表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/140

第1話 「金ッ!貯めずにはいられないッ!」

あらすじ程度です。

短めです。

「その人を知りたいなら、その人が何に対して怒るのかを知った方が良い」

 ━━という言葉がある。

 恐らくはこれだけで作品にピンとくる人も多い筈だ。

 それはやはり、人気が出る作品というものはセリフ一つを取っても素晴らしいものだという証明とも言えるものだろう。

 ……ただ、本当に生意気にも言わせてもらうなら、個人としての人間性を知りたいのなら、逆鱗ではなく琴線を知った方が良いんじゃないかと俺は思う。

 人間、誰しも一つくらいは好きなモノが有る筈だ。

 別に趣味とまでいかなくても良い。漠然としたなんとなくこの行動が好きってやつ。

 それは帰り道に一つの石を蹴り続けることかもしれないし、音楽を聴いたり、本を読んだりすることかもしれない。

 俺の身近な例を挙げるなら、友人の田中くんはドンッ、カツッ、と太鼓を叩くことに異様な執着をみせていた。

「全部、優を取るまで僕はっ! 叩くのをっ! 止めないっ!!」

 そう言った田中君は、セリフだけ聞けば優等生の様であった。

 また、鈴木君という友人は幼馴染との関係を進めることに全力を注いでいて、この間なんか━━

「……なぁ。彼女に甲子園に連れていって、と頼まれたんだが、何円くらいで行けるモンなんだろうか」

 ━━などと悩んでいた。

 なんというか、青春である。

 連れてっての意味を履き違えているとは思ったが、優しい俺はそこには触れずにスルーを決めこんだ。

 人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死ぬからな。

 決して、リアルの充実っぷりに腹が立ったからではない。

 そんな中で、中二病でも恋がしたいと豪語する佐藤君は、いつ空から女の子が振ってきても、しっかりキャッチ出来るようにと、休み時間のほぼ全てを筋肉トレーニングに費やしていた。

 ━━と、まぁ。

 ここまで挙げた例は、あくまでも俺の周りというごく限られた範囲の話であり、少しばかり問題があるかもしれないが。

 俺としては、そういう個人個人のこだわりが分かれば、そこを貶さないようにして、尊重しあうことで人間関係というものは、わりかし良好なものになると考えている。

 そう。

 例え、田中君が腱鞘炎に苦しんでいても、鈴木君が連れて行ったのに怒られたと落ち込んでいても、佐藤君が父親のことを親方と呼んでいても。

 ━━それは、彼らが好きでやっている行動であり、いわば一種の誇りであるのだ。

 くれぐれも上から目線で馬鹿にされたくは無いだろう。


 そして、この俺 成金 望(ナリカネノゾム)の場合。

 そのこだわりというのは━━貯金であった。

 俺は『金を貯める』という行為が堪らなく好きなのだ。

 色んな店の物を見て、買えるな、と一人でニヤニヤすることが堪らなく好きなのだ。

 俺がその気になればいつでも手に入れることが出来るという支配感。

 それはなんとも言えず、甘美なモノだ。

 金というのは使ってしまえばそれまでだが、使わず貯めることで、その『買える範囲』の商品はどんどん増える。

 初めはトレーディングカード程度だったものが、洋服になり、楽器になり、原付になった。

 自分の手が届く範囲が増えていくということが実感として感じられる。

 その時、俺はひそかに支配感を超えた全能感にも包まれていた。

 それは言葉にするのなら━━

『貯金してっ! 支配するっ! それだけが全能感よっ!!』

 ━━とでも言うべきか。

 ……まぁ、実際には我慢できずに買うものもあるので、それはそれで良いものだが。

 個人的に、奇妙な冒険を買ったことに後悔は無い。

 閑話休題。

 そんな俺に取って『高校生』という今の立場は、実に待ち望んだ物だった。

 中学までは親の手伝いなんかでしかお金を貯めることが許されなかったが、今日からは違う。

 両親の説得のために、進学校への受験を無事に決め、成績が落ちたら辞めるという条件で、バイトの許可を得た俺に死角は無かった。

 

 俺はこれからの生活に胸を高鳴らせながら校門を抜けた。



  そして、死んだ。




 ……もし、死んだ世界に対して一つ言わせてもらうなら、入学式を祝う看板はもっと強く取り付けることを徹底してほしい。


 決して外れることがないように。



死角はあった。


誤字・脱字報告、叱咤激励などお待ちしてます。

明るく何も考えず読める作品を目指します。


ネタは散りばめていくつもりです。

全部分かった方は作者と同じ年齢層かもしれません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