平穏!悪と正義の日常! 2
ホーリーセイバーはダークネクロムと違い、基本的には世襲制の組織ではない。
ホーリーセイバーという正義の組織が、人間の世界の中で機動乙女……つまり、ホーリーセイバーとしての素質のある人間を選定し、それをスカウトしてホーリーセイバーとして、ダークネクロムと戦わせるのである。
そして、その選出されるホーリーセイバーというのは大体が、その代のダークネクロムと同年代なのである。
つまり、今俺と戦っているホーリーセイバーは俺と同じ高校生ということなのだ。
だからこそ、俺は巷の高校生というものがどういう生活をしているかに興味はあったのである。
「あ、おはよう。聖治」
と、俺がそんなことを考えながらリビングに下りると、既にそこには朝食をとっている真奈の姿があった。
「ああ。おはよう。真奈」
「今日は早いのね。どうかした?」
「いや、特にない。普通に早く起きただけだ」
「そう。てっきり昨日の敗戦がショックで、早く起きちゃったのかと思ったわ」
朝からどうしてこうコイツは人の傷口をこじ開けるような言葉を言うのか……もちろん、それはもう数十年来の付き合いなのだから、慣れてはきている。
しかし、どうにも真奈の物言いというのは胸に突き刺さる。
「は、ははは……何を言っているんだ。今まで何度も敗北の屈辱は味わってきたんだぞ? 昨日1回負けたくらいでこの俺が凹むわけがないだろう」
「でも、お爺様からも手厳しいご意見もいただいちゃったわけだし」
真奈の言葉で思い出す。
マンネリ、倦怠感。
確かに昨日の爺様の言葉は衝撃的だった。そして、それがいくらか的を得ているということに対しても俺は衝撃を感じた。
しかし、その後、俺はそれらに対し、きっと、そろそろ、それを劇的に変化させてくれる機会が訪れる、そのためには戦いを続けていくこと。
それこそが俺の取る道だということを自身で納得した上、それが解答であると位置づけた。
だから、俺としてはあまり真奈には自分の中で一応は解決、ということにした話題をいつまでも穿り返してもらいたくはない。
俺はつい真奈のことを横目で睨んでしまった。
真奈はそれに気付いた様子で、俺から視線を外すとそのまま立ち上がった。
「ご馳走様。先に車の中で待っているわ」
立ち上がり、そのまま真奈はリビングから去っていく。真奈の後を何人かのメイド達がそれに付き従う形で出て行った。