衝撃! 裏切りの乙女隊! 2
しかし、果たして一条がホーリーセイバーをやめるというのは本当なのだろうか。
もし、これではい、そうですか、といって一条を迎え入れてしまっては、敵に懐を許すことに他ならない。
いくら言葉で言われても俺は信じることができないのだった。
「……そうですか。信じてもらえませんか」
と、一条は立ち上がり俺の方へ歩み寄ってきた。俺はつい身構えてしまう。
俺を真っ直ぐに見つめる一条。
「な、なんだ……?」
俺がそう尋ねた瞬間、一条は深く俺に頭を下げた。
「私は既に正義の味方であることをやめました。既に帰る場所はありません。ですから、どうか、私をアナタの手下にしてください。梅木君……いえ、聖冶様……いいえ、ドクターフェルシル様」
下僕、という言葉に俺はつい反応してしまう。
今まで孤独にドクターフェルシルとして戦ってきた。
どんな時でも信じられるのは俺自身だけだった。
そんな悪の首領である俺にとって手下、という言葉はあまりにも刺激的すぎたのだ。
そうか、ついに俺にも手下が……
実は夢にまで展開だったのだ。
やっぱり悪の親玉には右腕となる手下の一人くらいはいないといけないと思うのだ。
だからこそ、一条の申し出は俺にとって十分すぎるほどに魅力的だった。
「……ちょっと、聖冶」
「え? あ、ああ……」
と、つい夢の実現を妄想していまい、俺は真奈に小突かれる。
そして、再び一条に顔を向きなおした。
「あー……そ、そうだな……し、ボクか……う、うーん……つ、つまり、それは俺が死ねといえば死ぬくらいの覚悟がある、ってことか?」
すると一条はいきなり俺の両手を掴んで思いっきり顔を近づけてきた。
「ええ! もちろんです! 私はもし、聖冶様が私のことを手下にしてくれるのなら、どんなことでもする次第です! 聖冶様が望むのならどんなことでもします!」
そういう目は真剣そのものだった。
それこそ、これまで俺に対し正義の理想を掲げる時の一条の目つきそのものだったのである。