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ダメだった頃の私

「ん……」

私が目を覚ました場所は見知らぬ部屋だった。

「あっ、起きた」

そして何故か国木田が椅子に座って、こちらを見ていた。

「あれ……?何で国木田がここにいるの?

そしてここは……」

「ここは僕が泊まっているホテルの部屋だよ。

ちなみに昨日の記憶覚えている?」

「昨日……?あっ……」

そうだ。

昨日は同窓会に行って、終わった後襲撃されて……

広樹と会って……

ーー拒絶されたんだ……

「うぅ……」

「ち、ちょっと!? 起きて早々に泣くかい!?」

国木田はとても慌てていた。

「もう嫌だ……広樹に嫌われた……」

「と、とりあえず朝ごはん食べようよ。

ほら、抹茶ラテと簡単な朝ごはん用意したからさ」

とマグカップに入った抹茶ラテと

サンドイッチを渡された。

「もぐもぐ……」

「どうだい?」

「もぐもぐ……」

「お〜い樋口さん〜?」

「いつもの抹茶ラテじゃない……」

「……いやいや君のいつもとか知らないよ?」

それはそうだよね。

逆に知っていたら凄いと思う。

「あときゅうり嫌い……」

「それは知らなかった、すまん……」

いやいや国木田、君が謝る必要は無いよ?

「……おかわり」

私はお皿を国木田に差し出した。

「はいはい、僕の分も食べていいよ」

ともう1つサンドイッチを渡された。

「もぐもぐ……」

「ふぅ、さてこれからどうするか……」

「抹茶ラテおかわり……」

「いやもう粉が無いよ?」

「おかわり……おかわり……」

私はマグカップを国木田に向けた。

「しょうがない……買ってきますよ」

と言って部屋を出る国木田。




国木田が買いに行った後も私は何もやる気が出ず

掛け布団にくるまった顔と腕だけ出していた。

(もう嫌……大学に行く気も起きない……)

今の私の状態は広樹がいなくなった頃の私だった。


ーー性格もかなり臆病になり


ーー人と上手く会話が出来ない


ーーそして臆病のわりにワガママ


まさにダメだった頃の私。

(これじゃあ本当に広樹に顔合わせ出来ない……

ーーいや、もう会わないからどうでもいいや)

今まで広樹のために頑張ってきたが、もう本人から

会わないと言われたため、頑張る気力も無い。

「ただいま」

「……おかわり」

「早いな!?」

「……早くおかわり」

「はいはい、分かりましたよ」

「……ん」

国木田は私からマグカップを受け取ると、さっき

買ってきた抹茶ラテの粉とお湯を入れて

「というか性格変わり過ぎでしょ、樋口さん」

と言いながら渡してきた。

「……これが元々の私。いつものは偽り」

「どんだけ表と裏の差が激しいのさ……

最早別人レベルで違うからね?」

「……仕方ない。それが私だから」

「そういうもんかね……」

「……国木田……帰らないの?」

「とりあえずあと、2日間ぐらいはいるよ

ーー流石にそんな状態の君を放っておいて

帰れないよ……」

「……いい、私……1人で充分」

「とりあえず今回、君の意見は無視するから。

僕の勝手にやらせていただくよ」

「でも……」

「今の君は目を離したら何をするか分からない。

僕が残れる範囲は君を監視するよ」

と私はしばらく国木田の観察下に置かれる事に

なったのだった。

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