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黒魔女裁判から始まる白魔女とのオフホワイトな日常  作者: 旧プランクトン改めベントス
第1戦:健康でサブカル的な最低限度の(子供らしい)生活
4/19

2.魔女は状態異常【ロリ化】になってしまった!▼


 ヤマト:「うん?」

 その時、魔女は胸元に涼しさを感じました。


 ヤマト:「あらら?」

 うつむくと、ずるずるっと胸当てが下がります。さっき、小悪魔的演技をしたせいでずれたのかと思い、魔女は悪魔に見えないよう背中側から胸当てを上げます。


 しかし、そのまま胸当ての前部分は情けなく下に落ちました。トップにすらかすりませんでした。

 ヤマト:「え…」


 魔女は、死刑前に渡されたボロ布で出来た貫頭衣をその上に着ていました。

 普通、罪人ならばこの下は全裸であるはずなのですが、元勇者パーティーのメンバーとだけあって大勢の子供が処刑を見るという事でそこを考慮して下着はしたまま拷問される事になっていたから胸当てはしていました。その時にしっかり着けていたはずの物は、なぜかサイズが急に大きくなってしまいました。

 それどころか、なぜか彼女の視点は下がっていき、貫頭衣の襟から片方の肩が出てきてしまいました。


 悪魔・レス:「あっ…」

 すぐ魔女の異変に気付いた悪魔は、困ったような顔をして、目を反らすついでに隣の鬼と亡霊騎士の背中も後ろに回しました。紳士です。


 人魚:「えっ…どうしたの、それぇぇ~!!」

 吸血鬼:「ちょっ…ちょっと、とりあえずこれ着なさい!」

 慌てて吸血鬼が自分の羽織っていたジャケットを脱ぎ、魔女に被せました。前のボタンをしっかり留めれば、とりあえず見えそうな部分は隠せました。

 ヤマト:「ありがとうございます。」


 吸血鬼:「ふう…びっくりしたわ。いきなり小さくなるんだもの。」

 人魚:「何か子供っぽくなったね。」

 ヤマト:「子供…」

 魔女はジャケットがまっすぐになっている自分の胸部を見て、目を見開きました。


 ヤマト:「私のEカップが、無い!」

 魔王・インペリアル:「そ、そのような情報はいらん!」

 ヤマト:「返して!私の胸!」

 人魚:「返すも何も、誰も盗ってないというか…」


 魔女は人魚をちらりと見て、吸血鬼に目を移しました。大胆に露出したデザインのカクテルドレスです。ホルターネックのせいで、首が凝りそうな体型です。


 ヤマト:「お姉さん、返して!そんなに必要ないでしょ!」

 吸血鬼:「私、何もしてないわよ!」

 ヤマト:「じゃあ…」


 魔女はずんずんと前に進み、鬼の前に回りました。

 鬼・ショウ坊:「な、何だよ。」

 ヤマト:「Bカップもいらないでしょ!返して!」

 鬼・ショウ坊:「はあ?!」


 人魚:「…ショウ君、胸筋だけでそんなにあったんだ…私よりあるじゃん。」

 人魚は力なくつぶやきました。


 鬼・ショウ坊:「知らねぇよ!俺がそんなもん取るわけあるか!」

 悪魔・レス:「元々ショウ坊はこんな感じだよ?全部筋肉。」


 ヤマト:「じゃあ私のEカップはどこに行ったんですか?」

 魔女は悪魔の長いローブの裾にすがりつきました。

 悪魔・レス:「ん~、胸だけが小さくなったというよりも…」


 悪魔はしゃがんで、魔女の頭に手を置きました。

 悪魔・レス:「あ~やっぱり…順応負荷だね。暗黒領域は人間界とは環境が異なってて、特に魔力の濃度と大気組成が人体に影響して、これまで蓄積してきた経験値がこの環境に慣れるために使われているんだ。」


