そういう人物
特急の終点に着いた私達は乗り換えのホームまで走り
乗り換えの電車に急いで乗った。
そして大学近くの駅に着いた。
「国木田……これから……どうする?」
「僕はこのまま森と織田と合流するよ。
樋口さんは……」
「私……犯人……の家……分かる……地図……送る」
「本当に何でも知ってんな。
まぁ、今回は恩恵を得れそうだし」
「私も一緒に……」
「いや、現場は僕1人で行くよ。
樋口さんには七海や与謝野さんがいる場所に
向かってもらえる?」
「何で……?」
「いや、あの2人が心配だからさ。
樋口さんは肝が据わっているから2人を
落ち着かせる事が出来るでしょ」
「……私はそんな事」
"出来るわけ無い"そう続けようとしたのだが
「大丈夫。樋口さんなら大丈夫だって」
国木田は穏やかな表情で私に言ってきた。
「……国木田?」
「これでも君を3年間見てきた同期が言うんだから
大丈夫だって。それとも僕は信頼無いかな?」
「いや……国木田は……信頼出来る……」
私も彼を3年間同じ部活にいて、信頼に値する人間
だという事は分かった。
「うん、なら良かった、同期に信頼されてた様で」
「あ、あと……国木田……」
「ん?何かな?」
「怪我は……大丈夫なの?」
「ゲッ……バレてた?」
「バレない……訳無いでしょ……」
とバツの悪そうな顔をする国木田。
彼はあの事件以降、私とほぼ一緒にいたため
病院に行って無い。あの一撃はかなり重たく
いい具合に国木田に入ったので彼はまだ痛いはずだ。
「まぁ痛いけど、動けないほどでは無いよ」
「嘘……だよ、ね」
「はい、結構まだ痛いです。
まぁこの件が終わったら病院行くさ」
「なんで……そこまで……するの?」
私には疑問だった。
なんでそこまでお人好しなのか。
彼にはそこまでするメリットは無いはずだ。
それなのに……
「ん〜それは
ーー僕が彼らの先輩だからね」
「えっ?」
「僕は彼らの先輩だから助けるのさ。
まぁ先輩後輩だからというよりも親しい人間だから
僕は手を差し伸べるし、助けようとするよ」
「……」
そうだ。
私の同期である国木田拓海という人物は
そういう人物だった。
そういう人物だから周りに平塚や森とかの
様々な人が集まってくるのだろう。
(まるで……広樹みたい……ふふっ)
そういえば私の好きな人も同じ性格だった。
周りの人が困っていたら構わず手を差し伸べて
助けてしまう。
私もその性格に助けられた内の1人だ。
「まっ、僕はただ甘いだけだと思うんだけどね……」
「……お人好し」
「否定出来ない」
「……でも……国木田の……長所……だと思う」
「そうかな、ハハッ」
「国木田のくせに笑い方ムカつく」
「おい、何故そこだけ普通に話すんだよ」
「気の……せい」
「そしてまた話し方戻すのね……」
「とりあえず……私は……平塚と与謝野の……ところに
……行けば……いいの?」
「あぁ、頼むよ」
「……後で……地図送る」
「助かる」
「……怪我しないように……」
「心配ありがとうね、じゃっ」
と国木田は森と織田の方に向かった。
(私も目的地に向かうとしようかな)
ーー同期から頼まれた事だ。
ーーそれぐらいはこなしてみるよ。




