新たな助っ人
「……はぁ」
部屋に戻った時にはすでに深夜を回っていた。
結局、散々振り回された揚句、一条はダークネクロムをやめてしまった。
明日からはまたホーリーセイバー三人との戦い、ということになるのだろう。
しかし、一度は裏切ったホーリーブルーを、残りのホーリーセイバー二人は簡単に許すのだろうか?
それは少し疑問である。
「……仲たがいしてくれると、こっちとしては楽なんだけどな」
しかし、それはそれで、奈緒や赤沢が大変そうで可愛そうではあるが……って、どうして俺は敵の心配をしているんだ……
「……そんなことより、次の作戦を考えないとなぁ……」
「いいえ。考える必要なんてないわ」
「……え? うわっ!?」
と、思わず俺はそれまで寝転がっていたベッドから飛び起きた。
「なっ……なんだよ。真奈」
部屋のベッドの傍に、真奈が立っていたのである。
その瞳はいつものように冷たさを感じさせるものであったが、どこか悲しそうにも見えた。
「助っ人、来るそうよ」
「……え? 助っ人?」
「ええ。明日、お爺様が直々に紹介してくれるそうよ」
「何? 爺様が?」
それを聞いて俺は思わず真奈に近づいて行ってしまった。真奈は煙たそうな顔で俺を見る。
「ええ、片岡にさっき聞いたわ」
「助っ人って……誰だよ?」
「さぁ? ネクロムUSAの首領だって聞いたけど」
「……ネクロムUSA?」
それを聞いてピンと来た。
ダークネクロムの表の顔である大企業ネクロム社。
その本社があるアメリカにはネクロムの支部というか……そういうのがあるのである。
「しかし……首領?」
「ええ。支部の首領……支店長みたいなものかしらね?」
「初耳だぞ……なんでそんな急に……」
すると、真奈はキッと俺を睨みつけた。
「……いい加減、お爺様もしびれを切らせたんじゃないかしら?」
「え……しびれ?」
「ええ。いつまでたっても世界征服をすることができない、不甲斐ない誰かさんに」
そういって俺を睨みつけてから、真奈はそのまま出て行ってしまった。
「アイツ……また怒っている……」
残された俺は間抜けに部屋に突っ立ったままなのであった。