ついに俺達異世界デビュー!!
全く予期していなかった返答のようで女神、レフィーナは戸惑っていた。そりゃそうだ。死んだ人間からねーそんな事言われたらね。
「えっと……それは抱きしめると言う意味でしょうか?」
腰まである長い金髪を揺らし、首を傾げながらレフィーナは言った。そう言う意味では無いけどね!
「でしたら無理です。私は一応、神なので。生身、いえ魂のままの貴方達が触れたら……」
「ふ、触れたら?」
俺とマツモトが息を揃えて問う。
「……消滅します」
レフィーナは俯きながらに言った。
フフッ、己の不幸に思わず笑みが自然と浮かんだ。
「……ちくしょおーぉぉぉぉああぁぁ! じゃああっちの意味でもアウトじゃねえか! 死ぬじゃねぇかぁ!!」
なんてこった!ここまできてボーナスすら無しとはっ! そりゃね、少しは期待してたよっ!
それが何だっ!触れた瞬間消滅って!くそッ、お約束パターンだったっ!
よく童話やいい話で有るやつだ。姫様が何でもしますっ!何て言ってんのに、どーせどこぞの王子でも、誰でも願いは一つ!
なのに、チキンなお話の主人公はそんな事聞けやしない!だからだよ!だから俺が実践してやったのに。
「じゃあ神にでもなれとでも言うのかっ!そんな無理ゲー設定したのどこの馬鹿だっ!」
そう叫んで俺は膝から崩れ落ちた。
「じゃあ、神になる方法とか無いのかよ? あったらモチベ上がるのになぁ」
マツモトはどうやらそっちの方が興味が、あるらしい。
そんな方法あるなら聞いて見たいもんだ。せいぜい魔王倒して勇者がこの手の話のいいとこだろう。
ちなみに、俺なら魔王倒した後、絶対王位頂きますけどねっ!そっちの方が絶対良い。
「あ、それならありますよ。先ほど、貴方達の蘇生する為にポイントが必要だと言いましたが、ポイントを更に集めると神になれます!」
神はまだ、見捨てていなかった。
コンティニューで蘇生したゲームの主人公のごとく俺は復活し、レフィーナの元へ、
「ま、ままままじかっ! じゃあっ! 俺がポイント集めて神になったらっ! その暁にはっ、」
触れたら消滅と言う条件を忘れて俺はレフィーナの顔へ30センチの距離まで近ずく。
「えっ、えっと? 抱くと言う約束ですね? 分かりました。貴方が神になった暁には、女神レフィーナの名に誓い、お約束いたします」
レフィーナは目を閉じて両手を胸の前で組み合わせ祈る仕草を取る。
……聞いたか?……聞いたな。
俺は思わず全力のガッツポーズを取った。
「うむ、俺個人の概念での抱くだからね?よし」
そう言って、レフィーナの目の前では平然を装った。
約束したぞっ! これで後から抱きしめるの方では無いんですか?とかは無しだっ!当然無しだっ!ずるい大人の作戦勝ちだ。
今日はなんと言う日だろうか。一時は雷に撃たれたり、変態扱いされかけたり、死んだ身だ。
しかし、今は復活からの童貞卒業の王手までかかった。
しかも、そこらの女じゃない! 女神、美人、金髪だっ!この三点セットは中々無いだろう。
嗚呼、神よ。女神レフィーナへ引き合わせてくれた、この更に上に神がいるなら、俺は明日から信じます。アーメン
「マツモト行こう。今からそのポイント稼ぎ。異世界へ行き、我々は生き返るぞっ!」
俺はマツモトへハイタッチの構えを見える。
「そうだな。俺もこちらの方がただの日常よりも面白そうだ」
俺とマツモトは高らかにハイタッチした。
行くぞっ!いざ、異世界へ!生き返る為に!(童貞卒業の為に!)
すると、レフィーナが何処からか、金色に光る杖を持ち出し、俺達の方へ掲げる。
「それではっ! 詳しい事は向こうに着いてから説明致しますので! お二人のご武運お祈りいたします」
すると地面へ穴が開き、真っ暗な穴へと俺とマツモトは落ちて行く。
目の前が真っ暗になって行き、次の瞬間、俺とマツモトは制服姿のまま草原に立っていた。
特に異世界と言う感じはなく、暑くも無ければ寒くも無いが、肌に触れる風の感覚や、太陽の暖かさは感じられる。
草原は何の変哲もなく、180度何も無かった。茂みや草が生え、まるでアフリカのサバンナのようだ。
この時点では特に変化は無い。初期装備とかつけて欲しいもんだけどな。武器とか。
そんな事を考えているとケータイからラインの着信音が聞こえる。
一応、確認するが電波は立っていない。けれど何故か、画面には友達追加していないレフィーナの着信が浮かんでいた。
マツモトのケータイも同じようで二人して着信に答えた。
「もしもしー? 聞こえてますかぁ? レフィーナですぅ」
女子との電話など始めてである。(まあ、お母さん以外ね)電話越しでも声が可愛い。
「お二人のケータイに私を魔法で アプリと呼ばれる形で保存しました。確認して見てくださいー」
なるほど、それは今風だな。確認すると確かに新しいアプリが追加されている。
『ステータス確認』
『アイテム、装備』
『モンスターブック』
『ポイント管理』
この4つのアプリが追加されていた。AppleStoreで販売してたらびっくりだな。ありそうって言ったらありそうだか。
とりあえず俺はステータスの画面を開く。
すると、自分の全身写真と共に、ステータスと説明が書かれている。
井田コタロウ
職業. 学生
攻撃120.防御120.素早さ120.HP500.
MP120 面白さ2
とある神の失敗により、不幸にされ、変態扱いされ、雷に撃たれ殺される。特に取り柄も無いが、周りの空気を読む事は得意。のくせに面倒ごとには突っ込む。童貞。
スキル Level1 『重力関与』
重力を自在にコントロール出来る。まぁ、それだけ。半径10m以内に限る。
装備品
頭 無し
胴体 学生服 防御+2
下半身 学生服 防御+2
靴 普通の運動靴 素早さ+2
……いちいち童貞って表記しなくてもいいくね? ってかスキルってなんだよ? ただそれだけっていちいち書く必要無いだろ。
なんか色々ツッコミ所あるな。
「レフィーナ、スキルってなんだ?」
「あ、スキルと言うのは貴方達の特技になります。MPを消費しない物は固有特技といって、一つだけ私が用意しました」
ふむ。重力をコントロールできるか。空飛べたりするのかな。夢が広がるぜ。
あ、そういや、マツモトの方はどうなんだろ。
マツモトの画面を覗くと、丁度スキル表記の画面だった。
スキルLevel1 『言葉使い』(ワードマスター)
自分の知っている概念を言葉で意思を持って話す事で、最大3分間具体的な物なら出現させる事が出来る。(生物は不可)
な、なんか俺のより強くね?
しかも二つ名まで付いてる。メチャかっこいいじゃねぇかっ!
それを悟ったマツモトがドヤ顔を決めてくる。
「 ……俺のスキル、悪くは無いな」
「死ね!」
その時、横の茂みが、ガサガサと揺れる。
初の戦闘の雰囲気を感じ、とりあえず俺とマツモトは戦闘態勢に入った。
遂に俺達の異世界の旅は始まった。
ーーーーマツモトの個人情報欄、この先機会があれば公開しますね。
ポイントの事は次回で触れます。果たして、コウスケの童貞卒業の日は来るんですかね。この小説のポイント評価は増えるのか笑笑ーーーー
評価、感想あればお願い致します!