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第11話 生死の境で

 「はぁはぁ、ソラ、死ぬなっす、死なないで!!」


 アイが必死に呼びかける。

 幸いにも死んで無いから自動治癒が働いてちょっとずつだが再生している。


 でも重傷だから間に合うかは別。

 実際眠い、悪い意味でだと思う。


 「これ...お願い効いて!!」

 

 何かをかけられた。

 ...なんか少し楽になってきた。


 薬か、死か。

 よくわからない。

 

 なんにせよさっきからびしょびしょ、

 晴れてる筈なのに、森の中なのに、

 大粒の雨が降って来るのよ。

 妙に生暖かいし。



 とにかく今は...大人しく寝たい。

 

ーーーーー


 昔からこうだった。


 特別優れた何かを持っていなかった故に、自分の事で必死なクセに誰かに危機が迫ると体が先に動き、身代わりになる。


 近所の子がトラックに跳ねられそうになって助けた。トラックは飲酒運転でスピードが緩まっておらずギリギリ当たってしまった足は当然折れた。後遺症で以降体育などで激しい運動が出来なくなった。

 親は私を過剰に心配する様になった。


 ある時は学校の電灯が発火、頬に小さくも一生残る痕がついた。どうやら不良品だったらしく親は酷く悲しみメーカーに対する怒りに染まっていた。

 女の子の顔に消えない傷がとか叫んでいた。

 こんなくらいの傷どうでもいいのに。

 そうじゃなかったら前の席に座っていた友達の背中に当たりもっとひどい傷を負っていただろう。この程度で済んで良かったんだよ。


 高校の卒業式、不審者がナイフを持って襲撃。

 友達を庇って左腕を負傷。

 また痕がついた。

 転生する頃には消えたけど、あの後しばらく麻痺が残ったり入院もあって内定が取り消された。


 別に私がした事なんだから、


 自業自得なんだから、


 なんでお父さんやお母さん達は私を過剰に心配するの?


 なんで部屋にいて欲しいの?


 なんでカゴの中にずっといなきゃいけないの?


 私は狙われてなんか無い。


 私が動いてるからなんだよ?


 私が嫌いなの?

 

 私が気に入らないの?


 ずっと繰り返してた、囲まれるのが嫌だから自分から動けば何か起きる。なのに最後はカゴに入る。


 嫌だった。


 四方八方から向けられる視線という鉄柵に。

 

 “無理しないで”という騒音、

 “私のせいで”って聞こえる鳴き声、

 “これ以上無茶は”と止められ、

 “死なないで”って家からも学校からも、


 うるさかった。


 そして気がつけば、抜け出せない程に重厚なカゴの中にいた。


 稀に足が後遺症で痛くて泣いた、

 それだけが自由へ目指せた証、

 私が私らしく生きれた証、

 私の大好きな傷。


 車の免許だって取れた。

 相変わらず周りは心配している。

 私が事故を起こしそうとか思っているんだろう。


 結局起こっちゃったけど。


 ああ、起こしてはいないよ?

 巻き込まれちゃっただけ。


 冷たい鉄の箱に潰されて。


 だから私は誰かに心配される気は無い。

 私が選んだ道だから後悔する事なんてない。


 

 ...さっきまでそう思っていた。


 「ぃあ...だよ...お願い死なないでぇ...!!」


 目の再生が終わってきたのか、目を開けると大粒の涙をボロボロ流すアイの姿があった。


 ...目の前の光景を私は生まれて初めて理解出来た。私にだってこんなにも悲しんでくれる人がいたって。


 [スッ]

 

 「やだああああ!!!」


 ダメだ喋れないから死ぬ寸前に見られてる。

 何言ってるのかもわからないけど今何やっても逆効果なのはわかった。


 というか体がちょっとずつだが感覚が戻って来た。薬の効果か痛みはあまり感じないが眠い。


 「これこれ、そう泣き喚くんじゃない。ちゃんと生きておるて。」

 「..え...?」

 「見たところ意識があやふやじゃが回復に向かっておる。時間が経てば元気になるじゃろう。」

 「!」

 「おーい村長ー!!」

 「こっちだ、早く来るんじゃ!!」


 色々な声が聞こえてくる中、

 私の意識は沈んでいった。



ーーーーーーーーーー


 ...。


 ...あれ、


 真っ暗だ。

 でも意識ははっきりあるし、失明とかした訳でもなさそう。


 体は動かせる...っていうか体が見える。

 真っ暗なのに何で見えるんだ??


 真っ暗な空間はどこまで続いており、

 終わりが見えない謎の空間....あれ。


 ドアがある。

 ポツンとそこにあった。

 神々しくも神秘的なものでも無く、

 ご家庭にあるような部屋のドア



 ...あれ、


 不思議なことに見たことあるドアだ。


 ひらがなで[うえるかむ]と書かれた板。


 前世で何度も見た。


 蘇る記憶、溢れ出したものは口からふと出る。


 「…ユイユイ?」


 気がつけば私の体は前世と同じ姿。

 そんなこと気にせずドアノブを捻る。


 ガチャッ、


 ドアを開けると...、

 

 「やほ、ソラっち!」


 薄褐色の肌と黒メッシュの金髪。

 180cmの高身長の美スタイル。


 彼女は幼稚園の頃からの幼馴染のユイ。

 私はユイユイと呼んでいる。

 一人称はアーシ。(あたし→アーシ。)


 何というか、見た目だけはそこそこギャルな子。

 手先が器用でゲームが滅茶苦茶強いし料理が上手。

 でも友達作りがちょっと下手くそで学生時代はずっと私と一緒。


 「…幻でまた会えるとは。」

 「チッチッチ、空は25歳以降のアーシの見た目なんて知らないでしょ?」

 「へ?…え、あ?」

 「ソラが死んだのは24の時だからね。」

 

 待て、色々おかしいぞ。


 「…幻にしちゃあ妙なことを言うねユイユイ。」

 「そりゃそうじゃん。」


 急に私の太ももや胸触ってきた。

 顔もむにむに触って頭わしゃわしゃ、

 

 レロって足も舐めて…しねえええええええええええ!!!!!


 「あべしっっっ。」

 「はぁはぁ、この逆セクハラ癖、記憶の再現じゃありえない。ニンニクマシマシの背脂チャーシューメンどころじゃないこの濃厚な感覚、アンタまさか!?」


 まさか、


 「ほ、本物のユイユイ?」

 「んふ♡、それ以外何かある?」

 「いやだって私死んでるし、ユイユイもなんでここに!?」

 「んっふっふ。」


 ユイユイが立ち上がる。


 「お見せしましょう!」


 某昭和のヒーローの如く決めポーズ。

 キュピーンとレトロな効果音!

 瞬間、ユイユイに眩い輝きが!


 なんとユイユイの見た目が巫女服に似たなんか神々しい見た目になった!?


 「ユイは仮初にして1つの姿!しかしてその正体は輪廻転生の神!名前はユイのままでヨロシク!!」

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