登場!正義の乙女! 1
「ハーハッハ! どうした!? もう降参か? ホーリーセイバーの諸君!?」
荒廃した世界一面に響き渡るいかにも悪役って声。
その声の元は、大きな鉄のロボットからだった。
10メートルはあろうというその人型のロボット。
悪の敵役が乗るロボットにしてはいささか洗練されたフォルムのそれは、大地に立派に立っていた。
「くっ……ドクターフェルシル! 誰が貴様なんかに降参するか!」
「そ、そうだよ! ボク達は正義の戦士、ホーリーセイバーなんだから!」
「そうです……絶対に……負けませんわ!」
そして、その巨大ロボットに対峙するのは、まだ年端もいかない容姿の少女達だった。
少女達は特撮のヒーローのようなバトルスーツに身を包み、傷ついた身体でロボットをにらんでいる。
しかし、ロボットの方は傷一つついていないといった感じで少女達の前に立ちはだかっていた。
「ふっふっふ。諦めの悪い奴らめ……まぁ、いい。これで、終わりにしてやろう!」
そういって鉄の巨人は大きく、その拳を振り上げる。
そのまま一気に少女達にその拳を振り下ろした。
轟音を立てて、砂埃を巻き上げ、少女達の姿は見えなくなった。
「……ふっふっふ……はっはっは! 勝った! ついに勝ったぞ! 忌まわしいホーリーセイバーの奴らとの戦いについに決着をつけたのだぁ!」
悪役の声が高らかに響いた。
決着は付いた……かに思えたその時だった。
「……まだ、終わってない!」
と、悪役の高笑いを掻き消して、凛とした声が聞こえてきたのである。