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若き首領の悩み 1

「……はぁ」


 次の日、俺はベッドの上で起き上がって大きく溜息をついた。


 昨日も……負けたのだ。


 ついに402敗北目。数字だけ考えるといささか気が遠くなるような数字である。


 そしていつも通り俺は奴らにお決まりのセリフを言ってその場を去り、いつも通りに異世界から屋敷に帰ってきた。


 そう。全てがいつも通りに。


「……マンネリ、か」


 この状況がマンネリであることは認めよう。


 だが、俺は信じている。


 この状況を打破してくれる何事かが訪れてくれることを。


 しかし、果たしてそれは待っていてやってくるものなのだろうか。それともやはり、何か自分で行動しなければ、それはやってこないのでは……


「坊ちゃま」


 俺がベッドの上で悩んでいると扉をノックしながら片岡の声が聞こえてきた。


「ああ。入れ」


「失礼いたします……おや、まだお着替えは済んでいませんでしたか」


「あ、ああ……今着替えるから」


「いえ! 今日こそはメイドにお着替えをさせましょう! 坊ちゃまはそのままで!」


「い、いいから! 逆に人に着替えをしてもらうのは俺は嫌いなんだ!」


 俺にそう言われてしまうと片岡もそれ以上何も言えないようだった。


 俺は片岡のみている前で早々とパジャマを着替える。


「……坊ちゃま」


 と、俺が着替えている途中で片岡が話しかけてきた。


「なんだ?」


「また……悩んでいらっしゃったのですか?」


 片岡は心配そうな顔で俺を見る。しかし、俺はあくまで無表情でそれに返す。


「……いや、そんなことはない。悩むことなどない。俺はただ、今俺ができることをするだけだ」


「しかし……何かあればいつでもこの私に仰ってくださいませ」


 よほど俺のことが心配なのだろう。片岡は真剣そのものといった感じで俺の顔を見ていた。


「大丈夫だ。お前に話すことなど何もない」


「そ、そうですか……むしろ、それならばよいのですが……」


 俺は着替え終わるとドアの前で立っている片岡の前に向かった。


「ああ。そうだ。さて、今日も張り切って世界征服といくかな」


 俺は得意げに片岡に微笑みかけてみせる。


 しかし、片岡の表情は優れなかった。今まで10年以上、俺の面倒を見てきた片岡だ。もしかしたら、俺の本心など見透かしてしまっているのかもしれない。


 俺はそのまま片岡と、その後ろに何人かのメイドを引き連れて、リビングへ向かった。

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