 ヤマト:「順応負荷…まさか!」

 悪魔・レス:「うん、勇者パーティーにいたから知ってる?」

 ヤマト:「対策無しでまっすぐ本陣から飛ばされて来たので、負荷がかかって経験値を削られて若返りました?」

 悪魔はうなずきました。


 普通、勇者パーティーはこの順応負荷を避けるために特殊アイテムを辺境の集落から入手したり、暗黒領域付近で採れた野草を食べて身体を馴らしてから魔王城遠征へ行くのです。そうしなければ、負荷に応じてそれまで溜めた経験値が削られてしまいます。それと共に、削られた経験値を得るのにかかった年月までも奪われてしまうのです。


 魔王・インペリアル:「なるほど、そういう事か。」

 悪魔・レス:「はい。最初に出会った時に感じた威圧感が軽減されています。」

 鬼・ショウ坊:「言われてみれば確かに…見た目のせいもあるんだろうが。」

 鬼は小さくなってしまった魔女を抱き上げました。本当に指2本で襟首をつまんで持ち上げられそうな大きさです。


 人魚:「人間で言うと、8歳ぐらい?」

 ヤマト:「あ~…じゃあ、10年ぐらい若返ってますね。」

 吸血鬼:「普通なら死んでるわよ?あなた、高レベルで良かったわね。」

 ヤマト:「はい…」


 魔王・インペリアル:「今のレベルはいくつだ?」

 魔王が言うと、魔狼が魔女の額に指を当てました。そして、目を見開きました。

 魔狼:「嘘…だろ?!」


 魔王・インペリアル:「どうしたのだ?」

 魔狼:「はっ!報告いたします。鑑定した所、レベル30です!」

 魔王・インペリアル:「はあ?!」

 魔王は立ち上がりました。


 それもそのはずです、レベル30の人間はBランク相当の魔物…中型ドラゴンと互角に渡り合える実力だと言われています。五英傑初戦のイブキに初めて挑む時の勇者パーティーが大体5人制で平均レベルが40前後なので、現在の魔女はそれよりちょっと弱い程度なのです。

 10年分も若返ってレベル30だった…つまり、この魔女は8歳の時既に進軍を始められる程の強さだったという事なのです。


 ヤマト:「まあ、そんなもんですかね。」

 魔女だけが冷静でした。


 鬼・ショウ坊:「お前…何かすごいお子様だったんだな。」

 ヤマト:「すごいというより…白魔法の才能だけはあったので、母の仕事先に連れて行かれて何かあればすぐヒールかけさせられていたので溜まった…という感じですね。」

 邪竜:「児童労働か?!」

 魔女は「いやぁ~?」と曖昧な返事をしました。


 ヤマト:「趣味のようなものですね。母の営業先に付いて行って、母の『シングルマザーって大変なんです』アピールを援助しつつ、顧客と2人きりになった所で無邪気に軽い手品を披露してお菓子を貰っていましたから。学校で習った魔法で使えそうなものは応用を効かせて、花火とか猫言語翻訳とかしてみせていたんです。あの頃は黒魔女狩りなんて無かったので良い時代でしたよ。」


