カクサンデキマ〜ス!!
私は店を出た後、とある場所に向かった。
「ハロー国木田〜」
「樋口さんか、ハロー」
そこには疲れて椅子に座っている国木田がいた。
私が向かったのはさっきまで国木田達が乱闘していた
例のアパートだった。
「ほうほう、大変疲れているご様子で」
「そりゃね……駅から全力疾走&1人の成人男性の
足止め及び無力化しているんだからさ……
というか僕は文官担当のはずだよ……はぁ」
「まぁまぁ〜でも大事な後輩を守れたんだから
いいんじゃないの〜?」
「……そうかもね。ふふっ」
「とりあえず森とその子達と平塚と与謝野は無事に
合流したよ〜。
ーー今頃森の告白タイムじゃないの?」
「マジか……見たかった」
と見るからに落ち込んでいる国木田。
(やれやれそんなに落ち込むことかい?)
と思いながらも、あの吃り癖の森がどんな告白をするのか
気になるのだけど、まぁそれはいいか。
「で、目の前に転がっているのは……犯人」
「そうそう。意外と耐久力あって大変だったよ」
私の前にはやや太り気味の男性が転がっていた。
こいつが森の思い人を誘拐したのだろう。
部屋を見ると隅々まで彼女の写真が貼られていた。
ザ・ストーカーの部屋という感じだった。
(ここまで同じ人物の写真があると異常だね〜
まぁ実際に異常な行動しちゃったしね)
「国木田〜こいつどうする?」
「そうだね……というか樋口さん、君は」
「ん? どうかした?」
「前までの口調に戻っているよね……
前まで? 前か? この場合どっちなんだ……」
「あぁ口調ね。なんか平塚達を安心させようとしたら
この口調になっていたよ〜」
「そうか。そうだね、とりあえず警察突き出すか……
あっ、でも何で凛子さんを見つけたのか聞かないと」
「こいつのバイト先に凛子さんだっけ? その子が
来てから一目惚れ。そこからストーカーの始まり」
「……本当によく知ってるね」
「写真を盗撮したり、尾行していく中で森を見つける。
そして凛子さんが森が好きなのに気づく」
「あらら……」
「どうにかして凛子さんを自分のモノにしたいこいつに
国木田に痛い目にあわされた例の取り巻きが
今回の計画を持ちかける」
「やっぱりあいつらか……!!」
「そして国木田が帰ってくる前に計画を実行に
移したって感じかな」
「まぁ今回は大事にならずに済んだけど……
ーーとりあえず取り巻きを締めるか」
「おっ、怒ると怖い国木田大先輩の復活だね〜」
「だって今回の事件で七海を悲しませたんだ
僕にとってそれだけで普通に許せない」
と言うと彼は滅多に見せない怒りの表情を見せた。
(国木田は本当に平塚が好きなんだね)
日常では平塚に振り回されて文句を言っているけど
彼女を大切に思っているのが伝わってくる。
「じゃあ私も協力してあげましょう〜」
「樋口さん……?」
「ここに私のスマホがあります〜」
「はい?」
「なんとワンクリックで様々な人達に取り巻き達の
犯罪級の秘密をバラせます〜!!」
「怖っ!? 本当に君は何者なのさ!?」
「だから〜国木田が〜好きな時に〜取り巻き達の秘密を
カクサンデキマ〜ス!!」
「何故カタコトなのさ……
ーーまぁいいや、その力借りるよ」
「あら、今回は随分素直に借りるんだね」
前の例のクズの時は多少躊躇っていたのに
今回は随分あっさりと承諾した事に驚いていた。
「そりゃ一度警告したのに懲りずにしたのだから
手加減しなくていいでしょ?」
「……ま、それもそうかな。オッケー任せて
彼女達に見せてあげようよ
ーー私達に喧嘩を売るとどうなるかを、さ」
「あぁ、だな」
これから数日後、国木田は取り巻き達にしっかりと
復讐を果たした。
……隣にいた織田が結構本気でびびっていたのには
遠くから見ていて、申し訳ないが笑った。
一応、これにて私とあのクズとの因縁は終わりを迎えた。
ーーそのはずだった。
どうやら私とあのクズとの因縁はまだ終わらせて
くれないようだ。
次回から最終章に入りたい・・・!!
最終章であってもまた長くなりそう・・・




