表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/114

ボクのヒーロー 1

「……ねぇ。昔、ボクがイジメられてたこと、覚えている?」


 隣に座っている奈緒がいきなりそう切り出してきたので、俺は思わず戸惑ってしまった。


「え? お、お前が……イジメられてた?」


「……うん。ボクさぁ、今でもそうだけど、昔っからホントに勉強できなかったでしょ?」


「ま、まぁ……それは、そうだな……」


「それでもさ、ボクとしてはよかったんだ。勉強なんてできなくても。それにボクには勉強のできる聖冶、って幼馴染がいたしね」


 嬉しそうに笑う奈緒。


「でも、そんな風にしてたら、勉強ができる女の子達のグループから目をつけられちゃってさ。馬鹿の癖に調子に乗るなー、って。結構酷いこと言われちゃったんだよね」


「……思い出したぞ。あったな。そんなこと」


 そうだ。確かにあった。


 あれは確か小学生の頃だ。


 奈緒は勉強のできる女の子のグループにその奔放さを疎ましく思われ、イジメを受けていたのである。


「うん……じゃ、じゃあさ、そのイジメの話、最後どうなったかも、思い出した?」


 そういって奈緒は俺の方に顔を近づけてきた。


 女の子に顔を近づけられるという経験はそこまで俺にとって珍しくない。


 俺には真奈という許婚がいる。


 しかし、幼馴染である奈緒にそういう風な仕草を取られるとどこかドキっとするものがあった。


「え、えっと……ど、どうだったか……と、時が解決してくれたとかじゃないのか?」


 すると奈緒は少し残念そうにはぁ、と溜息をつく。


 それから、ニヤニヤと微笑みながら俺を見た。


 なんだ? 何か、そのイジメの問題の顛末にまさか俺が関係あるって言うんじゃ――


「『勉強なんてできなくたっていい。お前にはお前のいい所があるんだから』……こんな正義の味方みたいなカッコイイセリフを言ったのは誰だったかなぁ?」


 そういう奈緒の言葉で俺ははっきりと思い出した。


 そして、顔が真っ赤になっていくのを直に感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