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少し真面目な話

今回も広樹視点です。

ーー俺は夢を見ていた。


「ねぇ広樹」

「ん? なんだ?」

俺達はカフェで休憩していた。

「どうしたの? せっかくのデートだよ?

私達が付き合い始めてからの」

「あぁそうだな、そういえば」

どうやらここでは俺達は付き合っているみたいだ。

「ねぇこれからどこに行く? ウインドショッピング?

アミューズメント施設?それとも

ーーオトナの休憩所行く?」

と誘う様に言ってきた。

「ちょっと待て、最後の選択肢おかしくないか?」

「いやいやおかしくないよ〜カップルでは私達が

行く事に何もおかしい点はない。前に行った時の

広樹の体力には驚いたよ〜」

「……それを今、この場で言う翔子が凄い」

「いや〜あの時の広樹男らしくて良かったな〜

もう一度あの姿見たいな〜」

「はいはい、それは今度な。今日は別の事をして

楽しもうか。翔子は何したい?」

「そうだね……私は広樹と一緒ならどこでも

楽しいよっ!!」

と満面の笑みをうかべる翔子。


ーーそうだ、俺はこの笑顔を守りたかったんだ。


ーーそして出来ればその笑顔を誰よりも近くで

見ていたかった。


ーーだけど


ーー俺にはもうそれが出来ない。


ーーそう、これは夢。


ーー俺と翔子のあったかもしれない夢だ。


と、なるとこれは神様とやらが俺が死ぬ前に

見せた夢なんだろうか?

(全く、神様も趣味が悪い。死ぬ寸前にこんな夢を

見せるなんて……

ーー死ぬのが怖くなってしまうがろうが……

まぁでも俺は守ったんだ)


ーーそれを誇らしく思い、死ぬ事にしようか。


と思っていると目の前が急に光り出だした。

(さて……そろそろあの世に行こうとするか)

俺はその光に向かって手を伸ばした。











「……ん? ここは……?」

俺が目を開けた瞬間に目に入ってきたのは

白い天井だった。

「おっ、起きたか」

「国木田……?」

そこには翔子の部活の同期である国木田が

椅子に座っていた。

「ここはどこだ……?」

「ここかい? ここは近くの病院だよ。

君は刺されたあと病院に緊急搬送されたんだ」

国木田の話によると俺は刺された後

近くの病院に救急車で緊急搬送されたらしい。

運ばれた後、手術が行われて俺は今まで寝ていた。

「なると俺はまだ生きているのか……

し、翔子は!? 翔子はどうした!?」

「少し音量落として。君の膝付近を注目〜」

と言われて膝付近を見てみるとそこには

「すぅ……」

翔子が俺の膝に上体を倒して寝ていた。

「良かった……」

「樋口さんは君が救急車で搬送されてから

泣きっぱなしだったし、この3日間ずっと起きていて

君が目を覚ますを待っていたんだ。そして今疲れが

溜まって寝始めたところ」

「そうか……ん?3日間? 俺3日間寝ていたのか?」

「うん、そうだよ。というか澁澤は凄いよ。

医者が8割ダメだろうって言っていたのに

その2割を掴んで生きているんだから」

「マジか……危なかったんだな……」

改めて俺は本当に死ぬ寸前だった事を思い知らされる。

「ねぇ澁澤」

「なんだ?」

「ーー少し真面目な話してもいい?」

「いきなりどうしたって……」

と国木田が真面目な表情をしたので、これは本当に

真面目な話なのだと理解した。

「分かった。で、どんな内容だ?」

「そんなの決まっているじゃないか。

ーー樋口さんの事だよ」

「翔子……? 翔子がどうした」

「今回の事で君ら2人が相思相愛なのは分かった。

それは別に構わないよ。それはね。でも」

というと国木田は一度言葉を区切り

「君が好きだった樋口さんと今の樋口さんは違う

……いやかなり違うよ」

「何が違うっていうんんだ?」

俺は国木田の言っている意味が分からなかった。

昔の翔子と今の翔子が違う?

