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婚約を破棄された令嬢を犬から見た話

作者: 山田 勝
掲載日:2026/05/06

「ルイーザ、婚約を破棄する!」

「そんな・・ゲオハルト様、どうして変わったの?」

「君と結婚しても当主になれないって聞いたぞ」

「知りませんわ」



 庭で大勢が集まってご飯を食べていたと思ったら。

 大変なのです。ご主人様が群れから絶縁されたのです。


「ワン!ワン!ワン!」


「な、何だ。この犬?」

「ルイーザ義姉様の犬よ」


 とにかく、吠えて。


「おい、連れて行け!」


「ハスキーちゃん・・・とりあえず屋敷の中に戻りましょうね」


 遠吠えで仲間を集めてご主人を慰めるのです。


「ワオオオオオオー—―ン!」


 仲間が来なかったので。

 ご主人様の周りを回って仲間を探すのです。


「ハア、ハア、ハア!」

「ハスキーちゃん・・・屋敷内を走り回らないで!」


 大変なのです。仲間がいないのです。


「食事よ・・」

「ワン!」


 ご飯を食べてから考えるのです。


「毛繕いしましょうね」

「ワオ~ン」


 ご主人の膝の上でブラッシングをしてもらって。


「ハスキーちゃん。お休み」

「ワン!」


 ご主人の部屋でフカフカのカーベートの上で丸まって寝たのです。



 ☆☆☆


『あっ、ハスキーちゃんだ』

『コラ、みいちゃん。走らないで、ワンちゃん驚くでしょう』


『どうぞ、なでて下さい』

『すみませんね』

『ワン!』

『フサフサだ』


 僕には主人からもらった名前があるけど、皆、僕をハスキーと呼ぶのです。


『カイザー、人気者だな』

『ワン!』



 ・・・・・・・・・・・





「ハア!」


 久しぶりに夢を見たのです。

 朝起きたらお散歩するのです。


「ハア、ハア、ハア」

「ハスキーちゃん。引っ張らないの・・・クス。元気ね」


 そして、ご主人の周りを回るのです。


「ハア!ハア!ハア!」


「もお、ハスキーちゃんたら」




 ・・・って!違うのです。

 何とかしないといけないのです!


「ハスキーちゃん。食事よ」

「ワン」


 でも、ご飯を食べてから考えるのです。

 美味しいのです!


