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戻るのを諦めた

その日の放課後

私は学校から少し離れた空き家にいた。

そこで私はと(・)あ(・)る(・)仕(・)掛(・)け(・)を準備していた。

そして準備が終わった頃、担任が息を切らしながら

中に入ってきた。

「ど、どこにいるの……！？」

と言いながら周りを見渡す担任。

「ーーやっと来ましたか、センセイ」

「だ、誰！？出てきなさい！！」

「私ですよ、私」

と私は担任の前に姿を現した。

「えっ……樋口さん？な、何で貴方がここに……？」

「嫌だなぁ〜センセイ〜だって呼んだの私ですよ？

ーー貴方の愛しの彼氏のメールアドレスを

使いましたが」

「……っ！？ま、まさか今回の一連の事件って」

担任はどうやら事件の黒幕が私って事に

気づいたようだ。

「あっ、気づきましたか〜？全く遅いですね〜

もぅいつ気づかれるか楽しみにしてたのに〜」

私はわざとふざけた口調で話した。

（だってそうでもしないと私の中の殺意が

溢れ出しそうだし……！！）

「貴方、自分が何しているのか分かってるの！？」

「はい、それはもう分かってますよ〜

自分が何をしているかなんて〜」

そんなの分かっている。

自分が今まで何をしてきたのか。

ーーそして、これから何をするのか。

「何でこんな事したの！？答えなさい！！」

「え〜言わなきゃ駄目ですか〜？

それぐらいセンセイが考えてくださいよ〜

だってセンセイ、現代文の先生でしょ？」

「ふざけるのも大概にしなさい！！

真面目に答えなさい！！」

「えぇ〜本当に分からないんですか〜？

ならセンセイ辞めた方がいいよ〜

ーー生徒の気持ちを考えない教師なんて」

「はぁ？私がいつ生徒の気持ちを考えなかったって

言うのよ！！言ってみなさい！！」

「澁澤広樹」

「……っ！？」

「あれ〜センセイ、目が泳いでいますよ〜

何か不都合な事ありましたか〜？」

「な、何もないわよ！！あんな暴力男子なんて

学校にいない方がいいわよ！！」

「……暴力男子？」

「そうよ！！だって澁澤はクラスメイトに暴力を

振るったのよ！！何よりも前からあいつは

気に入らなかったのよ！！」

「へぇ〜そんな理由でしたか〜へぇ〜ほぉ〜

ーー黙れ、カス」

私の中で何が弾けた。

ーー多分、もう私は昔の私に戻れない。

なんとなく自分でも予想はついた。

（でも、こいつだけは……私の手で！！）

私は戻るのを諦めた。

「え、ひ、樋口さん……？」

担任は明らかに動揺していた。

「おい、誰がカスに話していいって許可したんだ？

答えてみなよ？言えねぇのかよ！！」

私はさっきまでの口調をかなぐり捨てた。

「あ、貴方ど、どうしたの！？

いつもの貴方じゃないわよ……」

担任は私がいつも違いすぎる口調になったため

かなりうろたえている。

「そういえば前にもあんたは同じセリフを私に

言ったよね？広樹を退学にする前にさ」

「そ、それがどうしたの！？」

「私さ、昔から広樹が好きだったんだ。

私にとって広樹は世界の全てだった」

「はっ！？ま、まさか貴方が今回起こした理由って」

「今更か……あんた教師辞めなよ？

まぁ、もう教壇に立てないだろうけどねぇ！！」

「まさか印象が変わった理由も同じ！？」

「えぇそうだよ。私はお前ら２人に復讐するために

全て使うって決めたんだよ！！

学力、見た目、性格等全部！！お前らを徹底的に

痛めつける為に！！」

「あ、ありえない！！どうしてあんな暴力男子の為に

そこまでやれるの！？」

「だから言ったでしょ？私にとって広樹は

世界の全てだって。

ーーその世界を私から奪ったお前らを

私は死んでも許さない」

「だ、だからどうしたの！？

貴方みたいな子供に何が出来るの！？

大人をなめ」

「その子供に足元をすくわれた大人は

誰だろうなぁ？あっ、そういえばあんたの大好きな

常村だが、もう他の女作ったぞ？」

「はっ？」

「ほい、これやるよ」

と私は担任に向かって数枚の写真を投げた。

「こ、これは……！！

なんなのよこれ！！」

私が担任に投げた写真というのは常村が他の新天地で

別の女と親しげに歩いている写真だ。

「だから分からないかな？常村はもう既に別の女と

付き合っているんだよ。

ーーあんたは捨てられたんだよ」

写真達は私が常村の新天地を突き止めて

わざわざ撮りに行った。

「嘘よ！！嘘よ！！こんな事があるわけ

無いじゃない！！

いいわ……明日学校で貴方の悪事を全て

バラしてあげるわ！！」

「はぁ？」

……こいつはいきなり何を言いだすんだ？

「私が明日学校に行って全てバラすわ！！

学校中にバラして、貴方の居場所が無くして

あげるわ！！」

「はいはい、で？」

「これであんたは前科者の烙印を押されて一生

生きる事になるの！！どう？今どんな気分？

悔しい？憎い？」

「……」

「でも、今私に土下座するなら許してあげても

いいわよ？さぁ私に土下座しなさい！！」

「あんたは何を言っているんだ？」

「生徒の分際で教師に舐めた口聞いてんじゃ」

「終わりだよ」

「何がだ！！」

私は一呼吸置いて

「ーー私とあんたに明日は無い。

今日ここで私と一緒に全て終わりにする」

次回、ついに決着・・・！！