 魔王・インペリアル:「苦労していたのだな。」

 ヤマト:「ん~、でもそれがあったおかげで、独り立ちして冒険者組合に登録した後は割と楽でしたからね。登録時点で70だったのでそれなりに収入は安定しました。」

 人魚:「それ、ショウ君と戦えるじゃん!」

 ※第4戦に入る勇者パーティーの平均レベルは70。


 悪魔・レス:「き、聞くの怖いけど…処刑直前まではいくつだったの?」

 ヤマト:「297です。」

 鬼・ショウ坊:「多分俺までだったら、お前1人で殺れるぞ。」

 人魚:「怖~…」

 魔女はため息をつきました。


 悪魔・レス:「…本当に、人ならざる者と契約してないよね?」

 ヤマト:「してないと思うんです。」

 魔王・インペリアル:「確かにその娘からは死属性のモノ以外に何の気配もしないが。」

 悪魔・レス:「ええ、それは1度死んだ事に由来するものでしょう。」


 ヤマト:「あっ、でも!心当たりがあるとすれば。」

 悪魔・レス:「うん!」

 魔王軍幹部たちは魔女の声に耳を傾けます。

 ヤマト:「インキュバスに経験値を貰った事がありますね。」

 魔王・インペリアル:「雄の淫魔…」



 ☆ロード中…☆



~そう、あれは私が6歳の頃でした。夜の繁華街で母とはぐれて、母を探していると路地裏にボロボロのお兄さんが倒れていました。


 ヤマト:「おにーさん、だいじょーぶ?」


 両親にあまり褒められてこなかった私は、自己肯定感を得るべく当時率先して白魔法を使っていたので、見ず知らずの相手でも臆せずに話しかけてしまいました。


 青年:「…大丈夫なわけないっしょ。」

 お兄さんはそう言って笑いました。


 ヤマト:「安心して!ヤマト、ヒールできるよ!」

 青年:「おー…おー?」

 私がヒールをかけると、お兄さんは元気になりました。

 青年:「おー!すげぇじゃん!」


 その時に気付いたんです、お兄さんのお尻からスペード型の尻尾が生えている事に。

 ヤマト:「…おにーさんは悪魔なの?」

 青年:「いや、悪魔の仲間で、女の子を幸せにする魔族だよ。」

 ヤマト:「じゃあ、良い魔族なんだ!」

 この頃の私は短絡的思考でした。


 青年:「そう!良い魔族だよ!そして、嬢ちゃんは良い人間だ!」

 ヤマト:「ヤマト、良い人間だよ!」

 私たちは、謎テンションで意気投合しました。


 そしてそのお兄さんはお礼を言って、私の手を握りました。

 ヤマト:「なあに?」

 青年:「嬢ちゃんが、将来美女になれるおまじないをかけてやるよ。ヒールのお礼。」

 ヤマト:「わ~、ありがとう!」

 なぜか握られた手がしばらく妙に熱かったのを覚えています。気付くと、お兄さんは夜の闇に消えていました。~



 ヤマト:「後で確認したら、レベルが10ぐらい上がっていたんですよねぇ。」

 魔王軍幹部:「原因それだよ!」


 魔狼:「まったく、本当に淫魔は自由きままな輩だ!人間に経験値を渡すだなんてな!」

 鬼・ショウ坊:「本当にレスと近縁種だっていうのが信じられないぐらいルーズときている!」


 魔狼と鬼が怒る中、悪魔と吸血鬼は気まずそうな顔をしていました。

 人魚:「どーしたの、イターシャちゃん、レス君。」


 吸血鬼:「多分その男…」

 悪魔・レス:「知り合いです…」

 吸血鬼:「レスの知り合いなら確定ね。」

 悪魔・レス:「ええ、イターシャのお知り合いなら確定だね。」

 そして2人は深いため息をつきました。


 吸血鬼:「ねえ、そのエロじz…お兄さんって、髪の毛ちょっと長くて青みがかった緑色だったかしら?」

 ヤマト:「おそらく…」

 悪魔・レス:「細身で小麦色の肌をしていて、ムスク系の香りをまとっていなかった?」

 ヤマト:「暗闇で見た感じはそうだったと思います。香りは覚えていませんが、香水きつくて大人の香りだったなぁという印象は覚えています。」

 2人は顔を見合わせました。


 魔王・インペリアル:「何だ?」

 吸血鬼:「…悪魔族統制議会の淫魔代表ですわ。」

 鬼・ショウ坊:「あ~、レスの幼馴染で腐れ縁とかいう」

 悪魔・レス:「私の黒歴史だね、うん。」

 彼らの反応からするに、魔女が遭遇した淫魔は割と有名な魔族のようです。


 悪魔・レス:「あ~、尻拭いは本っ当に大変だったものね!」

 鬼・ショウ坊:「そういえば少し前にレスが珍しくイライラしていた時期もあったな。」

 悪魔・レス:「やっぱり『ふえ~ん、経験値を人間界で落としちゃったよ~ん、レスきゅん回復よろ~』っておかしいと思ってたんですよね。やはり人間に渡していましたか、あの馬鹿。」

