会いたくなった
「で、何で君の故郷に僕がいかなきゃいけない?
流石に理由は知りたいかな」
と目の前にいる同期ーー国木田はそう言ってきた。
ここまで半ば脅しという形をとったが、やっぱり彼は
かなりのお人好しだろうと思われる。
「そうだね〜私が国木田を選んだ理由ね〜
ーーそりゃ一番チョロそうだから!!」
「おい、テメェ喧嘩売ってんのか?」
国木田はキレた。
「嘘嘘だって〜もう冗談を間に受けちゃいけないよ〜
早死にするよ?」
「ハァ……誰のせいだ、誰の」
と言いながら彼は手元にあるココアを飲んでいた。
私のイメージだと国木田=ココアっていうぐらい
よく飲んでいる。
「まぁ正直に言うと私の過去を知っているのって
国木田ぐらいしか知らないからね」
「さっきの話を聞いていると、樋口さんのご両親も
君がやった事知らないんだよね?」
「うん、言ってないし。まぁ今回戻る際に
過去を知っていて、理性的に動けるのが国木田しか
いなかったというのもあるけど」
「うわ……なんか嫌な予感しかしないんだけど……」
流石、国木田勘が鋭い。
これから自分が巻き込まれるという事を予感している。
「って事でで何か起きたらよろしく!!」
私は国木田の方に腕を出して親指を立てた。
「何も起こすなよ!? 頼むから!?
てかさ、何でいきなり戻るって決めたの?」
「実はね、私の母校の中学校で同窓会があるみたいで
呼ばれたのさ〜」
「中学校って事はまだあの彼がいた頃だよね……」
国木田はやや気まずそうな顔をした。
「うん、広樹と最後に一緒に卒業した学校だよ。
その同窓会に参加するんだ」
「なら僕いらなくないかな……?」
「国木田には同窓会会場に来てもらうよ〜
従業員のフリしてもらって」
「何故に!?」
「ちょっと見張っていてよ
ーー私を」
「樋口さんを……?」
「まぁもしかしたら広樹と会えるかな……
って言う目的で行くからさ、広樹の悪口言われたら
自分抑えられる自信が無いな〜」
「じゃあ行かない方がいいのでは……
僕にそれを言う資格は無いか。分かった。引き受けよう。
樋口さんには色々と借りがあるからね」
国木田は呆れながらも私の提案に乗ってきた。
「流石〜国木田は話が分かる〜」
「……なぁ樋口さん」
「ん?何かな?」
「今まで故郷に戻って無かったんでしょ?
でもそれがいきなり戻ろうと気になったの?」
「ん〜自分でも分からないや〜なんか君らを見ていてさ
なんとなくそんな気分になったんだ」
私も不思議だった。
例のクズの事件があったからというのもあるだろうが
何故か無性に広樹に会いたくなった。
ーー今更会っても何か変わるわけではない
ーーだけど会いたくなった
ーーもう逃げたくなかった
ーーでも会って私はどうするのだろう?
「樋口さん……君は……」
その時の国木田の顔は何故かとても悲しそうだった。




