婚約を破棄された令嬢を犬から見た話
「ルイーザ、婚約を破棄する!」
「そんな・・ゲオハルト様、どうして変わったの?」
「君と結婚しても当主になれないって聞いたぞ」
「知りませんわ」
庭で大勢が集まってご飯を食べていたと思ったら。
大変なのです。ご主人様が群れから絶縁されたのです。
「ワン!ワン!ワン!」
「な、何だ。この犬?」
「ルイーザ義姉様の犬よ」
とにかく、吠えて。
「おい、連れて行け!」
「ハスキーちゃん・・・とりあえず屋敷の中に戻りましょうね」
遠吠えで仲間を集めてご主人を慰めるのです。
「ワオオオオオオー—―ン!」
仲間が来なかったので。
ご主人様の周りを回って仲間を探すのです。
「ハア、ハア、ハア!」
「ハスキーちゃん・・・屋敷内を走り回らないで!」
大変なのです。仲間がいないのです。
「食事よ・・」
「ワン!」
ご飯を食べてから考えるのです。
「毛繕いしましょうね」
「ワオ~ン」
ご主人の膝の上でブラッシングをしてもらって。
「ハスキーちゃん。お休み」
「ワン!」
ご主人の部屋でフカフカのカーベートの上で丸まって寝たのです。
☆☆☆
『あっ、ハスキーちゃんだ』
『コラ、みいちゃん。走らないで、ワンちゃん驚くでしょう』
『どうぞ、なでて下さい』
『すみませんね』
『ワン!』
『フサフサだ』
僕には主人からもらった名前があるけど、皆、僕をハスキーと呼ぶのです。
『カイザー、人気者だな』
『ワン!』
・・・・・・・・・・・
「ハア!」
久しぶりに夢を見たのです。
朝起きたらお散歩するのです。
「ハア、ハア、ハア」
「ハスキーちゃん。引っ張らないの・・・クス。元気ね」
そして、ご主人の周りを回るのです。
「ハア!ハア!ハア!」
「もお、ハスキーちゃんたら」
・・・って!違うのです。
何とかしないといけないのです!
「ハスキーちゃん。食事よ」
「ワン」
でも、ご飯を食べてから考えるのです。
美味しいのです!
ご主人の友人達が来たのです。仲間は遠方にいるのです。群れではないのです。
「ミリンダ様、エスコートをして下さる殿方いらっしゃらないですか?」
「ルイーザ様、申訳ありません。お兄様も婚約者がいますし、かなり年下の子しかいませんわ」
「そう・・・」
「声をかけてみますわ。でも期待なさらないで・・・申訳ありません」
「いいのよ・・・お茶会に来てくれるだけで嬉しいわ」
それからも。
ご主人は友人達と何やら深刻に話しているのです。
あ、ここの群れのリーダーが来たのです。
「ルイーザよ。一人で出席しなさい。パーティーで婚約者を探しなさい」
「はい、お父様」
「もう、使用人でもいいのではない?クスッ」
「お義母様・・・」
そして、数日後、ご主人はおめかしをして言ったのです。
「ハスキーちゃん。私は王宮のパーティーに行きますわ。お留守番をお願いします」
「ワン!」
「絶対に屋敷の外に行ってはいけませんわ」
「ワン!」
「フフフ、良い子ね。もう、屋敷で話を聞いてくれる子、ハスキーちゃんしかいないわ。グスン」
ご主人に抱擁されたのです。
ご主人は絶対に屋敷を出てはいけないと言ったので。
僕は屋敷を出て。
鼻を上にあげて、ご主人の匂いをかいで。
ご主人の元に向かったのです。
僕がご主人をエスコートするのです。
エスコートとは美味しいご飯のある場所に案内する重要な役目なのです。
大きな石の家に着いたのです。
「おい、犬だよ」
「立派な犬だな・・・・だが、入れないぞ。・・・・って、おい!飛んでいる」
「ワン!」
止められたけど僕は空を飛んだのです。
「キャイン!キャイン!」
「な、何だ。自分で飛んでビビっているぞ!」
やっぱり飛ぶのは怖いのです。
・・・・・・・・・・・・・
