圧巻!悪の組織のその内部! 4
「お爺様。お久しぶりです」
と、俺が緊張して沈黙しながら爺様を見ていると、いつのまにか隣に真奈が立っていた。
「おお、真奈ちゃんか。ふぉっふぉっ……真奈ちゃんは会うたびに綺麗になっていくのぉ……さすがは、ダークネクロムの紅一点、悪の女幹部サーバキュスの子孫じゃな」
「ふふふ……お爺様ったら、お上手なんですね」
嬉しそうに微笑む真奈。
俺とは対照的に真奈はこの老人の扱いが上手い。
そもそも、真奈自身が晋蔵に気に入られているからこそ、俺の許婚になっているんだろうが。
「で、お爺様。残念ながら、本日も聖治は、ホーリーセイバーに敗北してしまいました」
悲しげにいいながらも、確かに「も」という部分だけ強調して言う真奈。
俺が言い出しにくいことを欲も簡単に言ってくれるものだ。余計なことは言わないでいいだろうに。
しかし、爺様は嬉しそうに笑うだけで特に俺を責めようということもなかった。
「ふぉっふぉっふぉっ……当たり前じゃ。まだ戦いは始まって1年足らずじゃろ。それで、決着がついてしまっては、ワシとて、今まで人生を賭けてホーリーセイバーと戦ってきた甲斐がないというものじゃ」
「あ……そ、そうですよね……ごめんなさい」
「いいんじゃよ。問題は、聖治にホーリーセイバーに勝つ意識があるかどうか、ということじゃ」
その瞬間、老人の眼光が鈍く輝く。
俺はまるで蛇に睨まれた蛙のように、全身が縮こまるのがわかった。
「あ……え、ええ。もちろん。ありますとも。お、お爺様。それはどういう意図の質問なのですか?」
「ふぉっふぉっ……何。お主らのような年だとな、結果が伴わない戦いというものにマンネリを感じたり、倦怠感を覚えるものじゃ。ワシの可愛い孫がそんな感情に悩まされておらぬか、心配なだけじゃよ」
俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
マンネリ、倦怠感……自分の中で思い当たる節がいくつかある。
そのたびに違う、と頭の中でそれを打ち消す。
……俺は悪の首領なのだ。
そんな感情は覚えるはずもない。
覚えるはずが……ないのである。