悪の組織の手下として 4
さすがの俺も呆然としてしまった。
一体真奈はどうしたというのだろうか。せっかくうまい料理を食べられたというのに。
が、見てみると、真奈はほとんど清夏の料理に手をつけていなかった。
「……なんだ? 真奈のやつ、食欲でもなかったのか?」
「あ……ご、ご主人様……」
「ん? なんだ? 彩子」
と、再び彩子がためらいがちに俺に話しかけてきた。
「え、えっと……そ、その……真奈様、いいんですか?」
「え? いいんですか、って?」
「だ、だから……追いかけなくてもよろしいんですか?」
そう言われても俺はキョトンとすることしかできなかった。
追いかけると言われても……いきなり立ち上がっていってしまったわけだし、第一俺には真奈がなぜそんな行動に出たのか理由がわからなかった。
「どうしてだ? 追いかけた方がいいのか?」
「え……あ……御主人様……」
彩子は何かをあきらめたかのように、悲しそうに下を向いた。
なんだかわからないが、今日は俺の周りの奴らが少し変な感じである。
「聖治様」
そんな風に困っていると、俺の後ろからいつの間にか制服に着替えていた清夏が顔を出した。
「ああ、清夏。そうか。学校だよな」
「はい。さぁ、行きましょう」
俺が立ち上がるとまた清夏が俺の腕にくっ付いてきた。
「……清夏。その……歩きにくいから離れてくれ」
「いいえ。私は聖治様の忠実な手下です。いつでもどこにいても、共におります」
俺は溜息をついた。
問題点はまず、ここだった。
確かに料理も旨いし、メイド服姿は可愛いのだが……どうも俺あまりにも俺にくっ付きすぎるのである。