃいましたね。」

 悪魔・レス:「ハースさんだって、ファンレターなんて貰っても困るよ!」

 鬼・ショウ坊:「目的が分かってない時点で、お前が1番のにわかだよ!」



~黒魔女の魔族図鑑⑤~


●【人魚】イブキ(キメラ族/人獣亜属/人魚-セイレーン)


・五英傑の1柱で、第1戦ボス。魔王軍一の連携が取れた海上部隊・航空部隊を率いる名将。普段はぽやぽやしているが、その戦略を回す手際の良さと数手先まで読んで最適解を瞬時に出す頭の回転の速さは四天王に匹敵し、手加減無しの彼女にチェスや将棋の類で勝つことは難しい。


・魔界と人間界を隔てる海の沖合で彼女のいる船を中心に亡霊船と空上部隊の3次元陣営を広げて勇者パーティーを迎え撃つ。魔王討伐の旅の中で最も軍隊らしい戦い方をするボスである。


・その美声ははるか遠くまで響き渡り、号令は兵士の士気を高める。ただ、著しく「知将」に偏っているイブキ本人の戦闘能力は五英傑の中でも未熟な所があり、飛ぶ事も泳ぐ事も出来るのに一騎打ちではかなり弱い。


・環境によって背中の翼と背びれ、下半身の脚と尾びれが変化するタイプの人魚。背中の事情があり、魔界一と言われる海上部隊を指揮する身でありながら軍服のセーラー襟が邪魔だと思ってしまう所に自己嫌悪を感じていた。可哀想だったので彼女の指揮する部隊は、海・空関係なくセーラー襟のようなラインが入った制服を導入している。


・実は初戦ボスの2代目であり、第6次遠征で初陣を勇者と行き違うという大事故で飾る所だったという黒歴史がある。


(ヤマトめも)

・武器は海を治める神が使っている物を模したトライデント。ただ、投げて当てる・刺すというより近接戦で殴打(しかも当たるのは柄の部分)していると言った方が良いぐらい使いこなせていない。


・1度、彼女を倒した勇者パーティーがドロップ品であるトライデントを次の第2戦で邪竜に使ってみた所、かなり楽にダメージが与えられたという記述があるぐらい武器の性能は良いらしい。単純に本人の実力不足なんだと思う。


・記述によると、戦う時は舞台女優のような大人びた声で話し、首元にある器官を自由に動かして美しい歌声を響かせて遠くの艦隊と上空の航空部隊に指示を出すらしい。でも地声は喉をきつくしめたような鼻声ロリボ。


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