激突! 異世界での戦い! 1
そして、光が治まり、モニターが回復した。
モニター越しに広がるのは荒廃した世界。
ネクロム界。ホーリーセイバーとダークネクロムの戦いの場である異世界だった。
俺は操縦席の椅子の両脇にあるレバーを握り閉める。
このレバーによって、サイコカオスの全ての行動が行われるのだ。
レバーのどんなに微細な動きでもこのサイコカオスは再現できる。
それは彩子の制御あってこそのことであるが、だからこそ、まるで人間のような動きを可能にしているのだ。
現在の人間の世界では実現できないロボット。ダークネクロムだからこそ、実現できたロボットなのだ。
俺はモニターを切り替えて回りを見回すが、人影はない。
「……まだホーリーセイバー共は来ていないか」
そう呟いてから、俺は再びコックピットの椅子に深く体を預ける。
しかし、本当にうまくいくのだろうか?
いや、うまくいくことは目に見えている。確立はほとんど100パーセントといってもいい。
だが、問題は果たして、これはやってもいい作戦なのか、ということだった。
真奈に言われたことを俺はもう一度思い出す。
俺はこの作戦を行うことで、果たしてどんな結果を生むのか、ちゃんと理解できているのか……
「理解はできている……だから、やるんだ」
俺はもう一度強く操縦レバーを握った。
やる。やるんだ。俺は、今日こそ、やるんだ。
まるで自己暗示のように何度も俺はそう言い聞かせた。
そして、それから十分後――
「……来たか」
モニターには三人の制服姿の少女達が映しだされていた。
俺はスピーカーと連動しているマイクに口を近づける。
「表れたな! ホーリーセイバー共! 今日こそ、お前らを八つ裂きにしてくれるわ!」
ついに、現れたホーリーセイバー。
戦いの火ぶたは、切って落とされたのである。