若き首領の悩み 2
そこでは昨日と同じように、真奈が既に食事を始めていた。
「おはよう、聖冶」
「ああ。おはよう、真奈」
「また、負けたわね」
俺が椅子に座ると同時に、はっきりと俺の耳に聞こえるように真奈はそう言った。
「……そうだな。これで402敗目だな」
「しかも、相変らず代わり映えしないやられ方で。ワンパターンじゃないの」
確かに。昨日の戦いも一昨日の戦いとほとんど変わらなかった。
いつも通り、サイコカオスでホーリーセイバーに襲い掛かるものの、サイコカオスの攻撃をホーリーセイバーはことごとく受け止める。
そして、最終的には、ホーリーセイバーの必殺技で、サイコカオスは機能停止、というこれまでで最も多く経験してきた敗北のパターンだった。
俺は何も言えずに目の前の朝食を口に流し込む。
「戦っていない私が言うのもなんだけど、もうちょっと戦いに変化をつけたらいいんじゃないかしら」
「……それは去年、散々やった。その全てが敗北という結果だったのも、お前だって覚えているだろ」
「そうね。でも、もしかしたら、やっていないパターンだってあるかもしれないじゃない」
……そんなことはない。
去年一年で俺はホーリーセイバーに対し、ありとあらゆる方法で戦いを挑んだ。
サイコカオスを考えられるだけ改良し、それらの改良型を全力でホーリーセイバーにぶつけてきた。
しかし、その全てが失敗。幼い頃から英才教育を受け、凡人のはるか上を行く頭脳の俺としては、その結果を見て悟ったのだ。
どんなに戦い方を変えても、どんなにサイコカオスを改良しても、ホーリーセイバーには適わないのだ。
結果として、俺はサイコカオスの改良をやめ、ホーリーセイバー打倒の道筋も見えないままに戦っている。
そんな状況だからこそ、変化の訪れを望んでいるのだった。