激突! 異世界での戦い! 4
俺の作戦とは、ホーリーイエロー、つまり、横井奈緒に対し、問題を出すことだった。
勉強のできない奈緒の応えられない問題など俺にはすぐに思いつく。
そして、純粋な性格の奈緒なら、敵の親玉から出された問題でも素直に考えて応えようとしてしまう。
しかし、奈緒にはそれが簡単には答えられない。答えられないのに、真面目に考えてしまう……
その考えてしまう間に隙ができる、と俺は思ったのだ。その隙を叩く。そうすれば、ホーリーイエローに一撃を加えられるのではないか、と。
そして、それは実際に成功したのだ。
ホーリーセイバーに一撃加えられた……それは世界征服を始めてから約一年、随分と久しぶりのことだった。
最初の方はホーリーセイバー側も不慣れで、よく俺の攻撃も当たっていたのだが、それもホーリーセイバーが慣れてしまうと俺のサイコカオスの攻撃はかすりもしなくなってしまった。
しかし、今、確実に俺のサイコカオスの攻撃はホーリーセイバーを捕らえ、一撃を与えたのだ。
「イエロー!」
レッドが、吹き飛ばされたイエローに駆け寄る。
「イエロー! 大丈夫か!?」
「い、いたた……う、うん……だ、大丈夫だよ……」
もちろん、本来ならばサイコカオス級の大きさのロボットの拳の一撃は自動車がそのまま突撃してきたものと一緒。
常人ならば下手をすれば死んでしまう。
しかし、バトルスーツに包まれたホーリーセイバーにとってはその攻撃は大きく半減されてしまうのだが、かといって、無効化できるわけではない。
それなりに大きなダメージ、言うなれば、常人が普通に殴られたぐらいの一撃となって伝わるのだった。
ましてやスーツの下は普通の女の子だ。殴られれば相応のショックですぐには立ち直ることもできない。
「ひ、卑怯ですよ! ドクターフェルシル!」
ブルーがそう叫ぶ。
卑怯。
その言葉を聞いて、俺の心が弾む。
なんだ、この感覚は。今まで感じたことのない感覚だ。今まで卑怯なんて一度も言われたことがなかった。
本来ならばそれはけなしの言葉で、女の子から言われればショックを受けるはずの言葉だ。
だが、不思議とショックは感じない。
むしろ、言われて清々しさすら感じる。
……それはそうだ。なんてたって、俺は――
「はっはっは! そうさ! 俺は悪の組織の首領だからな! 卑怯でもなんとでも言うがいい!」