燃える赤は正義の証! ホーリーレッド! 1
もやもやとした気分のまま、昼休みまで迎えてしまった。
今日も今日とて、学校が終わればまたホーリーセイバーとの戦闘である。
このままでは、結果は目に見えている。またなんの見せ場もなく、俺と、サイコカオスは惨めに敗北するのだ。
「はぁ……」
俺はまた溜息をついた。こんな溜息ばかりつく悪の組織の首領というのもどうなんだろうか。
今いるのは松竹高校の校舎の屋上だ。こんな所は、普通の生徒は入ってこない。
来るとしたら、不良か、俺のような悩みを抱えた生徒だろう。
俺は極たまにこの屋上へとやってくる。今のように悩んでいない時でも来ていた。
そして、この広い大空を見て、思うのだ。いつかはこの大空の下全てを自分のものにするのだ、と。
しかし、今はとてもそんな気分にはなれなかった。
「一体、どうすれば、片岡の言ったようになれるのか……」
「おい」
と、いきなり後ろから声をかけられてビクンと反応する。
「珍しいな。こんな所にお前のような奴がいるとは」
「なっ……お、お前は……」
と、後ろをふり返った所にいたのは、髪を頭の後ろで一つにまとめた、
凛とした雰囲気の少女。
その鋭い眼光で一瞬でその人物を判断できた。
「ほ、ホーリーレッド……!」
「ふっ……なんだ、元気がなさそうじゃないか。ドクターフェルシル」
そこにいたのは紛れもなくホーリーレッド、赤沢暁美だった。
相変わらずの近寄りがたい雰囲気をかもしつつ、不敵な笑みで俺を見ている。
やはり、コイツは正義の味方と言うか……どちらかというと、悪役の方が適しているように見えるのだった。