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第13話 冒険者試験

 翌日、

 

 「おはようさん、アイ、ソラ!」

 「おはよっす!」

 「おはようございます。」


 祝宴を通し、村人達は私を受け入れてくれた。最初は受け入れてくれるかどうか怪しかったが杞憂だった。


 アイの横を歩き、村の皆は明るく挨拶を交わしてくれる。


 「メタルアームの退治に感謝するよ!」

 「どういたしまして。」


 「へぇー、流暢に喋るんだね!喋る魔物は見た事あるがここまでのは初めてだよ!」


 「ありがとうございます!」

 「女の子かい?食べ過ぎて太ってn、」

 「アイ。」

 「ふんっ。」バキィッ

 「ぶべらっ!?」


 アイの為に、村の為に色々ありがとうだってさ。

 例のザリガニの大幅減少が村にとって想像以上に嬉しい話であったらしい。


 それと、


 「おはようございます、ソラさん。」

 「おはようございます、フレムさん。」

 「フレ兄やっほー!」

 

 彼はフレム。

 村長の孫でアイとは親戚にあたる青年だ。

 ケイリューという街のギルド副長というかなり偉い立場にある人間だ。


 はたからみれば二人は兄妹に見えなくもない。


 「フレ兄、早速お願いしてもいいっすか?」

 「待った、ソラさんは病み上がりだろ?」

 「いやまぁ、リハビリがてらでちょっと準備運動したいかな...。」

 「そうですね...一度川の方に向かいましょう。」

 「はいっす!アタイ準備してくるっすー!」


 ...アイが自宅へ向かうとフレム達はヒソヒソと、


 「...副長、いいのですか?」

 「お嬢さんら、明らかに初歩のテイマーどころの次元じゃないです。」

 「明確な意思疎通かつあの仲と動き。既にテイマーのギルド初期試験で受け取れる最大ランクのDは確実だ。D〜Gランクは自信の練度が重要視される、運はあれど大した実力のない奴が上に来ても困るからな。」

 「身内といえど貴方が言ってしまえば実質初期試験は無しじゃないですか。」

 「贔屓はして無いさ。まぁ、アイが冒険者になる以上形式は必要だ。どうするかぁ。」


 森荒らしはアイだけじゃ倒せない。

 だがソラさんとの連携で首を切り落とした。


 テイマーは従魔を確実に制御を出来るかつ連携を取れる事が重要だ。だがソラさんは並みの自我持ちの魔物を上回る程に明確な自我と意思、高い知能を持ち複雑な会話も出来る。何よりアイと仲がいい故にテイマー魔法に頼らない連携が多い。...というかアイはテイマー魔法を使っていない...?


 あれはもはや人間と同等と見るべきか。


 単純な才能だけならCランクどころかB以上は確実なんだが...ルールはルールだし、今更あの二人にテイマー初期試験を受けさせて表紙抜けさせる様なのはなんか申し訳ないし調子づく事はないだろうけど真剣にしてもらいたい、それに副長として色々教えてやらないといけない立場だし...うーむ。


 ※テイマー初期試験

 ・従魔をどこまで制御出来てるか、

  どこまで指示できるか。

 ・臨機応変な行動が従者従魔共に

  どこまで出来るか。


 「困っとる様じゃの。」

 「え?おぅわ!!?」

 「脅かすなよジッちゃん!!?」

 「がっはっは。どうやらアイ達の試験内容に悩んでおる様じゃの?」

 「あ、ああ。」

 「それならいい案がある、耳を貸せ。」

 「ふむふむ...え。」


ーーーーーーーーーー


 村長とフレムさんに連れられやって来たのは川の下流。

 流れが上流よりも勢いがあり、足場の悪い岩場で形成されていた。なんでもこの川は下流辺りが非常に危険でもっと下流は今よりも岩だらけで容易に歩ける場所ではないらしい。

 どこの地獄かな。


 「どひゃあ、ここでやるんすか?」

 「あ、ああ。」

 「お主らならこの辺りが丁度いい。」


 村長がやたらご機嫌、

 フレムさん達はなんか...申し訳なさそうな顔をしている?


 「フレムよ、お主らはそこでアイ達を見極めとけ。担当官は...このワシじゃ。」

 「え、村長が!?」

 「見ておれ。」


 村長は短冊の様な紙を1枚取り出す。


 「げっ、村長それって。」

 「汝が主キョウが命ずる、今一度我が元へ参り力を奮え。いでよ翠蛇!」


 紙がビカッと光り輝く!

 村長の側に魔法陣が現れ、光が集まってくるとそれは現れた!


 「シュルルル....!!」

 「蛇!?」


 現れたのは翠色で7mはあろう蛇だ。

 その体躯はいい感じに細く美しくしなやか。

 蛇の美しさ全開な見た目だ。


 「ソラよ、実はワシも従魔がおってな。此奴はその一匹である“翠蛇”じゃ。」

 「ソラ、村長の翠蛇の強さは森荒らしを余裕で超えてるっすよ。何せ村長が現役の頃から連れていた化け物従魔っす。」

 「マジで...。」


 え、私ら何されるの?


 「アイとソラよ。その足場で翠蛇の動きに対応してみせい。これがお主らへの試験じゃ!」

 

 フレム達が一斉に頭抱えた!!

 明らかに初期試験とかでやる内容じゃない!!


