輝く黄色は元気の証!ホーリーイエロー! 3
小学校の頃から、俺は横井奈緒には振り回されていた。
その純粋というか、あまりにも悪気のない性格は、悪の組織の後継者であるという俺の立場も全く意に介さず、俺と奈緒はそれこそ、普通の人間の子供同士、仲のいい幼馴染として遊んでいた。
そして、あの日。俺が始めて世界征服に乗り出したあの日だった。
俺は、サイコカオス初号機の中で、今からやってくるであろう、ホーリーセイバーの到着を、次元転送システムによって送られた荒廃したネクロム界で待っていた。
しばらくすると、ホーリーセイバーも、ネクロム界に姿を現した。ホーリーセイバーもダークネクロムと戦うために同レベルの技術は持っている。異世界に転送する技術を持っていてもおかしくはない。
だから、それは納得できた。俺は何も迷うことなくやってきたホーリーセイバー三人と激しい戦いを繰り広げ、負けた。
爺様の教えのとおり、俺は機能停止したサイコカオスの中から脱出し「お決まりのセリフ」を言うためにホーリーセイバーの下へ向かうことにした。
そして、対峙したホーリーセイバーを前にして愕然としたのだった。
「あれ? 聖治。どうしたの? その格好」
その中の一人、黄色いバトルスーツに身を包んだホーリーセイバーが俺に話しかけてきた。
ヘルメットを脱いだ頭。そして、その声はまぎれもなく、俺の幼馴染の横井奈緒だったのである。
「……って、ホント、冗談にも程がある」
俺は教室の机の上で一人呟く。
今まで幼馴染として付き合ってきた奴が正義の味方に選ばれ、その敵として俺が立ちはだかっているのだ。
今更ながら運命というのはなんとも茶番が好きな奴らしい。
「どうしたの~? 聖冶?」
と、俺の気持ちを知って知らずか――おそらく知らないだろうが――奈緒が話しかけてきた。
小学校の頃から変わらず、俺に話しかけてくるのはこの横井奈緒だけだ。
別に俺が悪の首領だからではない。俺が連中にとって話しかけつらい存在なのだ。
自然と出てしまう強大なオーラ。そして、学校でトップの成績の俺には進んで話しかけたがる奴なんてまずいない。
そんな中で話しかけてくるのが、横井奈緒というわけだ。