輝く黄色は元気の証!ホーリーイエロー! 1
通学路で人通りの多い道路に出ると、そこは既に松竹高校の生徒で溢れていた。
皆、一様に同じ制服に身を包み、あるものは一人で、またあるものは何人かの友人と喋りながら登校している。
これが、人間の高校生の登校風景。なんとも皆特徴がないものだ。
こんな平凡な人間どもは、征服することなど、本当にたやすいことのように思えてくる。
「そうだ。人間を征服するのは容易い……問題なのは――」
「おーい! 聖治―!」
と、通学路の向こうから元気な声が聞こえてくる。
……来た。また今日も、ヤツが来たのである。
俺は再び溜息をつき、なるべくそちらの方向を向かないようにしながら歩き出す。
「聖治―!」
しかし、その声は段々と近付いてくる。真奈よりも歩調を早くしてなんとかその場を離れることにする。
「聖治―! 捕まえたー!」
「あぐっ!?」
その瞬間、思いっきり首から背中の部分に衝撃が走る。
「えへへ~! なんだよぉ~! 逃げなくたっていいじゃないかぁ~?」
「は、離せっ……お、おい! 真奈! み、見ていないで、こ、コイツをなんとかしてくれっ……」
「あら、いいじゃない。可愛い女の子に抱きつかれて、嬉しそうね。聖治」
冷めた目線の真奈は助けてくれそうにない。
なんとか身体を揺すって、俺はしがみついてくるその手を振り払ったのだった。
「お、お前なぁ……朝っぱらから……心臓に悪いんだよ……」
「あはは! 何年ボクの友達やっているのさ? いい加減慣れないと、ね?」
いきなり後ろから飛びつかれてきて、思いっきりしがみつかれることに慣れろ、というのも中々に難しい注文である。
俺は呼吸を整えて目の前の人物を見た。俺の肩まで辺りの身長。そして、人懐っこそうな丸い瞳。それに咥えて、健康的な肌に、ショートカット。
活発さ、という言葉が意思を持って動きだしたとしか思えないような女の子が、そこにいた。
「おはよう! 聖治!」
そして、見た目と同じくらいに元気な声で、その女の子は俺に挨拶してきた。
「……ああ……おはよう、奈緒」
俺は渋々その女の子に挨拶すると、女の子は眩しい笑顔でそれに返した。