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激突! 異世界での戦い! 6

「な……なんだ?」


「……うぐっ……ひぐっ……」


 と、聞こえてきたのは嗚咽だった。


「……え?」


 モニターを見ると、イエローが、泣いている。


 泣いているのだ。正義の味方であるはずのホーリーイエローが、泣いているのである。


「ひっぐ……そんなぁ……ひ、酷いよぉ……ふぇっ……ぐすっ……そ、そんな風にいわなくてもぉ……」


 と、見ると、ホーリーイエローはそのまま地面に座り込んでしまった。


 どうやら泣いているようである。


「え、あ……お、おい! ホーリーイエロー! な、なぜ、泣く!? い、今は戦闘中だろうが!」


「ぐすっ……えっぐ……」


 しかし、ホーリーイエローは泣くのをやめようとしない。俺はいい加減イライラしてきた。


 なぜ、泣く?


 今は戦闘中だぞ? なのに、どうして真面目に戦わない? せっかく、今俺がホーリーセイバーを圧倒しているというのに……


「おい! ホーリーイエロー! いい加減にしろ! そうやって戦闘中に泣いて……お前は緊張感がないからそんなことができるんだ! そんなだから、勉強もできないんだよ!」


 するとサイコカオスをイエローはもう一度見上げた。


 ヘルメットからかすかに見えるその下の奈緒の瞳は悲しげにサイコカオスを……


 いや。操縦している俺を見つめているようだった。


「……帰る」


「……へ?」


 かすかに聞こえたのは「帰る」という言葉だった。


 すると、イエローは立ち上がる。そして、そのままサイコカオスに背を向けて、トボトボと歩いていくではないか。


「お、おい! ふざけるな! せ、戦闘中に帰る正義の味方がいるか! 帰って来い! ホーリーイエロー! まだ勝負は――」


「うるさい!」


 と、イエローはサイコカオス、そして、俺に向かって大声で怒鳴った。


 ヘルメットの下の瞳は完全に悲しげにウルウルと俺を見ていたのだった。


「……聖冶の……馬鹿ぁぁぁぁぁ!」


 そう叫んだかと思うと、そのままイエローの身体が光、そのままネクロム界から消失してしまった。


 イエローは、マジでそのまま現実世界に帰ってしまったのである。


「お、おい! イエロー!」


 そんなイエローを見て俺は、コックピット内に間抜けにそう叫ぶことしかできなかった。


 走っていくイエローにレッドが声をかける。しかし、イエローはそのまま行ってしまった。

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