ボクのヒーロー 3
「……いや、それじゃダメだ」
「え?」
奈緒はキョトンとして俺の方を振り向く。
俺はベンチから立ち上がって奈緒を見た。
「……その……もしかしたら、ドクターフェルシルはまた、同じような手でお前に攻撃をしかけてくるかもしれない」
「え……う、うん。そうだね。で、でも――」
「だから! ……だから……その……なんだ。教えてやるよ」
「……え?」
「だ、だからな! お前に俺が! 梅木聖冶が! 勉強を教えてやるって言っているんだ! いいか! 勘違いするなよ! ドクターフェルシルじゃない! 俺、梅木聖冶が教えてやるんだからな! 覚悟しろよ!」
少し恥ずかしかったが、俺はそういい切った。
奈緒は相変らずキョトンとして俺を見ていた。
しかし、すぐに俺の言った意味がわかったのか、顔をぱぁっとさせて俺を見てきた。
「聖冶!」
そして、そのまま思いっきり俺に飛びついてきたのだった。
「あ、あがっ!? ちょ、ちょっと、お、おま……だ、抱きつくなっ!」
「聖冶! 聖冶は……やっぱり、ボクにとっての正義のヒーローだよ!」
嬉しそうな調子で奈緒は俺にそう言ってきた。
「ち、違う! お、俺は! 悪の組織の首領! ドクターフェルシルなんだよ! お、おい! 離れろ!」
無論、俺はその言葉を全力で否定する。
そのまま奈緒は俺から離れず、いつまでもいつまでも俺にしがみついていた。
結局、真奈の言う通り、また正義の味方と「慣れ合ってしまった」わけなのであるが……こうなってしまうのは避けられな勝った事態のような気がする。
それに、俺としても、この結果に対し、なんだか、やっぱりこれでいいんだ、と俺は心の底から納得できたのだった。




