衝撃! 裏切りの乙女隊! 1
「……本気、なのか?」
食事を片付けた後のリビングのテーブルで、俺と真奈、そして、一条は向かい合った。
一条は特に動揺しているという風もなく、俺と真奈を見ている。
「ええ。もちろんです。こうして変身もせずに敵のアジトに潜入してきた以上、私の気持ちがどの程度のものかは分かっていただけると思います」
ニッコリと俺に笑い返す一条。
俺は苦々しい顔でその表情を見ることしか出来なかった。
今目の前にいるのは誰だ?
一条清夏。松竹高校生徒会長にして、正義の味方ホーリーブルー。
いつも俺に対しては正義の美徳に溢れたご高説を垂れ、悪事を働くのはやめろだの、世界征服なんて馬鹿げた真似は諦めろ、と言ってくる奴だ。
なのに、ソイツが、いきなり正義の味方をやめたというのだ。
それを素直に信じる、と言う方が無茶である。
「……信じられないな。お前は今日だって俺と戦う前に言っていたじゃないか。私達は正義の味方で、悪逆の限りを尽くすアナタを決して許さない、と」
「ええ。言いましたよ。心にもないことを言うのは本当に疲れることです」
「心にもない……だと?」
「はい。梅木君も思いませんでしたか? 私のセリフ、一々白々しいな、って」
「え? あ……ま、まぁ……」
確かに、聞いていて薄ら寒いというか、本心でこんなことを言っているのかと疑いたくなるほどのセリフを一条は毎日のように俺に言って来ていた。
「でしょう? 私もいい加減それにも飽きてきたんです。
正義の味方ぶるのも、いい子ちゃんぶるのも。だから、もう私、それだったらいっそ悪い奴になったらいいんじゃないか、って思って、こうしてここに来たわけです」
俺は今一度そう言う一条の顔を見た。
一条は張り付けたような笑顔のままで俺を見ている。