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僕と親友と委員長とその他もろもろ  作者: 進路希望書忘れて自宅に取りに帰るだるさ
2/7

僕と親友と委員長たちで体操服発見

 俺らの校舎の反対側、第二校舎に一階にオカルト研究部の部室はある。ウチの学校はかなり広く、色々な校舎があるのだが、ここは木造校舎だ。


 かなり気が進まないけど……


 「あのさ、最後に体操服を見たのは何処なんだ? 一応聞いといた方が良いだろ?」


 ……委員長は真顔のまま無視。


 「もしかして、誰かに取られたのか?」


……返事が無いただのしかばねのようだ。本当に無反応極めてやがる。


 そして、オカルト研究部の部室の前に着く。正直開けたく無いけど引き受けちまったし。


 「お邪魔しまーす」


 ドアをノックしてから部室のドアを開ける。


 オカルト研究部の中は全ての窓が塞がれ、光が入らないようにされている。室内は色つきビニールで囲まれた蛍光灯の光で赤く染まっていて目が痛い。



 部屋にはよくわからない道具が並べられており、2、3人の部員が魔女みたいな格好で何かしてる。


 「宇宙からのぉ……宇宙からのコスモパワーがわが身にイイイイイィィイ!」


 「見える……私と世界の未来が! 嗚呼、神よ!何故世界とはこれほどに複雑なのでしょうか」


 「なあ、ちょいそろそろラオ狩に行こうぜ」


 こんな感じの会話の中、俺たちは奥へ向かう。最後のやつ何してんた。ラオぐらいソロで行けよ。


 最深部の机に座る3年生紫に染めたロングヘアに170以上の長身。胸はDぐらいかな?中々です。完全魔女黒ローブ姿の彼女はそこに座っている。


 「フフッ、久しぶりねぇ〜コウスケちゃん。此処に来ると言うことは遂に貴方にも真理への道が……」


 「真理には興味無いんですが、うちのクラスメイトの持ち物がなくなってしまいまして。水無月先輩、あれやってくれませんか」


 この人はオカルト研究部の部長、水無月零(ミナヅキレイ)先輩。他はしらこいがこの人ばっかは本物かも知れないと思う。


 「まず、理解するのでは無いわぁ〜。感じるのよぉ〜。私達の周りにある微弱な……」


 はよせいや。


 この先輩。オカルト研究部でまともに会話出来る数少ない1人なのだが、話が長い。


 「あの先輩、分かりましたから。今回は探し物あるんです。いつもので探してください」


 「嫌よ」


 wow.即答。


 「あのーそこを何とかしてくれませんか? ウチの委員長の体操服が無くて困ってるんです。先輩困ったらいつでも来なさいって言ってたじゃないですか」


 水無月先輩はむすっとした表情で困る俺と委員長を見ている。頼むから早くして欲しい。何故ゴネる。


 水無月先輩は俺をキリッと睨み、ぷくーっとわざとらしく頬を膨らますと、


 「確かに困った時は何時でも来なさいとは言ったけどぉ〜、コウスケちゃんいつの間に女連れでくるようになったのかしらぁん?」


 先輩が怒ってるのそこかっ!


 「いやいや、委員長はそんなんじゃ無いですよ。唯のクラスメイトです」


 水無月先輩は腕を組んで椅子から立ち上がり、フッと笑うと


 「黙りなさい! そんな言い訳は学園ラブコメで見飽きてるのよぉ!」


 いきなり切れた。何で?


 すると、大声を聞きつけた2、3人の部員が慌てながらに走ってくる。


 「ダメだぁぁー!部長はリア充に対して殺意を抱いてるんだぁ」


 「自分を理解してくれる異性を探すけれど、既に学校中からオカルト好きの変人だと思われてて、彼氏が出来ない事を気にしてるんだぞぉー!」


 「ヤベェー! 残り時間5分だぁー。バリスタ使わなきゃ勝てん!」


 部員が慌てる所を見ると、地雷を踏んでしまったようだ。


 「水無月先輩っ!落ち着いて下さい!俺と委員長は何でもありませんから!」

 

 何で俺が修羅場にいるみたいな状況に陥らなきゃならんのだっ!リア充でもなんでもないのに。後、最後の奴!何こんな時にソロでラオ行ってんだ!


 「もういいわ。この際」


 水無月先輩が不気味な笑みを浮かべる。ダメだ!何か壊れてるっぽい。


 「な、何が良いんですか?委員長の体操……」


 「私は2番目でもいいわぁ! 集団交際だろうが一家多妻だろうが何でも良いっ!男ぉぉおっ!」



 だめだこの先輩! なんか壊れてる!


 「委員長行くぞっ!」


 俺は委員長の手を取ってオカルト部の部室から逃げる。


 後ろからはとんでもない形相をした水無月先輩が追ってくる。


 「まてえぇぇぇぇっ! 男ぉぉぉーーーせめて男を紹介しろおぉぉぉ!!」


 なんだよあれっ!超怖い!千と○尋のカオナシみたいだ。


 全力で一年の校舎まで逃げ帰り、水無月先輩を振り切った。一年の廊下までは流石に追ってこなかったな。



 委員長は顔を真っ赤にして目を伏せ、もじもじしている。


 「あ……あの……手」


 ん? あっ、そういえば委員長の手を引いたままここまで来たっけ。あーなるほどだから委員長がこんな顔真っ赤にして、周りの生徒全員の目線がこっち向いて……あっ


 女子生徒からは驚愕の眼差し、男子生徒からは妬みの眼差しが痛いほど感じられる。


 「コウスケくんさぁ……夏休み明け早々に委員長と廊下で手を繋ぎながら歩くとは、夏休みで随分仲良くなったんだなぁ……」


 廊下でクラスの友人、寺島が話しかけてくる。勉強が得意な普通の高校生。相変わらずモッサリした黒髪だ。何か凄い妬みみたいな、怨念みたいなオーラを漂わせてる。


 いやいやいや、全然そんなんじゃ無いからっ!


 「またまた、しらばっくれやがって……いいよ、どうせ冴えない僕みたいな帰宅部の何の取り柄も無い、勉強しか出来ないよーな奴に女子は振り向いてはくれないのさ」


 何か面倒な奴ばっかり会うな今日。


 「所で、お前委員長の体操服見なかったか?」


 「なっ……そんな物は知らないねっ! 何で俺がそんな事知ってるんだっ!」


 目を泳がせてどう見ても挙動不審な寺島。怪しい過ぎるなこいつ。


 「寺島、お前何か隠してるだろ」


 「かっ、かっ、隠してなどいないっ!」


 寺島は逃げ出した。


 ダッダッダッダと廊下を大急ぎでかけて行く。



 ここで昼休みが終了したので俺と委員長は教室へ戻った。


 委員長は無言で俺の手を解いて、自分の席へ帰ってしまった。

 手を繋いでから何だか気まずい。ちなみに寺島は戻ってこなかった。



 授業が終わり、放課後まで付き合わされるのは勘弁して欲しいので、俺はマツモトと委員長に声を掛けずに教室を後にした。


 委員長とは単純に気まずかったのもあった。


 階段を降り、下駄箱を開けて靴を取り出そうと下駄箱を開けた。


 刹那、2枚の服が下駄箱からバッサッと地面へ落ちる。どう見ても俺の物では無く、そして男物でも無いそれは、


 しっかりと名前に”神谷”と刺繍がしてあった。


 委員長の体操服である。





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