 悪魔は深いため息をつきました。


 ヤマト:「あの、じゃあ経験値…お兄様に戻しますね。私、やり方分からないですけど手で取れるなら取ってください。」

 魔女は悪魔に差し出しました。

 悪魔・レス:「えっ、良いよ。私が怒ってるのはその淫魔に対してだけ。君の事は怒ってなんていないからさ、持っていて良いよ。」

 吸血鬼:「ええ、貰っちゃいなさいよ。ヒールに対する報酬だし、それはあなたの稼いだ分だもの、誰も盗ってはいけないわ。」

 魔女は「それなら…」と手を引っ込めました。


 鬼・ショウ坊:「それにしても随分小さい手だな。」

 魔女:「指も短くなりました!」

 魔女が鬼に見えるよう手を上に掲げて見せます。吸血鬼の細身のジャケットの袖がずるっと肘まで落ちます。ぶかぶかです。

 人魚:「可愛い~!」


 鬼・ショウ坊:「こんなのがレベル30だなんて信じられんな。俺が前いた部署でよく見かけた、川原で石積んでるようなガキと同じぐらいだろ?」

 ※ショウ坊の前の職場は冥界の仏教課。仏教徒の死者の監視をしていた。

 悪魔・レス:「ええ、孫にしたい…」

 どうやら悪魔も胸にくるものがあるようです。


 魔狼:「何と無力で弱弱しい姿だ…魔王様、人間軍への見せしめとして、人間を愛玩動物として飼うという選択もアリですな。」

 亡霊騎士:「そうですな、勇者パーティーはかつての仲間が魔王軍に捕らわれていると知り、自信を失い、魔王様に有利な条件での交渉を行うかもしれませんぞ。」

 吸血鬼:「そうねぇ、いくら黒魔女として疑いがかかっているとは言え、人間の女の子が泣いてたら放っておかないわよねぇ?」

 いかにも魔族らしい言葉です。


 魔王・インペリアル:「いや、子供となっても実力や知識はそのままだ。ただ、本人の実行できる範囲を封じられたというだけ…侮っては痛い目を見る。」

 魔狼:「そうですね…くそっ、厄介ですよ。」


 亡霊騎士:「ああ…極めつけは、悪魔教会かレスの前にリスポーンするという点。」

 悪魔・レス:「ええ、魔王様…いかがします?」

 魔族たちに見られる中、魔王は結論を下しました。


 魔王・インペリアル「魔王軍幹部の直属部署・人質『黒魔女(仮)』として引き入れる。」

 魔狼:「なるほど!」

 こうして、魔王軍幹部の直属部署に「人質・黒魔女(仮)」が追加されました。


 ヤマト:「…お兄様は悪魔の司祭だから、黒ミサとサバトにも参加するんですよね?」

 ※黒ミサとは…この話における人間界と暗黒領域では信仰の形が異なり、後者の宗派で行われるミサを黒ミサと呼ぶ。暗黒領域の住民だけでなく黒魔女や人間界の亡霊も参加する事がある。

 ※サバトとは…黒魔女の大集会で、人間界では禁忌とされているので参加したパリピは処刑される。黒ミサとは規模が異なり、悪魔とか邪神とか黒属性の方々も集まる年8のお祭り。


 悪魔・レス:「まあ、そうだね…まさか!」

 悪魔は嫌な予感がしました。

 ヤマト:「じゃあ私、悪魔教会の直属組織になります!」


 魔王・インペリアル:「貴様にそのような権限は無い!」

 悪魔・レス:「で、ですよね…」

 悪魔がほっと胸を撫で下ろしたのも束の間。


 魔王・インペリアル:「…と、言いたい所だが、妙にこいつはレスに懐いているようだし、レスから言ってやった方が命令もよく通るだろう、悪魔教会というより司祭レスの直属組織として『人質』を認定する。」

