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それだよ・・・

「で、広樹と国木田が知り合って訳は分かったよ。

でも、まだ分からない事があるんだけど」

「うん、だよね、そうだよね……でも、それは」

とさっきから私がその事を聞こうとすると言葉を

濁す国木田。

「ヤベェ、マジで分からねぇ……」

隣で頭を抱えて悩んでいる森。

「まだ……気づかないのか……いやここは

気づかない方がいいのか……」

と森とは別の意味で頭を抱えているみたいな広樹。

「ごめん、分からない。教えてもらえる国木田?」

「それは澁澤本人の口から話してもらった方が良いよね。

澁澤、大丈夫……?」

「あぁ、決心がついた大丈夫だ」

と何かを決心した様な広樹。

(でも私を助ける理由って私が幼馴染だからでしょ?

そんなに緊張する事かな……?)

私がその様に疑問に思っていると

「翔子」

「ん?何……広樹?」

「翔子が……俺がいなくなった後さ、復讐したんだろ?

国木田から聞いた」

「ちょっと国木田……?」

私は近くにいた同期を睨んだ。

「……ごめん色々と理由があって」

と申し訳なさそうに言う国木田。

「まぁいいや……うん、そうだよ。

あのクズ村から担任に至るまでね。それが?」

「お、俺がこう言うのも自意識過剰だと思うが……

ーー翔子って俺の事がすきなんだよな?」

「えっ……な、な、な、何でそれを!?

あっ、国木田ーー!!」

「本当にすみません……今回の事件を解決するのに

一番良いかなと思って……許しては」

「許すはずが無いよね普通!?

何話しているのさ!? このお人好し!!」

「本当にすみませんーー!!」

決めた。

絶対帰ったら平塚に国木田のでっち上げた浮気話

喋ってやろう……!!

「……どうやら図星みたいだな」

「あっ……うん、好きだよ。広樹のこと」

私はここで変に取り繕うのをやめて

正直に言う事にした。

「そうか……ありがとうございます……」

「いえ……こちらこそ……

で、それがどう関係あるの?」

「それはだな……翔子は好きな俺が罠に嵌められたから

イメチェンまでして復讐したんだろ?」

「う、うん。あ、改めて言われると恥ずかしい……」

行動に移している時は気づかないが改めて言葉に

されると恥ずかしさが一気にくる。

「そうだよな……すまん。

それでさ……お前が好きな人の為にそこまでやるって

事はさ……」

と言うと広樹は一呼吸おき

「ーーそれをさ、俺がやらないとは考えないか?」

「う〜ん、そうだね……広樹がね……

ーーん? 待って、待て待て?」

今、なんて言った?

私は広樹がさっき言った言葉をもう一度繰り返した。


“それをさ、俺がやらないとは考えないか?”


この場合の“それ”とは好きな人の為を示しているだろう。


……という事は?


→広樹は好きな人の為に何かをした。


→広樹がした事とは?


ーー私を助ける為に三浦と付き合った。


ーー転校した。


ーー私が通っている大学の近くに行くために勉強した。


→という事は?



「ま、ま、ま、ま、まさか……」

私はとある結論に至った。

だが、確証は無い。

そんな馬鹿なという考えが頭をよぎる。

しかし、この状況でそれ以外はありえないだろう。

そんな事を考えていると自分でも顔が熱くなってくるのが

分かる。ちらりと広樹を見てみると彼も赤かった。

「あの……澁澤広樹さん」

「なんでしょうか樋口翔子さん」

「間違っていたら殴ってもらっても構わないんだけど

おかしな事を聞いてもいい……?」

「殴ったりしないから言ってみな」

「あのさ……広樹の……好きな人ってさ……

まさかのまさか……ありえないんだけどさ……

ーー私……?」

言った。

遂に言ってしまった。

私なりに今の状況を考えて至った結論を。

もしも間違っていたら私は今すぐ泣く。

泣くというか走ってこの場から逃げたい。

「……翔子」

「は、はい!?」

あっ、これ間違えた感じの展開だ。

うん、なんとなく分かる。

そして広樹のテンション口調でで分かる。

(よし、走る準備しよう。唸れ私の脚力……!!)

「それだよ……」

広樹は呆れた様に言ってきた。

「待って、今走る準備しているから……

ーーん? それだよ……?」

「あぁーー!! だ・か・ら!! 俺は翔子が好きだ!!

それ以上でもそれ以下でもない!!」

とうとう広樹が痺れを切らしたように叫んだ。

「えっ……? え? えぇ〜〜!? 嘘でしょ!?

私!? 何で!? な、な、な何で私なの!?」

「そんなの一緒にいて一番落ち着くし可愛いからだ!!

恥ずかしいから言わせないでもらえるか!?」

「か、か、か、か、可愛い!?

わ、わ、わ、わ、私を!? 広樹が可愛いいって!?」

私の頭は既にパニック状態になっていた。

それもそうだろう。

だって今まで夢に思っていた広樹から可愛いって

言ってもらえた事に追加して、“好きだ”と言われて

私の頭はキャパシティを軽くオーバーしていた。

「というか今まで気づいていなかったんだな……」

「だ、だってそんな素振りな、なかっただもん!!」

「んなの好きでも無いやつと毎日一緒に登校しねぇし

毎年一緒に誕生日祝わないだろう!?」

「だ、だってあ、あれはわ、私が幼馴染だから……」

「そうだとしても毎年翔子に合う様にプレゼントとか

選ぶのに苦労してねぇよ!! 気づけよ鈍感!!」

「あぁ……言われてみれば」

改めて考えてみると毎年広樹は私に合う物や

私が好きな物を必ずくれて、誕生日を祝ってくれた。

「あぁーー!! 鈍感過ぎんだろーー!!

翔子って頭が良いのか? 悪いのか?

どっちなんだよ!?」

「そ、そ、そ、そ、そんなの分かるはずが無いじゃん!?

というか広樹よりは頭いいよ!!」

「あぁ!! そういう事ですか!!

今やっと分かりました!!」

と森が手を叩いた。

「「うるさいバカ!!))

「ヒィ!? すいません!!」

「……森はもう少し空気を読もうな」


だけどこの時の私達は分かってなかった。


ーーこの後に起きる悲劇を……



次回、再び危機発生・・・

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