圧巻!悪の組織のその内部! 2
見た目には小さな女の子にしか見えないが、一応、他のメイドと同じくメイド服を着ているので、梅木家のメイドであることはわかる。
「ああ。彩子。今日もよくやってくれた」
「いえ……すいません、ご主人様。彩子がふがいないばかりに……」
小さなメイドは申し訳なさそうに頭を下げる。そんな様子を見ていると、俺の方が申し訳なくなってしまう。
「あはは……気にしないでくれ」
俺はそういって彩子の頭をなでる。
すると、安心したように彩子は顔を挙げ、ニッコリとほほ笑んだ。
「……このロリコン」
「……何か言ったか。真奈」
俺は振り返りながら、真奈を睨む。真奈の方も不機嫌そうに俺のことを見ていた。
「いえ、何も。ただ、小さな女の子に必要以上に優しいのね、聖治って」
「あのなぁ……ロボットに対して優しくしたからって、どうしてロリコン扱いされなきゃいけない
んだ?」
ロボット。そう。彩子はロボットである。
正確には、ロボットのパーツ、である。
悪の組織の首領ドクターフェルシルが操る高性能ロボット、サイコカオス。
高性能なロボットなので、操縦者にも過度の負担がかかってしまうのは避けられない。
そんな負担を軽減するために、命令系統を処理する存在……それが、サイコカオスの格のパーツとなる俺の目の前にいる小さなメイドロボット、彩子なのである。
サイコカオスは一人乗りのロボットであるが、その中にはメイドロボット彩子がパーツとして、組み込まれているのだ。
もちろん、パーツといっても、彩子はパーツに変形するわけではない。
サイコカオスの中心部で演算処理を行うように、回路をつなげているだけなのであるが。
「あー……とにかく、彩子。また次回、頑張ろうな」
「はい! ご主人様!」
ロボットとは思えないほどの可愛らしい笑顔で、彩子はそう答えたのだった。