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憂鬱!若き首領の苦悩! 2

「……何?」


「……私は旦那様のご子息……つまり、坊ちゃまのお父上の代から梅木の家に仕えさせていただいております。お父上も、最初の頃は世界征服にご熱心に取り組まれていました。ですが、一年を過ぎた頃、つまり、坊ちゃまと同じくらいの御年の頃に、世界征服に対し随分と嫌気が差し、この御家を飛び出したのです……」


 悲しい記憶を呼び覚ますように初老の老人は目にかすかに涙さえ浮かべていた。


「私としては……こんなことを言っては旦那様にお叱りを受けるのでしょうが、世界征服よりも、自分の人生を取ったお父上のことを正しい選択をした、と思っております」


「か、片岡……」


「世界征服は確かにわがダークネクロムの悲願でした……しかし、その子孫が、かつて先祖が叶えられなかった願望にいつまでも縛り付けられているのは、どうかと私はおもうのです」


 片岡の目は真剣だった


 俺は何も言えずにそのまま俯くしかなかった。


「もちろん、坊ちゃまが自身の意思で世界征服を成し遂げたいと思っておられるなら、私の出すぎた真似とだけお受け取り下さい。しかし、今まで10年以上、お世話をしてきた私としては坊ちゃまの悩ましげな御顔は、あまり見たくないのであります……」


 ……自身の意思、か。


 自身の意思、というのは間違っていない。


 俺は先祖遺志と関係なしに、この梅木の家、そして、ダークネクロムの末裔として生まれたその日から、世界征服を成し遂げたいと思ってきた。


 それは紛れもなく自身の意思であり、爺様の教育とかそういうものは関係ないと言い切れる。


 だが、戦いに嫌気が差している……問題はここだ。


 こんな閉塞感が続いて、今のままでは、俺はいずれ、ホーリーセイバーとの戦いに対して我慢できなくなってしまうのではないだろうか……

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