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燃える赤は正義の証! ホーリーレッド! 5

 戦法を変える……か。


 簡単に言ってくれるが、それも充分にやってきたのだ。手を買え品を変え、ホーリーセイバーに挑んできた。


 だが、どれも芳しい結果を生まなかったからこうして悩んでいるのである。


「後は……残っているとしたら、精神的動揺を誘う、ことかな」


「精神的動揺?」


「ああ。よくあるだろう? 過去のトラウマとか、自分の弱点を握られてそれを敵に付かれてピンチになる、って展開。ああいうのも、マンネリからの脱出にはちょうどいい展開だよな」


「ふむ……というか、お前、よくもまぁ、そんなに戦隊ヒーローモノの展開について詳しいな」


 すると赤沢は顔を真っ赤にして俺に迫ってきた。


「ち、違う! べ、別にオタクとかそういうわけじゃないからな! わ、私は、ただ単にそういうのが好きなだけだ!」


 赤沢は全力でそれを否定し来た。その剣幕に思わず俺も呆然としてしまう。


「あ、ああ……わかったから。別にオタクとかは思っていない」


 そんな必死に否定しなくてもいいだろうに……とも思ったが、赤沢の方は恥ずかしくて仕方がないようだった。


「と、とにかく! そんな感じだ! あ、あぁ~! もう、いいだろう。こんなもんで」


「え? お、おい、ちょっと待てよ。お前と話しているとなんだか解決策が見付かりそうなんだ。もう少し付き合ってくれ!」


 そういって俺はつい赤沢の肩を掴んでしまう。と、赤沢は先ほどよりも真っ赤になって俺を見た。


「は、はぁ!? ふ、ふざけるな! な、何が悲しくて正義の味方が、悪の組織の首領に、変化のついた戦い方を教えなきゃいけないんだ!?」


「頼む! お前だって、もっと展開のある悪と正義の戦いを望んでいるだろう!?」


「そ、そりゃあ、まぁ……」


「だったら!」


 しかし、赤沢は困った顔をして俺を見た。その頬は微妙に紅く、なぜか恥ずかしそうに俺から目を反らしていた。


「お、おい、赤沢?」


 と、その瞬間、チャイムが鳴った。


 赤沢はそれを狙っていたかのように、俺の腕を振り解き、そのまま屋上から降りる階段へと向かっていった。


「お、おい! 赤沢!」


 すると、赤沢はふり返って、その鋭い視線を俺にぶつけながら、大きな声で言った。


「ドクターフェルシル! 次に会うときが貴様の最期だ! 今度こそ、悪を打ち滅ぼしてやる!」


 そう「決めセリフ」を言って、そのまま赤沢は颯爽と姿を消したのだった。


 残された俺は呆然とその姿を見送った。


「……やっぱり、戦隊モノ、好きなんだなぁ」


 残された俺はそうポツリと呟いたのだった。

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