 翠蛇はシュルンッと川へ飛び込む。

 早速私達を攻めるのか。


 ...いや、違う。

 翠色の鱗が川の反射光に紛れて位置を見失った。気配を隠すのが上手いのか位置を探れない、結構深いとはいえこの川であの体躯を隠せるってどんな身のこなしだ。


 まずい、どこから来る。


 [ッ]


 水生生物に転生したおかげかその僅かな音に私は気づいた。


 「アイ!!!」

 「!?」


 アイが隣の岩に飛び移る、

 そして今いた場所には翠蛇が牙を剥き出しに襲いかかっていた。

 凄い、風切り音がほぼない。

 レベルが違い過ぎる。


 「あ、危なかったっす。」

 「ほう、今のは見事じゃ。しかしまだ初撃じゃぞ?」

 

 流石蛇と言うべきか、瞬発力が高い。

 

 「ソラ!!」

 「!!」


 翠蛇は急に方向転換し私に襲いかかる!!


 危ない、体は大きくなったのに色々成長したおかげか予想以上に早く体が動く。


 私は間一髪避ける、

 蛇の柔軟性は有名だがまさかここまでだなんて。


 「さて、ここから20分は避けるんじゃぞ!」

 「20分!?」


 とんだスパルタ試験だなあ!?


 私達はその後も繰り返される、慣れもしない足場で翠蛇を避け続ける。


 「ふむ。やはりのぅ。」

 「ふ、副長。」

 「ああ、翠蛇が手加減しているとはいえ、二人ともここまで大きなダメージを一切受けていない。特にアイは...、」

 「...今!」

 「触った!」

 「翠蛇の動きが見え始めている。高速に動く物体へ素手で触れるのは難しい、動きについていけなければ手を負傷するだけだからな。」

 「しかし意外なのは...、」

 「...。」


 ソラさんの動きだ。


 ヤーグは水中の僅かな振動すらも的確に感じとる器官を持っているが、陸上生活に適応した影響か、空気中の振動も感じ取れるのか気配の察知が余りにも早い。


 だがそこじゃない。


 普通の虫は本能的に動く。

 光に向かって飛ぶ、強い衝撃を感じれば一目散に逃げるといった感じに。


 魔物でも多少はそうだ、自我持ちであろうと。


 しかしソラさんは違う。

 初めて会った時からそうだった。


 今だって逃げるどころかアイをフォローしている。ヤーグは群れを作らない。


 根本的に虫とは違う意思がある。


 まるで人の知能と意思がヤーグという肉体に宿った様な...。


 「シャアアッ!!」

 「ん??」


 うわっ、しまった余所見をしてしまった。

 ...あれ、ソラさんがいない!?


 「副長、あれ!」

 「...!?」


 翠蛇の動きが変だ。

 何かを振り落とそうと...ってソラさん!?

 ソラさんが翠蛇の頭に張り付いている!


 「うぎぎぎ...暴れるな...!!」

 「シャアアアッ!!」


 嘘だろ、翠蛇相手にあんなことする奴普通はいない。


 ソラさんは翠蛇と比べても体が小さく頭に張り付いているから岩にぶつけたり擦り付けて落とそうにも頭だからそれが出来ない。


 頭が弱点である以上その為だけに自傷覚悟でするとは思えない。特に今は試験の為に動いている。


 たったそれだけの行動で翠蛇が大きく動きを制限されたのだ!


 「アイ!!!」

 「!」


 アイが飛んだ!


 「氷よ!!」

 「!!??」

 「なんと...倒す必要はなかったのじゃがな...。」

 

 アイが隙を突き、翠蛇の頭に得意の氷魔法を使った。直接触れて冷やした為か、変温動物である爬虫類、それも蛇には寒さは命取りだ。


 翠蛇はアイとソラを振り払い村長の元へ戻った。

 これ以上戦う必要のない姿勢だ。


 「...はっはっは!!やるじゃないか!どうやら相棒すいじゃはお主らを認めた様じゃぞ。フレム達はどうじゃ?」

 「...ま、動きに関しては十分過ぎるくらいにわかったから。俺としては合格だが?」

 「自分も文句ないっす、副長。」

 「決まりじゃ。ちょいと渡すものがある、村へ戻るぞ。」



ーーーーー


 「ほれ、これをヤツに渡しといてくれ。」

 「了解。ギルド長驚くだろなー。」

 「フレ兄何それ。」

 「じーちゃんのお墨付き。今のギルド長とじーちゃんは知り合いでさ、じーちゃんも現役引退した後に今のギルド長となんかやってたらしくてさ。」

 「なるほど。」


 あー疲れた。

 夜行性なのに異常に寝たい、動きまくったからだろうけど。なんか大切な話なので寝る訳にはいかない。


 「...ところでソラさん、冒険者ギルドに所属にあたって一つ聞いておきたい。」

 「...z...ん?」

 「今ソラさんには何か目標ってあるかい?」

 「もくひょぉ...?」

 「あれ、ソラ眠い?」

 「...成虫になる。」


 やっぱり無理。

 私の意識はここで途絶えた。


 「...ま、そうだな。ヤーグらしいっちゃらしい。ソラさんが成虫...いや、進化すればどんな生態になるかはわからないけど、今はそれでいいと俺は思うな。」

 「うんうん!」

 「ところでフレムよ、明日にはケイリューに出発するのか?」

 「ああ、いい休暇になったよ。アイもソラさんを連れて準備しろよ。ケイリューまでは3日はかかるのは知ってるだろ?」

 「はいっす!」

 「よし、今日はゆっくり休めよお主ら。」

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