そして決戦へ
「聖治様?」
と、俺が今日の朝からの出来事を思い返していると、隣を歩く清夏が話しかけてきた。
「え? あ、ああ。すまん。ちょっと考え事をしていた」
「考え事……今日のホーリーセイバーとの戦いのことですか?」
違う、と言うのもなんだかおかしな話だったので、俺はそう応えた。
すると清夏はニヤリと微笑み、俺を見る。
「安心してください。聖治様は何もする必要はございません。全てこの私、ホーリーブルー……いえ、ダークセイバーにお任せ下さい……」
不適な笑みを浮かべる清夏。
確かに問題はある。だが、それは正義の味方と悪の組織の戦いの範疇の外の話だ。
まずは、コイツが俺の世界征服にどれほど役に立つかを見際まめる必要がある。
俺も悪の親分のそれにふさわしくニヤリと笑った。
「ああ……楽しみにしているぞ……ダークセイバーよ」
「はい。お任せください。ドクターフェルシル様」
妖艶に笑う清夏は、まさしく、悪の組織の一員としてふさわしい表情をしていたのだった。
そして、ついに放課後となった。
俺達……というのは、俺と清夏がそのまま片岡の車の待っている場所へと向かっていた。
そして、既にそこには片岡が車を止めていた。
「あ、坊ちゃま……と、清夏様」
「ああ。片岡……真奈はどうした?」
「え……あ、ああ。真奈様はご気分が優れないとのことでしたので、先にお帰りになっていただきました」
「何? 帰った?」
「はい。私が急いでお送りいたしまして……今はお屋敷で休養中です」
「そ、そうか……それなら仕方ないな。真奈の分までホーリーセイバーと存分に戦うとするかな」
片岡は相変らず不安そうな顔であった。
しかし、片岡が不安そうなのはいつものことだ。
俺は車に乗り込むと、今から始まる予想のつかない展開に、胸を躍らせていたのだった。