圧巻!悪の組織のその内部! 3
というわけで、俺は百人のメイドの応対を適当にこなし、なんとか屋敷のリビングへとたどり着いた。
屋敷のリビングも、これまた広大である。気の遠くなるほど長い机が俺の目の前にあった。
そして、その長い机の先に、圧倒的存在感を放つ存在があった。
「……お久しぶりです。お爺様」
俺がそう挨拶すると、その存在……不気味な感じの老人はゆっくりと顔を上げた。
とても老人とは思えない程に眼光は鋭く、強い印象を与えるものだった。
俺は瞬時に体をこわばらせる。
「……ふぉっふぉっふぉっ……聖治。久しぶりじゃのぉ」
その声は、外見に反して意外にも優しげで、俺のことを包み込むように話しかけてくる。
かといって、俺の緊張は解けることはない。それはいつものことだ。
「はい。御爺様にわざわざ来ていただけて、真に嬉しい次第でございます」
「ふぉっふぉっ……そう硬くなるな。なぁに、可愛い孫の顔が見たかっただけじゃ」
そういって微笑む顔も、優しく見えるはずなのだが、俺にはそうは見えない。
梅木晋蔵は悪の首領というだけではない。天才的企業家であった。
かつて梅木家は、度重なる世界征服の費用により、破産しかかり、ダークネクロムそのものが崩壊する危険性があった。
それを一代にして建て直したのが、俺の祖父である梅木晋蔵なのである。
爺様は多くの会社をその手中に収めており、中でも、特別大きいのがアメリカに本社を構えるのネクロム社である。
これは、表向きには機械工業を主とした会社なのであるが、裏では梅木の家、つまりダークネクロムの世界征服のために力を貸している。
つまり、今日、俺が乗っていた巨大ロボット『サイコカオス』の製作もそのネクロム社に爺様が作らせたものだったのであった。彩子の製作にも、爺さんは一枚噛んでいるらしい。メイド型のロボットを作ってそれをロボットのパーツにしようという発想は、ちょっと俺にはできそうにない。
爺様は『サイコカオス』が壊れるたびにその修繕をサイバーネクロム社の日本支部に依頼し、そして、改善するようにさせている。
それだけの金を出せているというのもこの梅木晋蔵の力による所であった。