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ローズクォーツ  作者: 奈月 心音
8/9

告白

「すみません、丸1日お世話になってしまって。しかも看病まで・・・」

お母さんがお礼のロールケーキを徳島先生に渡しながらペコペコ頭を下げた。

「いえいえ、いろんなお話をして楽しかったです。ねぇ?なっちゃん」

「うん!ご飯美味しかった」

努めて明るく答えた。

「まだ熱が下がってないので、病院に連れて行ってくださいね」

「ほんとに、お世話になりました。」




病院に行って家に帰ると、鏡をみた。鏡に映った私は目を赤く充血させていた。そっと指で目元に触れた。先生の細い指が触った目元。今度は髪の毛に触れた。先生の両腕が抱えこんでくれた頭。そして左胸に触れた。先生への「好き」をめいいっぱい伝えた鼓動。この一晩で私は先生でいっぱいになった。私は知らなかった。「好き」が大きくなりすぎると切なくなるということを。



次の日、学校に行くと妙に私に視線が集まるのを感じた。

『なんだろう、気持ち悪い。』

そう思いながら教室に入ると、友達がわーーっとかけよってきた。

「なつ!やったじゃん!」

「うらやましいぞ!」

身に覚えのない祝福の言葉。

「なになに?なんのこと?」

「郁実くんが、なつのこと好きなんだってーー!」

「ええええっ!?」

佐藤郁実くん。学校1のイケメン君で、女子なら一度は恋したことがあるはず。でも、その郁実くんがなんで私を?

キャーキャー言っていると郁実くんが登校してきた。

「おはよう」

にっこりスマイル。

「おはよぉーー!」

女子たちもかわいいあいさつで返した。

私は気づかれないように教室を出ようとした。すると、

「あ、なっちゃん!」

気づかれた…

「お、おはよ」

「おはよ、どこ行くの?」

「・・・トイレ」

「鞄持って?」

「・・・」

マズイ。完全に見抜かれてる。

「あ、置いていかなきゃ」

あははは、っとなんとも苦しい作り笑いをして出ようとした。が、

「逃げないで?」

しっかりと腕を掴まれた。視線が痛い。

「あの、離して・・・」

「噂って、もう聞いてたりする?」

「・・・今聞いた。」

「だったらさ、俺の気持ち、わかってるよね?」

「・・・」

どうしよう、どうしよう!通りたくないルートに足を踏み入れかけてる。

私には、徳島先生がいるもん。

「・・・ごめん、好きな人いる。」

やっとのことで声を絞り出した。郁実くんは驚いた顔。初めてふられたんだろうな。

「好きな人って、誰?俺の知ってるやつ?」

ううん、と首を振った。

「そっか、でもあきらめないから。」

そう言い残して郁実くんは席に戻った。

廊下から覗いていた女子の目が物凄く怖かった。

これからどうなるのか、だいたいの想像はついた。

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