燃える赤は正義の証! ホーリーレッド! 2
「お、お前……何しに来た?」
思わず俺は身構えてしまう。
しかし、そんな風に身構える俺の隣に、赤沢はなんともなしという風にやってきて、屋上の柵に寄りかかった。
「何しに、って……私は相変らずこの屋上がお気に入りの場所でな。前にも言わなかったか?」
そういって俺の方を向く赤沢。
相変らず眼光は鋭いが、口調はどちらかというとフランクだった。
あまりブルーやイエローと比べてあまりつながりがないレッドだが、全くつながりがないわけではない。
ホーリーレッド……赤沢暁美とはよく屋上で会う。不良らしく屋上にはよく来るのがコイツの習慣なのである。
だから、ホーリーレッド、赤沢暁美とこうして屋上で遭遇するのも初めてではない。
既にも何度か赤沢とは屋上で出会っているのだ。
「そ、そうか……相変らず、サボリに来ている、というわけか」
「あはは……サボリ、か。そうだな。私は相変らずこの高校では問題児。不良のレッテルを貼られているな。最も、そんな不良が世界のために正義の味方をやっている、っていうのもおかしな話だ」
嬉しそうにそういう赤沢。
俺はなんと返したらいいのかわからなかった。
そもそも、コイツは一体何を思ってホーリーセイバーをやっているのか。何も考えていないであろう奈緒、そして、正義のことしか頭にない一条と違い、コイツは何を思って俺との戦いに望んでいるのか。
ただ、ホーリーレッドだけはどちらかというと、真面目に「正義の味方」をやっているような気がする。
それこそ、模範的な味方だ。悪役である俺の口上にも乗ってきてくれたりするし。
その点では最も、俺の理想とする敵としての正義の味方なのかもしれなかった。
「どうした? 梅木」
「あ、ああ。いや……お、おい、赤沢」
「ん? なんだ?」
「お前は……俺と戦っている時、何を考えている?」
いきなりの質問に戸惑ったのか、赤沢はキョトンとして俺を見た。
「何って……特には何も考えていないが……」
「何も考えず……戦っているのか?」
「ああ。問題児の私にとっては、世界の平和とか、地球のために、とかそういう言葉は全然ピンと来なくてね。ただ、戦え、って言われているから戦っているって感じかな」
照れくさそうに笑いながら、赤沢は俺にそう返事してきたのだった。