一体何が違うというのだろう。

「昔の樋口さんは普通のただの少女だった。

でも君がいなくなった事によって彼女は復讐に

取り憑かれた。色々と世間的に言えない事もかなり

していたはずだよ」

「……」

前に国木田から聞いていた。

翔子が俺がいなくなった事によって俺を罠に嵌めた奴らを

学校から追放したり、徹底的に追い詰めて精神崩壊まで

した事、その為に自分の性格や口調まで変えた事を。

「そんな樋口さんを君は昔と同じ様に好きだと言える?

君が好きだった優しくて大人しい彼女とは違う

復讐に取り憑かれて、自分をとことん変えて

敵に容赦無い彼女をさ?」

「俺は……」

俺は少し考えた。

確かに翔子は昔とかなり変わった。

口調もそうだが、何よりも性格が変わった。

前に比べて性格がかなり苛烈になっただろう。


ーーその彼女を俺は前の様に愛せるか?


ーー色々と背負ってしまった彼女を支える事が出来るか?


「どうだい?君の考えはまとまったかい?」

「考えるまでも無かったな。

ーー俺は翔子を今まで通り好きでいる」

「……ほう、その根拠は?」

「そんなの簡単だ。何をしたか?それがどうした。

色々背負っている?なら、俺も一緒に背負うだけだ。

ーーそれが翔子を1人にしてしまった俺への罰だ。

翔子に罪があるなら俺も一緒に背負っていく」

翔子があんな風に変わってしまったのなら、それは俺にも

責任がある。なら俺も一緒に背負っていくべきだろう。

「へぇ、そうきたか……はいはいそうかい」

「国木田?」

「よし、大丈夫かな。君なら樋口さんを頼めるかな」

というと国木田は穏やかな表情になった。

「いいのか……?」

「いいもなにも、君は自分の言葉でそう言ったんだ。

“俺も一緒に背負っていくだけだ”って言ったろ?

なら大丈夫、その気持ちがあるなら君らは大丈夫」

「自分で言っておいてなんだが、こんな返事でいいのか?

あんまり頭が良い返事では無いような気がするが……」

「変に頭が良い奴が言う言葉よりも君の方が

説得力があるよ。だって君の真っ直ぐな気持ちが

伝わってくるからさ」

どうやら俺は上手く言えたらしい。

「あのさ、もしも俺が変な事を言っていたら……」

「ーーその時は樋口さんに激怒されても

君を社会的に抹殺していたね。

まぁでも君なら僕も変に手を汚さずに済みそうだ」

「そ、そうか……」

改めて思うのだが、翔子と同じぐらい国木田も

性格が苛烈じゃないか?

「僕個人的には樋口さんには幸せになってほしいからね。

この子は色々と背負いすぎているからさ、せめて

これからの人生は幸せになってほしいのさ」

「国木田……」

そうだろう。

彼は今回の事件を翔子と一緒に取り組んでいた。

その事件を見ていく中で翔子がどれだけ悲しんだり

苦しんだのかを一番近くで見ている。

「さて、僕はそろそろ帰ろうかな、疲れたし

森と焼肉行く用事あるし」

「もう帰るのか?」

「そりゃ帰るよ。そろそろ帰らないと彼女に

何言われるか分からないし」

というと遠い目をした。

「……お前も苦労してんだな」

「君ほどでは無いけどね。

まぁあとはさ2人で仲良くやってくださいな、では」

と病室の方に歩き出した。

「く、国木田!!」

俺は思わず呼びかけた。

「ん?どうしたの?」

「お前が改めて翔子の同期でいてくれて助かった。

そして今まで翔子を守ってくれてありがとう。

ーー感謝している、()()

と俺はベットに座ったまま、頭を下げた。

そう言うと拓海は驚いた表情をしながらも笑みを浮かべて

「どういたしまして

ーーではまた会おう()()

というと拓海は病室を出て行った。

「本当にあいつは何者なんだ……

まぁいいか、とりあえず今は目の前の眠り姫(翔子)

の寝顔を見るとするか……」





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