ホーリーセイバーの危機 2
しかし、奈緒の言うことも最もである。
なぜ、清夏は急にホーリーセイバーをやめ、俺、ダークネクロムの手先になるだなんてことをしようと思ったのだろう。
それだけはいくら考えてもわからない。
そんな風に考えているとチャイムがなり、教師が教室に入ってきた。
「……うん。ボク、後で一条さんに聞いてみるよ」
「……まさかとは思うが、奈緒よ。どうしてホーリーセイバーをやめるのか、って聞くのか?」
「え? ダメなの?」
どうやらそのまま直接聞く気だったらしい。
もっとも、俺もどうやってそれを聞けばいいのか、いい案が思いつかなかったので奈緒には何も言えなかった。
「……いや。聞いてくれ。俺も知りたいしな」
「うん……ボクは、一条さんと親しい仲ってわけでもないけど……それでもこの一年、一緒にホーリーセイバーをやってきた仲だもん。納得できないから……」
そういって奈緒はそのまま席に戻って言った。
確かに、奈緒が清夏に事の真相を聞いて、それで清夏が改心してホーリーブルーに戻るというのなら問題ない。
だが、たぶん、それはないだろう。
奈緒では清夏を説得できない気がする。
逆に奈緒までも悪の道に落ちることを説得されて、奈緒までもが梅木の屋敷にやってくることになりそうだ……
「……それは、困るな」
そう呟いて俺は前のほうの席を見る。
そこには真奈の後ろ姿があった。
と、真奈も俺の視線を感じたのか、いきなり後ろを振り返った。
俺はいきなりのことに驚いて動揺しながらも、なんとなくごまかすように真奈に笑いかけてみた。
しかし、真奈はまるで親の仇を睨むような瞳で俺を見て、そのまま前に向き直ってしまった。
そう。ホーリーセイバー崩壊の危機も問題だが、それよりも、いや、それ以上に深刻な問題があったのだった……