空を飛んでいたらご主人を見つけたのです。
降りるのです。
「ソウラ伯爵家ルイーザ様でございます!」
ヒソヒソ~
「まあ、一人だわ。大丈夫かしら・・・」
「そうだな。変な男達が寄ってくるぞ・・」
「伯爵令嬢だ。嫁になればいい目をみれるかも」
「へへへ、準男爵家だけど。婚約破棄されたのだよな。俺、声をかけて見るぜ!ルイーザ様、俺がエスコートしてやるよ」
「・・・結構ですわ」
「はあ?婚約破棄された瑕疵令嬢がお高いな!」
何だか、ご主人の周りが騒がしいのです。
ご主人の隣に降りたのです。
「ワン!」
「ハスキーちゃん?」
「何だ?」
ワンワン砲なのです。
「ワン!ワン!ワン!」
「ヒィ、何だ。痛いぞ!」
僕は口から空気の固まりを出すことができるようになったのです。
ご主人を守るのです。
ご主人は呆気にとられているのです。
「クゥ~ン」
ご主人にリードを渡すのです。
「ハスキーちゃん?ここはお散歩する場所では・・クスッ、まあ、いいわ」
「ワン!」
ご主人はリードを取ってくれたのです。
僕が美味しいご飯の場所まで案内するのです。
と思ったがその前に群れのリーダーに挨拶するのです。
「ハスキーちゃん。引っ張らないで・・」
「ワン!」
群れのリーダーは・・・若いけどこいつなのです。前にお座りをして。「ワン」と言ったのです。
「まあ、ルイーザ様と犬、ウェイターの前に行ったわ。座っているわ」
「バカ犬なのか?」
群れのリーダーは飲み物を運んでいたのです。でも犬の目ではごまかせないのです。
こいつがリーダーなのです。
「・・・お嬢様、この犬はもしかして聖獣ではないか?」
「申訳ございません。お仕事の邪魔して。ハスキーちゃん。いくわよ」
「ワン!」
これでご飯を食べられるのです。
「ちょっと、待ちなさい・・私は第三王子ルードリッヒだ」
「ええ・・・!」
「お忍びで参加していた。ウェイターの立場から貴族を見ようと思って。留学から戻ってきたのだ」
「ワン」
それよりも早くご主人を美味しいご飯の所まで案内するのです。
「君、ウェイターの私に丁寧に謝ったが家門の方針か?」
「いえ、亡きお母様の教えです。例え、使用人でもお礼謝罪をせよとの教えです」
「何と聡明な・・・実はおべんちゃらを使われるのが嫌でお忍びで参加していたのだ」
「まあ」
それからご主人は更に大きな群れの一員になったのです。
「・・・君が好きだ。婚約を結んでくれ・・・」
「私は婚約を破棄されたのですよ」
「いや、それは関係ない。君は身分に変わらずに丁寧に接してくれる」
僕は何やらローブを羽織った人達に鑑定とやらをされたのです。
「はい、ある日、突然、クローゼットの中にいました」
「これは転移だ。名前の由来は?」
「自然と頭の中に浮かんで来ましたわ」
「鑑定!これは・・・やっぱり異世界犬だ。転移した犬だ」
「スキルがついている。ジョブ番犬、スキル、ワンダフル翻訳、飛翔、気弾・・・」
「ワン!ワン!」
「ハスキーちゃん。ジィとしてね。良い子だから」
「ワン!」
良かったのです。ご主人が大きな群れの一員になったのです。
前の群れのリーダー達が来たのです。
「ルイーザ、父だ。門を開けてくれ。殿下に取りなしてくれ」
「お義姉様、私よ。婚約者交換しましょう。もう婚約解消したわ。ゲルドハルト様は返すわ」
「そうよ、ルイーザに王子妃は無理だわ」
だから僕が守るのです。
「ワン!ワン!ワン!」
「「キャアアアーーーー」」
「何だ。何かが体に当たった!」
番犬なのです。
三人は吹っ飛んでいったのです。
「あら、ハスキーちゃん。どうしたの?」
「ワン!」
「お食事よ」
「ワン!」
これからの事はご飯を食べてから考えるのです。
最後までお読み頂き有難うございました。