 悪魔・レス:「えっ…ま、魔王様?」

 悪魔が信じられないといった顔でよろよろと魔王に近づくのを、鋭い眼光が捕らえます。


 魔王・インペリアル:「レス貴様、この娘が幼女化した時に『孫にしたい』と言っていたな?」

 悪魔・レス:「えっと、そ、それは…そうですが。」

 魔王・インペリアル:「ならば文句なかろう?存分に可愛がるが良い!」

 魔王は、悪魔に魔女を押し付ける事にしました。人間界でいうお役所のように、政において役割を果たす部署の例外に漏れず魔王軍幹部はブラックです。


 ふしゅ~っという音を立てて風船のようにメンタルがしぼんでいく悪魔を無視し、魔王は黒魔女を見据えます。

 魔王・インペリアル:「フン、望み通り貴様を悪魔教会の配属にしてやった!悪魔教会にはショウ坊も来るのだし、これからは存分に第4・5ボスにいたぶられて死ぬに死ねぬ身体で無限に訪れる苦痛と恐怖に泣き叫ぶと良い!」


 鬼・ショウ坊:「まさか、魔王様…俺達にこの人間を?!」

 ふらついた悪魔を支えながらも鬼は慌てて魔王に確認します。


 魔王・インペリアル:「フッ…我々は魔王軍!人間は長年にわたる敵!いつの日か、我らが魔族は従わぬ人間達を我らの法で罰し、奴隷・家畜のように扱う時代が来るのだ!これは…その予行演習だと思え。躊躇するな、存分にその根性を叩きなおすのだ!」

 鬼はハッと息を呑みました。


 別の方面でメンタルをやられてしぼんでいた悪魔も、急展開に正気を戻しました。

 悪魔・レス:「…お言葉ですが魔王様、彼女は悪魔教会への不可抗力な不法侵入しかしておりません。罰を与える理由もございませんし、そのような一方的な虐待はあまりに酷かと。」

 鬼・ショウ坊:「勇者パーティーがいつここまでたどり着くかまだ目途も立っていないのに、今から見せしめの練習をする必要は無いですよ。こんなガキを俺達2人で一方的に虐待して、変にあっちが騒いで大事になるのも嫌ですし。」


 悪魔・レス:「攻撃的な感情を煽りすぎては、他の民衆もこちらまでやってくる可能性があります。少数精鋭での代表戦争ルールに賛同のお考えではなかったのですか?」

 2人が魔王の説得を試みようとすると、四天王にして魔王補佐の魔狼が立ちはだかりました。

 魔狼:「ごちゃごちゃ五月蠅い!やれと仰せなのだ!手を抜くな!」

 悪魔・レス:「しかし…」


 ヤマト:「大丈夫です、お兄様が最初のお相手であれば、次が鬼だろうが魔王だろうが魔狼だろうが邪竜だろうが亡霊騎士デュラハンだろうが一緒です。ひっくるめてモブおじさん扱いなのです。」

 悪魔は、先ほどとは別の感情で息を呑んでしまいました。


 鬼・ショウ坊:「明らかに物理的な方の意味合いだったのに、どこまで不健全なガキなんだ。」

 邪竜:「…こ、この我を!そんな目で!」

 亡霊騎士:「くっ…どこまで馬鹿にすれば!」

 魔狼:「なっ…なんとわいせつな!秩序を乱すな!恥を知れ!」

 男性陣には効果抜群のようです。


 人魚:「ぷっ…あはははっ!レス君以外モブおじだって!」

 吸血鬼:「確かに顔面的に言ったらレス以外あまり画にならないものね。デュラハンに関しては顔無いし。」

 女性陣の追撃で、なおの事男性陣の精神力は削られます。


 魔王:「なあ…モブおじさんって何だ?」

 魔王だけはピュアです。


 魔狼:「魔王様、そのような事はご存知にならなくて良いのですよっ!」

 魔王:「なぜお前達は顔が赤い?」

 魔王だけはピュアです(2回目)。


 ヤマト:「人間と魔族が戦っている時代に生まれた少女。目を覚ますと人間界から暗黒領域にワープ?!無力な幼女は、抵抗する術もなく悪魔に愛玩物として飼われる事に!この悪魔、かなりの鬼畜で鬼と共有しだすし、他にも邪竜とか魔狼とかデュラハンとか魔王にまであんな事やこんな」