 ご主人の友人達が来たのです。仲間は遠方にいるのです。群れではないのです。



「ミリンダ様、エスコートをして下さる殿方いらっしゃらないですか?」

「ルイーザ様、申訳ありません。お兄様も婚約者がいますし、かなり年下の子しかいませんわ」

「そう・・・」

「声をかけてみますわ。でも期待なさらないで・・・申訳ありません」

「いいのよ・・・お茶会に来てくれるだけで嬉しいわ」


 それからも。

 ご主人は友人達と何やら深刻に話しているのです。


 あ、ここの群れのリーダーが来たのです。


「ルイーザよ。一人で出席しなさい。パーティーで婚約者を探しなさい」

「はい、お父様」

「もう、使用人でもいいのではない?クスッ」

「お義母様・・・」



 そして、数日後、ご主人はおめかしをして言ったのです。



「ハスキーちゃん。私は王宮のパーティーに行きますわ。お留守番をお願いします」

「ワン!」

「絶対に屋敷の外に行ってはいけませんわ」

「ワン!」

「フフフ、良い子ね。もう、屋敷で話を聞いてくれる子、ハスキーちゃんしかいないわ。グスン」


 ご主人に抱擁されたのです。


 ご主人は絶対に屋敷を出てはいけないと言ったので。


 僕は屋敷を出て。


 鼻を上にあげて、ご主人の匂いをかいで。



 ご主人の元に向かったのです。


 僕がご主人をエスコートするのです。

 エスコートとは美味しいご飯のある場所に案内する重要な役目なのです。



 大きな石の家に着いたのです。


「おい、犬だよ」

「立派な犬だな・・・・だが、入れないぞ。・・・・って、おい!飛んでいる」

「ワン!」


 止められたけど僕は空を飛んだのです。


「キャイン!キャイン!」


「な、何だ。自分で飛んでビビっているぞ!」


 やっぱり飛ぶのは怖いのです。



 ・・・・・・・・・・・・・



 空を飛んでいたらご主人を見つけたのです。

 降りるのです。



「ソウラ伯爵家ルイーザ様でございます!」



 ヒソヒソ~


「まあ、一人だわ。大丈夫かしら・・・」

「そうだな。変な男達が寄ってくるぞ・・」


「伯爵令嬢だ。嫁になればいい目をみれるかも」

「へへへ、準男爵家だけど。婚約破棄されたのだよな。俺、声をかけて見るぜ!ルイーザ様、俺がエスコートしてやるよ」


「・・・結構ですわ」

「はあ?婚約破棄された瑕疵令嬢がお高いな!」



 何だか、ご主人の周りが騒がしいのです。

 ご主人の隣に降りたのです。


「ワン!」

「ハスキーちゃん?」

「何だ?」


 ワンワン砲なのです。

「ワン!ワン!ワン!」


「ヒィ、何だ。痛いぞ!」


 僕は口から空気の固まりを出すことができるようになったのです。

 ご主人を守るのです。


 ご主人は呆気にとられているのです。


「クゥ~ン」

 ご主人にリードを渡すのです。


「ハスキーちゃん?ここはお散歩する場所では・・クスッ、まあ、いいわ」

「ワン!」


 ご主人はリードを取ってくれたのです。

 僕が美味しいご飯の場所まで案内するのです。


 と思ったがその前に群れのリーダーに挨拶するのです。


「ハスキーちゃん。引っ張らないで・・」

「ワン!」


 群れのリーダーは・・・若いけどこいつなのです。前にお座りをして。「ワン」と言ったのです。


「まあ、ルイーザ様と犬、ウェイターの前に行ったわ。座っているわ」

「バカ犬なのか?」


 群れのリーダーは飲み物を運んでいたのです。でも犬の目ではごまかせないのです。

 こいつがリーダーなのです。


「・・・お嬢様、この犬はもしかして聖獣ではないか?」

「申訳ございません。お仕事の邪魔して。ハスキーちゃん。いくわよ」


「ワン!」

 これでご飯を食べられるのです。


「ちょっと、待ちなさい・・私は第三王子ルードリッヒだ」

「ええ・・・!」


「お忍びで参加していた。ウェイターの立場から貴族を見ようと思って。留学から戻ってきたのだ」

「ワン」


 それよりも早くご主人を美味しいご飯の所まで案内するのです。


「君、ウェイターの私に丁寧に謝ったが家門の方針か?」

「いえ、亡きお母様の教えです。例え、使用人でもお礼謝罪をせよとの教えです」

「何と聡明な・・・実はおべんちゃらを使われるのが嫌でお忍びで参加していたのだ」


「まあ」


 それからご主人は更に大きな群れの一員になったのです。



「・・・君が好きだ。婚約を結んでくれ・・・」

「私は婚約を破棄されたのですよ」

「いや、それは関係ない。君は身分に変わらずに丁寧に接してくれる」


 僕は何やらローブを羽織った人達に鑑定とやらをされたのです。


「はい、ある日、突然、クローゼットの中にいました」

「これは転移だ。名前の由来は?」

「自然と頭の中に浮かんで来ましたわ」



「鑑定!これは・・・やっぱり異世界犬だ。転移した犬だ」

「スキルがついている。ジョブ番犬、スキル、ワンダフル翻訳、飛翔、気弾・・・」

「ワン!ワン!」


「ハスキーちゃん。ジィとしてね。良い子だから」

「ワン!」


 良かったのです。ご主人が大きな群れの一員になったのです。


 前の群れのリーダー達が来たのです。


「ルイーザ、父だ。門を開けてくれ。殿下に取りなしてくれ」

「お義姉様、私よ。婚約者交換しましょう。もう婚約解消したわ。ゲルドハルト様は返すわ」

「そうよ、ルイーザに王子妃は無理だわ」


 だから僕が守るのです。


「ワン!ワン!ワン!」

「「キャアアアーーーー」」

「何だ。何かが体に当たった!」


 番犬なのです。

 三人は吹っ飛んでいったのです。


「あら、ハスキーちゃん。どうしたの?」

「ワン!」

「お食事よ」

「ワン!」


 これからの事はご飯を食べてから考えるのです。



最後までお読み頂き有難うございました。

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さすが犬!!!ナイス犬!!!でも犬だけで転移はハラハラする 裕福で幸せで良かった
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