消沈の機動乙女 6
俺は立ち上がって泣いている奈緒の前に立つ。
「えっぐ……ぐすっ……ひぐっ……ぐすっ……ご、ごめんなさい……聖冶ぃ……」
「……もう、泣くな」
そういって俺はポンポンと奈緒の頭を叩いてやった。
奈緒は涙で一杯の瞳を上げて俺を見る。
「ひぐっ……うわぁぁぁぁぁん!」
そのまま奈緒は俺に飛びついてきてしまった。そのまま俺達は抱き合う体制となる。
「ちょ……な、奈緒……」
俺は戸惑ったが、かといって奈緒を拒むこともできなかった。
「ひぐっ……ご、ごめんなさぁい……え、えぐっ……ごめんなさぁい……」
柔らかな女の子の身体が押し付けられる。しかし、それ以上に俺の目の前で大泣きしている奈緒のほうが問題だった。
俺は優しくもう一度奈緒の頭を撫でたのだった。
奈緒はそれから泣いていたが、しばらくするとなんとか落ち着いたようだった。
俺は公園のベンチに座ることを奈緒に提案し、そのまま二人で隣り合ってベンチに座った。
「……落ち着いたか?」
「……うん」
まだときたましゃくりあげる奈緒に俺は尋ねた。
「……そうか。まぁ……なんだ……すまなかった」
俺はそういって頭を下げた。
悪の首領が正義の味方に頭を下げるなんてあってはならないことだとは思うが、そんなことは今は言っていられないのだ。
「そ、そんな……聖冶。や、やめてよ。頭を上げて」
「し、しかし……」
「ぼ、ボクの方こそ、ホントに……ごめんね……勝手に帰っちゃって……」
奈緒はまたすまなそうにうつむいてしまった。
「……でも、ちょっと、ショックだったんだ」
奈緒は俺の方を身ながらそう言った。俺も目を反らさず奈緒を見ていた。