第一話 【悲報】俺氏、死ぬ?
__どうしてこんな事に・・・
__エリート冒険者であるこの俺様が・・・
地面には鮮血が広がってゆく
意識は薄れ、目の前の景色は色彩を失いはじめる
優れた家系に生まれ、恵まれた環境で育ち、何不自由なく生きてきた
__こんな事で終わるのか・・・
周囲の喧騒も次第に遠ざかり
体が熱を失ってゆくのを感じる
__道具屋のあの子・・・かわいかったな・・・
__まだ何も成し遂げてないのに・・・
目の前は暗くなり、何も感じない。
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暗闇の中で、俺を呼ぶ声が聞こえた。
「――しもしー?」
「――うぶ?だいじょうぶー?」
目の前には、俺の顔を覗き込む少女が一人
「あ、起きたー、大丈夫ー?」
少女を振り払い、立ち上がって自分の体を確認する。
__あれ程の重症が嘘の様にピンピンしている、血の痕も傷跡もない。
「ありがとう、どうやら治療をしてくれたようだ感謝する。」
少女は困ったように言葉を返す
「日陰まで運んだだけだよ、大げさじゃなー」
この少女言っている事が本当ならば、何故自分は助かったのか。
困惑している自分を見て、少女は質問する
「こんなに暑いのになんでそんな格好しとん?もしかしてコスプレってやつー?」
その言葉で我に返った俺は、辺りの異様な光景に気付く。
見た事もない建造物、溢れかえる人々。
臭いや温度、その全て違う。
「おい君!ここはミカモじゃないのか!?」
「なんそれ?ここは―――」
__聞いたことのない地名だ、一体どうなってんだ。
__俺は国に帰れるのか!?