表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/12

第8話 村長

 「...お前が近頃元気になったと思えばそういう事か。」

 「...。」


 誰かに見られた。

 おそらく村の人なんだろうけどなんだこの空気。

 なんか嫌な感じがするが...。


 アイは少し後退りし、私を守ろうとしている。

 私の事は村の人に伝えるつもりが無かった故に...私自身の事がバレるとまずい可能性で隠していたから、この状況はかなり良くない。


 ...ここまでか。

 彼女は悪くない、私が去るべきだ。


 [ヒョイヒョイ]

 「ソラ...!」

 [...コクリ]

 「...。」


 今まで申し訳なかった。

 彼女の居場所を奪ってまで自分は暮らそうと思わない。


 潮時だ。


 「そうか...アイ、お主。」

 「...。」

 「テイマーの才能に目覚めたんじゃな!」

 「...え?」


 え?


ーーーーー


 「ほう、虫型の魔物なのにしっかりとした意思を持っておる!長く生きとるが初めてじゃわい!ガッハッハッハ!!」


 どうやら誤認なのか悪いイメージを持っていなかったのかわからないが、杞憂だったようだ。


 「ヤーグのぅ、この大きさってのも初めてじゃ。何か突然変異か新種かのう。...もしや以前のメタルアームの捕獲の時に網に掛かっておったのはお主か?」


 村長がアイの羽ペンで絵を描く。

 え、ってか上手いなこの人!?


 [○]

 「そうか!いやぁ知らなかったとはいえすまなかった!ワシは村の村長をしとるキョウじゃ!」

 

 村長だったのか。

 いや良かった、村一番のお偉いさんが敵にならなくて。


 「はぁ、ソラを見たらみんな警戒すると思って隠してたっすけど...良かったぁ。」

 [コクリコクリ]

 「ガッハッハッハ、此奴とは違えど虫の魔物を使うテイマーはおるんじゃ、別に気にする事でもなかろう!むしろアイの成長を皆喜ぶじゃろう。」


 この村長、すごい上機嫌だ。

 アイの成長が余程嬉しいのか。


 「このソラとやらは何を食っておるんじゃ?」

 「湖ではメタルアームとかを食べてくれてるっす。フィードフロッグの保護に協力してくれてるっす。」

 「なんと!それは助かる、何かお礼をせねばな。」

 [×]

 「んぁ?」

 「村長、ソラはまだヤーグだしアタイ達基準で欲しい物はまだ無いかも...。」

 [○]

 「せめて村の人に敵対しない様にとか...。」

 「その程度じゃ足りんじゃろ、そこの森荒らしの事もあるじゃろ。」

 「あ...。」


 川の中に浸かっている討伐した巨大熊。

 川の水で血抜き中。


 「...まぁ急がんくてもいいか、またいつか言ってくれ。」

 

 ふむ、また考えておいてくれか。

 せっかくのお礼だしいざ必要になった時に頼ろう。


 [○]

 「さてアイよ、お主がテイマーの能力に目覚めたというなら一度街に行って冒険者登録したらどうじゃ?」


 街、武器持った人達...兵士じゃないな。

 もしかしてギルドとか冒険者とかそういうの?


 「あー...うん、そうっすね。ソラがいれば...ってソラはまだ1時間しか陸上に居られないんすよね...。」


 それもそうだった。


 「あー...ん?待てよ。」

 「?」

 [?]

 「フレムが3日後に帰って来るはずじゃ、奴なら色々見てもらえるかもしれんぞ。」

 「フレ兄が!?久しぶりじゃん!」

 「仕事が落ち着いたそうで仕事仲間達と休暇も兼ねて久々に帰って来るとさ。」

 「やったー!フレ兄帰って来る!!」


 村長が家系図的なのを書いてる。

 名はフレムと言うらしい。


 あー、アイの従兄弟に当たる人なのか...って村長がその人の祖父でアイの大叔父だったのね。そりゃ知ってる訳だ。


 「ソラ、フレ兄は冒険者ギルドっていう所のサブマスターであると同時に凄腕の冒険者っす。新人冒険者の試験の担当もしたりするから丁度いい機会っす。アタイの夢は学者だけど広い世界を知らなきゃなれないっす。」


 なるほど、そりゃいい機会だ。


 それはそれとしてもっと陸上での活動時間を伸ばさねば。


 「そういえば、その魔力結晶は割らんのか?」

 

 ん?

 ああ忘れてた。


 [レベル37→39]

 [地上活動5]

 ・地上での活動時間が3時間にまで延長。


 ...お?


 [ヒョイヒョイッ]

 「ん?前の絵?えーと...。」

 [ヒョイ]

 「これっすか、...もしかして地上での活動時間が伸びたんすか!?」

 [ヒョイッ]

 「短い針で3...3時間!?凄いっすよソラ!」

 「ほう、それは良かった!ならいい機会じゃ。」

 「?」


 村長が立ち上がる。


 「森荒らしの血抜きまでにはまだ時間がある、ソラよ。ワシからの特訓を受けてみんか?」

 

 え?


 「ええ!?ああそっか、ソラになら相性がいいのか。ソラ、村長は昔の大戦を戦い抜いた歴戦の武人っす。なんでも暗殺術に長けた部隊に所属してたらしいっす。」


 は?元暗殺者?

 通りでさっき近くに来ていた事に気づけなかったのか。


 「ソラよ、ワシから見ればお主はまだまだか弱い女の子じゃ。ヤーグといえど戦える場は多い方がいいじゃろ?例え木や草の一つもない大地であろうとワシは相手の首も斬れる。そしてお主もそれが出来る素質がある。」


 ...なんたる幸運。

 出会って二人の人間にして味方は師匠と呼べる人間になりそうだ。


 「え、ソラって女の子っすか!!?」

 

 え、今更?

後から知ったがヤーグことこの世界のヤゴは割と見かけない生物でデータが少なく、オスとメスの判別がわからない人がほとんどである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