復讐完了〜その1〜
多少早いですが、例のクズには
退場してもらいます。
「くそッ・・・」
私は学校から家の途中の壁に寄りかかった。
今回初めてヘマをした。
いつもの様に学校に忍び込んだのはいいが
途中で警備員に見つかり、なんとか逃げ切った。
パーカーのフードを深くかぶっていたから
顔は見られていないだろうが、学校に誰かが
忍び込んでいるという事実を学校側に認識させる
事になってしまった。
「明日以降・・・学校に忍び込めないだろうな・・・」
私の復讐計画に齟齬が生まれた。
これから数日は同じ様に校内に入って
学校中に貼り付けるはずだった。
だけど今回は確実に警備員から学校に
不審者がいたという情報がいくだろう。
あの担任の事だ、血眼になって犯人を捜すに
違いない。そうなれば私がやったという事か
いつかバレるだろう。
「でも私はまだ終われない・・・まだ終わってない」
そうだ広樹の仇を誰にも復讐出来てない。
ーー広樹の彼女が欲しいという理由で
彼を家族ぐるみで虐めた常村
ーーその常村と付き合っていて
広樹虐めに加担した担任
ーー虐めに加担したクラスメイト供
今も彼らは自分がやった事を気にせず幸せに
日々を過ごしている。
「それが何よりも許せない・・・!!」
私から広樹との日常を奪っておいて
自分達はのうのうとしている。
「そうだせめて奴らに同じぐらいの絶望を
味あわせてやらないとね・・・!!」
私は頭の中で復讐のプランニングを
改めて組み直した。
そしてとある案が思いついた。
「ややタイミングが早いかもしれないけど・・・
常村にはいなくなってもらおうかな」
私は頭の中で思いついた作戦を実行させる為に
家に戻るのであった。
次の日
私はいつも通りに学校に向かった。
「おはよう〜!!」
と私が挨拶したのに誰も気づかない。
クラスメイト全員がスマホを見ているからだ。
「あっ、翔ちゃん!!」
「ん?みんな今日はどうしたの?」
「見て見て!!今日は学校の掲示板だよ!!」
「あれ?この学校に掲示板なんてあったんだ・・・」
「翔ちゃんって意外と知らない事あるよね。
じゃなくて!!これだよこれ!!」
そのクラスメイトが見せてくれた画面には・・・
「これは酷い・・・!!」
そこには常村がやってきた悪行が動画や写真が
沢山アップされていた。
ーー女子を殴っている場面
ーーカツアゲしている場面
ーー同級生をリンチしている場面、
それ以外にも沢山アップされていた。
「常村って酷い奴だよね!!
私達って今まで騙されていたんだね・・・」
「あれ?〇〇ちゃんって昨日まで
彼を庇っていたよね?」
私はつい気になり聞いていた。
「だってこんな酷い奴を庇う必要ないでしょ?」
「・・・ま、まぁそうだよね」
「あんな酷い奴を好き人の気持ちが分からないよ」
私はクラスメイトの綺麗な手のひら返しを
見て呆れていた。
教室の中でも大半の意見が同じ様だった。
(お前ら、手のひら返しすごいよね〜
いや〜尊敬するよ、その尻軽さはねぇ!!)
とそこへ
〜ピンポンパーポーン〜
いきなり校内放送のチャイムが鳴った。
「あ、あれ?もうホームルームが始まる時間?」
「いや、まだホームルームまでには5分以上ある
機械が故障したんじゃないのかな?」
なんて言う会話をしていると放送が始まった。
ーー
「クソッ!!誰だよ!!」
「まぁまぁ常村、落ち着けよ」
「あんな風に書かれて落ち着けるか!!」
「どうせあんなのすぐ終わるだろ
ーー犯人捕まえるか?」
「あぁ、勿論な。俺に刃向かった事後悔させてやる。
だってこの街で俺に逆らえる奴なんていないからな!!」
「まっ、そうだよな〜お前の実家なんてここじゃ
1番権力あるしな」
「前にこの学校からいなくなった野郎も
大人しくしとけば退学せずに済んだのにな」
「あぁ、お前が彼女寝取った彼氏だろ?
随分あっさり退学したよな」
「親の権力をフルに使って家族ごと
街から追い出してやったぜ〜」
「よっ、悪代官〜」
「何を言ってんだよ、お前もやっただろ?」
「まぁな〜」
ーー
放送が終わるまでクラスメイト達は誰も口を
開かなかった。
いや、開けなかったに違いない。
だってこんな生々しい会話を聞いたのだから。
「えっ、えっ、えっ!?」
「嘘だろ・・・」
「まさか本当だったのかよ・・・」
クラスのあちこちからその様な声がする。
そしてそれは私のクラスだけでは無く
別のクラスでも同じ様な反応であり
どうやら学校中で大騒ぎになっているみたいだ。
「翔ちゃん・・・こ、こ、今度は一体・・・」
「ごめん、私にも何がなんだが分からない・・・」
(んな訳無いでしょ?だって犯人私だし〜!!)
私は表情では心配そうな顔をして、
内心ではほくそ笑んでいた。
そしてしばらくするとあるクラスメイトが
「お、おい見ろよ!!あそこに車来てる!!」
クラス中が窓の方に向かった。
そこには一台の車が止まっていた。
「あ、あれは常村!?」
そして常村が両隣を大人に抱きかかえられて
連行されていた。
「俺はやってねぇ!!なぁ頼むから信じてくれよ!!」
彼は連行される道中、ずっと何かをほざいていた。
まぁ私には関係無い事だ。
(まずは1人かな・・・!!)
クラス中が驚いている中で私は1人内心で
とても笑っていた。
(今までの行いが自分に回ってきたんだよ、常村。
まぁお前が何をしようとも関係無かったんだけど
私から広樹を奪ったのが一番の罪だ・・・!!)
結局その日は授業を行う事無く、
一斉下校という形になった。
そしてそれから数日、常村は退学となった。
次回は例のクズの退学のネタバレ回です。