 魔王・インペリアル:「止めんか馬鹿者!」

 魔王はやっと言葉の意味を理解しました。


 ヤマト:「人間では味わえなかった感触に、少女はやがて」

 魔王・インペリアル:「うるさい、うるさい、うるさぁ~いっ!!」

 魔女の言葉を魔王は大声でかき消しました。


 ヤマト:「それをあなたは部下の悪魔と鬼にさせようとしているんですよ?同性同士でも立派なセクハラは成り立つんです。人間界では、これまで焦点を当ててこられた女性へのセクハラだけでなく、今日男性に対するものも浮上し問題視されています。」

 鬼・ショウ坊:「今まさにお前が俺達にしているんだがな。」


 ヤマト:「例えば、本人の意思を無視して交際や結婚を執拗に迫ったり!」

 悪魔・レス:「…。」

 ヤマト:「本人が嫌がっているにも関わらず、わいせつ物を見せたりそういうお話を聞かせたり!」

 魔王・インペリアル:「…。」


 ヤマト:「最低ですよ!」

 魔王・インペリアル:「全部貴様じゃないか!」



 ☆ロード中…☆



 魔王・インペリアル:「セクハラの件はともかく…この人間に対する行動命令に関しては我輩が間違っていた。レス、ショウ坊、そういう意味じゃないからな。」

 悪魔・レス:「え、ええ…」

 当たり前だ、と2人は思いました。


 魔王・インペリアル:「はー…どっと疲れた。やはり、先ほどの命令は無しだ。逃げだしたり暴れたりしない程度に世話をしておけ。」

 悪魔・レス:「かしこまりました。」



~黒魔女の魔族図鑑①~


●【白黒を問う悪魔】レス・キュー (悪魔族/原種悪魔)


・魔王城にある教会の司祭で、蘇生とヒールを得意とする白魔導師。鬼のショウ坊と仲良し。


・魔王城防衛戦における五英傑最強にして、四天王と同じく魔王城フロアボスでもある。


・白魔導師なので原則として黒魔道は封じられているが、悪魔という事で例外適用される厄介な相手。黒属性に触れない範囲で撃つ攻撃魔法の威力は五英傑最強の名に恥じず強大で容赦ない。


・塩顔の好青年に見えるが、実はかなりの古株。口調が穏やかで丁寧、言葉を選びつつ相手の顔色を見ながら話す事の出来る優男だが、たまに悪魔らしく腹黒い。


・白に赤の差し色がオシャレな司祭服、服とオソロの白赤逆転の帽子は、教会に死傷者が運ばれてきた時だけでなく彼の感情が激しく動いた時にも光る。

・これでもうお気付きだろうが、彼は興奮状態になると心地よい低音のイケボがボーイソプラノ並みに上がって下がり、それによって詠唱された白魔術は自身と周囲の味方の高速移動を可能とし、その他の動きを一瞬止める。


(ヤマトめも)

・弱点は腰から下。さっと近づいて物理的に叩くと良い。

・黒魔術を使い始めるのは基本的にショウ坊が倒れてからなので、相方の前では白、相方の目がなくなると黒っていう風にキャラ変しているつもりなんだろうなって思う。悪魔がやるから腹黒くても闇を感じない。


・歴代の勇者パーティーに所属していた女性陣から「顔は良かったんだけどなぁ…」「笑顔で女を殴るタイプの見た目と声」と言われていた。最終的なオチは「あくまで悪魔だからね~(愛想笑い)」っていう伝統。


・彼の名前で良いものが思いつかなかったため、死の瀬戸際の人間を冥界送りにせず引き戻した存在という事でこういう名前になって、必然的に相方の鬼の名前も決まってしまい、魔族の10柱全員「乗り物」縛りという悪夢が始まった。

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