表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/114

美しき青は誠実の証!ホーリーブルー! 1

「皆さん! 最近、校内の風紀は顕著に乱れています! 風紀の乱れは心の乱れ! 心の乱れは校内に悪を生み出しますわ! そのような事態を引き起こさないためにも! 一人一人の心がけが重要なのです!」


 校庭には松竹高校の全生徒が集まっている。


 その前方で、一段高い演説台に上って演説している少女。


 長い髪を、額の前でそろえるように切り、その髪型だけでも規則、というものを体言したような少女だった。


「ですから! ワタクシ! 生徒会長である一条清夏は! 皆様の模範となるように、精一杯、この学校の風紀の取り締まりに全力を注がせていただきたいと思います!」


 瞬間、パチパチと大きな拍手が起きる。


 演説台の少女は拍手する生徒達にニッコリと微笑みかけていた。


「ふんっ……何が、風紀の乱れは心の乱れ、だ」


 教室に戻った俺は机ではき捨てるようにそう呟いた。


 悪の組織の首領である俺としては、ああいう正義を気取った綺麗事が大嫌いなのである。


 ましてや、それを演説しているのが、本物の正義の味方なら尚更だ。


「でもさ~、一条さん、本当に格好いいよね~! なんていうか、ああいうのが正義の味方、って感じだよね?」


 俺の隣で興奮気味でまくし立てる奈緒。


 ……お前だって正義の味方だろうが、と突っ込みたかったが、そんなことを言っても仕方がないのでやめておいた。


「……なぁ、奈緒。いいか? 前にも言ったが、アイツは正義の味方なんかじゃない。正義の味方の近親者、なんだよ」


「ええ。その通りですわ」


 キョトンとする奈緒。


 と、奈緒が驚いてふり返る。


「あ! 一条さん!」


「おはようございます。横井さん」


 見るとそこには先ほど演説台で演説を行っていた少女が立っていた。


「一条さん、今日の演説も最高でした!」


「うふふ……ありがとうございます」


「今、聖治と話してたんです。一条さんみたいな人が正義の味方なんだ、って」


「……正確には正義の味方の近親者、と訂正しておいたがな」


 すると、少女はむすっとした顔で俺を見る。


 そして、そのまま俺の方へやってきた。


「……なんだ? 今ここで戦おうというのか? クックック……いいのか? たくさんの人間が犠牲になっても?」


「ふんっ。そんな度胸、今のダークネクロムにはないでしょう?」


「な、なんだとっ!?」


 思わず俺は立ち上がってしまった。


 そして、目の前の少女と睨み合う。


 すると、不意に彼女は、はぁとため息をついて、肩をすくめた。


「な、なんだ。その態度は」


「いえ……なんというか、前々から言っていますように、梅木君。もう世界征服なんて、やめた方がいいと思うのです」


「……はぁ?」


 俺がそう返すと、ニッコリとした笑顔で一条は俺を見た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